空想の品物を届けに - アナ・トレントの鞄の感想

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アナ・トレントの鞄

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キャラクター
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空想の品物を届けに

4.54.5
文章力
4.5
ストーリー
5.0
キャラクター
4.5
設定
4.0
演出
4.5

映画『ミツバチのささやき』に登場する、アナ・トレントの鞄を仕入れに出る旅。 基本的クラフト・エヴィング商會の本であると云える。時空を越えた旅の形態がより顕著に。その意味では『らくだこぶ書房~』に近いものも感じるが、この本では商會の人間自身が時空を越えているので少し違う。商品カタログ、という点では『ないものあります』『どこかへいってしまったものたち』にも通じるが、それらに比べて絶対的に紹介文が少ない。説明が短い。しかし、それだけで商品がどんなものであるのか、最低限の情報を得ることができ、また、読者側が想像を膨らませる余地も存在するため、的確な文章ではないだろうか。 さらに今回も、坂本真典氏の写真が秀逸で、登場してくる商品の雰囲気をも写し撮っているといえる。被写体となる、商品の姿が素晴らしいから、とも云えるが。相変わらず、細部まで凝っている本である。 気になった商品は、『シガレット・ムービー』『稲妻の先のところ』『マアト』『「セリンジャーのラウンド」の変ロ音音叉』『終景手帖』『ポケット・シンフォニー』『道化師たちの鼻』『プロンプターの引き出し』『暗転芝居の戯曲集』。 気になる話は、「言葉を売る男」。クラフト・エヴィング商會の本に登場する、言葉を操る人々が気になって仕方が無い。

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