最初から最後まで、遊び心が満載
ジャッジ!はこんな作品
この作品は、広告代理店に勤める太田喜一郎が、ひょんな事からCMの国際賞の審査員に抜擢されるというストーリーです。
日本では何をやってもダメだった喜一郎が、体当たりな英語と不正を許さない姿勢で、いつしか審査員皆のハートを掴んでいきます。
ちょっとしたセリフやシーンが後から生きてくるなど、脚本全体に遊び心を感じる作品でした。
また、冒頭から流れるきつねうどんのCMが最高に面白いです。
本当にこれは笑いました。これで気持ちをガッ!と掴まれた感じですね。
結構このきつねうどんのCMは、作中で何回も登場し、その度に笑わせる役割があるので、重要なんですよね。
海外のCMの審査中に、不意討ちでこれが出てきたのは、すごく笑いました。
しかし、駄作のようなこのCMが、最後には喜一郎を救うので、なかなか伏線が効いていました。
また、サカナクションの手掛けたテーマソングも作品ととてもマッチしており、スタッフロールが流れた時には感動しました。
妻夫木聡さんの好演
主演の妻夫木聡さんの好演が、とにかく印象に残る作品でした。
妻夫木さん演じる太田喜一郎が、味があっていいですね。
妻夫木さんが演じているのに、全然イケメン感が無いキャラクターです。
仕事もダメ、恋愛もダメ、合コンに行ったら気持ち悪がられる…という有り様。
しかし、審査側に回ってからの喜一郎は、たちまち外国人の間で人気者になってしまいます。
なんだか、こう日本ではパッとしないんですが、外国に行ったら成功する人っているよなあ…と思って見ていました。
また、喜一郎は性根が正しい人間なのがいいんですよね。
審査員は皆、あの手この手で票を取りに来るんですが、喜一郎といえば「不正は辞めようよ…」みたいな感じで、それを嫌がるんですね。
なんだか、そういうストレートな主人公って、やっぱりいいなと見ていて思います。
それが正論臭くならないのも、喜一郎のキャラクターらしくて、いいなと思いました。
ラストシーンでは、すっかり自信を身に付けた喜一郎。思わず見ていて「良かったね!」と思えるような終わり方で良かったです。
その他印象に残ったキャスト
まず豊川悦司さん。この人を語らなければ、始まらないというくらい、面白かったです。
今期のNHK朝の連続ドラマ小説、「半分、青い」では、秋風羽織という漫画家のキャラクターに扮していた豊川さんですが、ほとんど外見が同じですね!
サングラス、長髪と完全に一致しているんですが…いつの頃からか、豊川さんはこういうスタイルで行くことになったんでしょうか。
似合ってはいますが…。
ただ役柄は、随分違います。
秋風羽織もやはりクリエイターの人ではありますが、秋風が寡黙な職人気質なのに対して、ジャッジ!の大滝一郎は、チャラチャラした利己的な上司という役どころ。
大滝の適当な判断で、喜一郎はいつも振り回されるのですが、セリフ回しといい、面白くて笑ってしまうようなキャラクターでした。
豊川さん、コメディーも全然いけるんだな…と感動すら覚えました。
また、ヒロインの大田ひかりを演じた北川景子さんは、キレイで毒舌なのに、どこかかわいいというキャラクターを、見事に演じていたと思います。
これがツンデレなのか…と思ってしまいますね。
結構怒っているシーンが多いんですが、嫌な感じにはならないのが、良かったと思います。
ひかりは最初は喜一郎に対し、冷たい対応なのですが、だんだん心惹かれていくような表情がうまいと思いました。
木沢に嫉妬するようなシーンも、かわいかったです。
また、木沢を演じた鈴木京香さんも、相変わらず美しいなあと思いました。
この人もひかりに負けず劣らず、ツンケンしたキャラクターなのですが、最後には喜一郎に根負けするような所もあり、可愛げのある人物となっていました。
木沢の弱さやプレッシャーが、喜一郎とは対極になっているように見えました。喜一郎は、ダメだけど絶望しないから強いんですよね。
また、あまり本編には関わってこないのですが、やっぱり浜野謙太さんはいいですね。
今回はバカなボンボンみたいな役なのですが、その軽さも含めて、素晴らしいと思いました。
ワンシーンで色々伝わってきます。バカな二世感みたいなものが…。すごい表現力。
浜野さん、これからも色々な作品で活躍してほしいです。
惜しむらくは
CMの審査のシーンが、若干ダレる感じがありました。やはり英語が続くシーン、外国のCMの審査が続くシーンは、少し退屈な感じがしてしまいました。
あとは、ひかりと喜一郎のシーンがもっと見たかったです。
意外と少ないように感じました。
最初は冷たい態度だったひかりが、ダメな喜一郎に惹かれていく、皆が大好きな「ツンデレのデレ」のシーンですよね。
願望として、そんな二人がもっと見たかったなあ、イチャイチャが物足りないなあ、という監事はしました。
でも本当に、気になったのはこの点だけなので、充分面白く観られる映画だとは思います。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)