位置が変わると見える物が変わる - 戦場のメリークリスマスの感想

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位置が変わると見える物が変わる

4.54.5
映像
5.0
脚本
4.5
キャスト
4.5
音楽
4.5
演出
5.0

大島渚監督の1983年の作品。 美しい音楽は誰の耳にも響きが残っているだろう。今でも音楽の最高傑作として演奏されている。 舞台は1942年の日本軍が押さえている島での捕虜収容所を描く。 連合軍と日本軍の戦の話だが、そこには宗教観や文化感、死生観などが大量に入っている。戦争と言う公的行為における処罰や保障などの人の生活に関係のある話がつらつらと並んでいる。 映画は日本軍の朝鮮人がオランダ人の捕虜を強姦したと言うと頃から、始まる。その兵の処置をめぐって北野武演ずるハラ軍曹の応答が日本語の判る欧米人のロレンスと始まる。 ハラ軍曹はそこらへんのおじさんが徴兵されて軍曹やってるというのがしみじみ良くわかる。この普通の人さかげんが何とも味わいが強い。かつまた英国のボーディングスクールに行く階級の人間のボウイは自分の弟が入学してきた時に庇わなかった事を悔やみ,戦争に逃げてきている。かれは死ぬ場所を探している。 またヨノイ大尉は226事件の生き残りで、彼も行きながら死んでいる。 ロレンツは語り部で、立場を変え時間を共にして見届けている。 ハラ軍曹は明快に答える、裁かれる兵士は処刑として書面処理しなければならない、自決では遺族年金が下りないからだ、彼の家は貧乏で親は年老いて、兄弟たちがたくさん居て、と処刑される人間の家庭構造を説明します。 白も黒とも言えない環境で人間たちは、その折々を生きていく。その場の立場で因果を変化させていくということを映像で見せてくれる作品です。

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