布枝がただただかわいそう - ゲゲゲの女房の感想

理解が深まる映画レビューサイト

映画レビュー数 5,784件

ゲゲゲの女房

2.502.50
映像
4.00
脚本
2.00
キャスト
3.00
音楽
2.50
演出
3.00
感想数
1
観た人
1

布枝がただただかわいそう

2.52.5
映像
4.0
脚本
2.0
キャスト
3.0
音楽
2.5
演出
3.0

目次

「ゲゲゲの女房」を視聴した感想です。


ゲゲゲの女房はNHKの朝の連続ドラマ小説でヒットし、流行語大賞にもノミネートされるなど、記憶に残る作品です。
私も視聴していました。
水木しげるさん役の向井理さんの好演も、よく覚えています。

朝の連続ドラマ小説では、水木しげるさんの妻である布枝さんが嫁ぐ所から、現代に近いところまで映像化されていました。
この作品はその序盤の、水木さんが少年マガジンに連載を持つ直前までを描いています。

内容は朝の連続ドラマ小説とほとんど変わらないのかな、と思いました。
むしろ時間的な都合で内容はミニマムになっていますから、朝の連続ドラマ小説を視聴した人が見ると、物足りなさを感じるかもしれません。

内容がほとんど同じ上に、新しい切り口もあまりないので、正直これだったら朝の連続ドラマ小説を見た方がいいのかな?と思いました。

この作品がつまらない訳ではないと思います。
朝の連続ドラマ小説が面白すぎました。


えっ、これで終わりなの…


ただ、映画の終わり方は「えっ、これで終わり?!」と思ってしまうほど、物足りない終わり方でした。
まさか、水木さんが売れずに貧乏に暮らしていた部分だけで終わってしまうとは思いませんでした。
初めから終わりまで、ずっと水木夫婦の貧乏な暮らしの様子が描かれており、観ているこちらは居たたまれない気分を味わっていましたが、「最後にはマンガが売れて、スカッとして終わるのだろう」と期待をしていました。
が、スカッとしませんでした…。
マンガが売れる前に終わってしまいました…。

これはちょっとガッカリしましたね。
何のためにずっと苦労話をやっていたんでしょう。
ハッピーエンドへの前フリじゃなかったんですかね…。

もう本当にモヤモヤとした終わり方になってしまいました。

この貧乏暮らしの様子も、朝の連続ドラマ小説では明るくコミカルに描かれていましたが、映画では本当に気の重くなるようなシーンが多く、餓死する者まで出る始末。これだけで終わってしまったのは本当に残念です。

特に布枝にはただただ同性として、同情の気持ちしか沸いてきません。
お見合いで釣書に嘘八百を並べた相手に急に嫁ぐことになり、食べ物も買えない程の貧乏暮らしを余儀なくされる布枝。

子どもを授かっても、「大変だし、貧乏だから」と喜ばないしげる。
子どもを授かってなお、妖怪マンガにこだわり、マガジンの連載を断ってしまうしげる。

自分の身に置き換えたら、憤懣やる方無いですよね…。

そういったしげるのこだわりに、布枝もまた臍を噛むのですが、その後よく仲直りできるなーと思ってしまいました。
私だったら許せないですね、しげるを。
ですので、「何で布枝は責任感の無いしげるを許せたのか?」という所をもっと説明してほしかったです。
また、貧乏なまま映画が終わってしまったのですが、やっぱり最後には裕福になった布枝を見たかったですね。

イケメンだったら許せたのか?


また、やっぱり水木しげるさんは向井理さんの方良かったのかな?と思いました。
映画では向井理さんに代わり、脚本家で俳優の宮藤官九郎さんが水木しげるさんを演じています。
イメージとしてはすごくぴったりの配役だと思います。
顔がまず、水木しげるさんの漫画っぽいですから、宮藤官九郎さんは。
たまに歯を剥いて笑った時に、前歯がガタガタなのが見えるんですけど、そんなところ漫画そのままだなあと思いました。

しかし、私個人としては、向井理さんの方が良かったのかな、と思います。
向井さんは長身で小顔ですし、お顔もイケメンですし、水木しげるさんに似ている訳ではないんです。
しかし、映画の中でずっと描かれる、しげるの変人ぶりや貧乏ぶりを観ていると、「せめてイケメンじゃないと許せない」という気持ちになってきます。
向井理さんくらいイケメンじゃないと、バランスが取れないんですよね、破天荒な所が。

むしろ朝の連続ドラマ小説では、そういったしげるのマイナスの部分が、向井さんのルックスと掛け合って、「ギャップ萌え」にさえなっていたと思います。

そういった意味で、宮藤官九郎さんが合っていなかった訳では全然ないのですが、向井理さんの方が良かったと思ってしまいました。

この映画のしげるに対しては、残念ながら好感を持つことができませんでした。

上でも少し書きましたが、しげるの漫画家としての凄味や、おおらかな優しさよりも、生活が逼迫しながらも作家としてのこだわりを捨てられない、変人ぶりの方が悪目立ちしているように思えました。

「貧乏は全然嫌じゃない。妖怪と心中する」とまで言い出すしげるでしたが、妻と子はどうなるのでしょう。
私も結婚して子どもがいるので、「四の五の言わず働けよ」と、イライラした気持ちしかしませんでした。

もっと布枝がしげるの才能に惚れているシーンがあれば、まだ納得できたかもしれません。

それかやっぱり、向井理さんくらいのイケメンだったら、許せたかもしれないですね。

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

関連するタグ

ゲゲゲの女房を観た人はこんな映画も観ています

ゲゲゲの女房が好きな人におすすめの映画

ページの先頭へ