とにかく杉村三郎が大好きなのです - ペテロの葬列の感想

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ペテロの葬列

3.673.67
映像
3.50
脚本
3.33
キャスト
4.17
音楽
4.00
演出
3.50
感想数
3
観た人
3

とにかく杉村三郎が大好きなのです

4.54.5
映像
4.5
脚本
4.0
キャスト
4.5
音楽
4.0
演出
4.0

目次

本格的なミステリードラマ

毎週、楽しみに放送日を待っていました。最初から衝撃的なんですもの。私はミステリーが大好きなんですけど、刑事ものや探偵ものって大体が一話完結じゃないですか。まあ、大きな流れがあることはあるけど、こんなに長い時間をかけて推理を楽しませてくれるようなドラマって、あまりないんじゃないですかね。

また、バスジャックっていう限定された場所で起こる事件にそそられましたよ。まあ、杉村三郎の機転の利くこと。さすがだわ。警察とこっそりやり取りする様子に感心しました。できるオトコはそうでなくっちゃ。第一話からがっつり心を奪われた感じです。バスジャックの被害者と同様に、私も「このじいさん、きっと悪い奴じゃないな」と犯人の術中にハマっていくわけです。園田編集長が怒り狂ったように、後にこのトークの巧みさはセミナーと関係していることがわかるわけですが、もう私なんかは、コロッと騙されて高い布団とか、訳のわからないペラッぺラの金券なんかを買わされそうなタイプです。このメンバーでいくと清水富美加みたいなもんです。

その事件の後の被害者たちの交流の様子も、現実的でした。お金が送られてくると人間が変わるもの。そういうところにブレない杉村三郎の正義感にまた惚れ直してしまうのです。そう、私はとにかく小泉孝太郎が演じる杉村三郎のファンなんだわ。宮部みゆき先生が名指しでキャスティングしたというか、小泉孝太郎を頭に思い浮かべながら杉村三郎を作ったというか…まさに「はまり役」としか言いようがありません。

事件の解明の様子は楽しいけれども、真相って案外「なーんだ、そんなことか」と思うことが多いです。このドラマもまあ、予想通りというか…。迷惑料なのか、身代金なのか、お金の話で膨らませてはあるけれど、結局犯人のじいさんの義侠心から始まっています。解決まで少し遠回りしすぎた感じはありました。身代金の送付伝票なんて、誰もが思いつきそうなことですしね。じいさんの過去は、どこかで修正できたような気がして気の毒でした。

細田善彦の狂気のバスジャックは予想できませんでした。早い解決でしたが。ダメ男の逆襲って感じでした。詰めが甘すぎました。ああいう状況で出会った若者二人はやっぱり心を寄り添わせるのがドラマの定番なのでしょうか。吊り橋効果みたいに。

事件よりもワクワクさせてくれること

バスジャック事件の解明に至る本筋は、それはそれで楽しませてもらいましたが、私をワクワクドキドキさせてくれた登場人物がいます。それは、長谷川京子演じる間野さんです。何なの、あの聖女を気取った悪女っぷりは。かっこいいじゃないですか。これも長谷川京子にしかできないわ。

途中、間野さんへのセクハラで編集部を追い出された上司がいましたよね。ああだこうだと言い訳をしながら去っていったいけ好かないオヤジだったけれども、それも裏で間野さんが仕掛けていたんじゃないでしょうか。それを、におわせてほしかったです。そうであってほしかったんです。

なぜ、そう思ったかというと、やはり最終回で会社を去っていく杉村三郎を待ち伏せしていたところが、何となく自信ありげだったから。それを完全無視した杉村三郎はあっぱれです。そうこなくっちゃ。「もうあなたとは何の関わりもありません」というような毅然とした立ち去り方。それは多分、間野さんの魔性に気づいていたからだと思います。こいつに近寄るとろくなことがないというオトコの勘なんでしょう。編集部にいるときから、自分への好意に気がついていたのです。君子危うきに近寄らず…の精神。お見事です。ここのシーンが一番印象に残っています。

で、杉村三郎が大好きな私はもちろん原作も読んでおりますが、違うんですよ、色々と。特に間野さんが…。ドラマの方が私の好みかな。

驚きの展開が嬉しくて…

まさか、まさかの出来事でした。そう、杉村三郎と妻、菜穂子の離婚です。ここまでやってくれるとは驚きでした。事件あり、社内のゴタゴタあり、そして最後に来ての離婚。私は理解がありそうな顔をしながら、耐える女を演じているような菜穂子があまり好きではありませんでした。でも、さみしいからという理由で橋本と浮気をしていました。なんと人間味のある思い切った行動でしょう。それで菜穂子が好きになっちゃいました。何も不自由がない生活をしているように見えても、彼女が欲しいのは杉村三郎の愛情だけだったのかもしれません。杉村三郎が事件解決に向かって高揚しているのを見て、ここに留まる人ではないと感じたのでしょう。うん、いい選択です。彼女は離婚しても不幸にはならないからね。

また、高橋一生演じる橋本の献身ぶりがいいじゃないですか。その上で関係を持ったのは「野心のため」と優しいだと嘘をついたのです。そう、私はそれは嘘だと確信しています。

杉村三郎と橋本真佐彦、二人のいいオトコに囲まれて良かったね、菜穂子さん。次からのシリーズにはもう出てこないのかしら。成長ぶりが楽しみなんです。

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とにかく・・・濃い(笑)「名もなき毒」の放映の一年後、シリーズ続編として放映された。当時、「名もなき毒」もとても好きで毎週欠かさず見てたからこちらも楽しみに見始めた。で、結論から言えば、こちらも猛烈に引き込まれてやっぱり毎週欠かさず見てた・・・んだけど、前作をはるかにしのぐ「濃さ」。こ、こ、濃いいです~~・・・(涙)だいたい、第1話だけでもう、1クール分くらいのボリュームじゃない?ってくらいの濃さ。え、一体これ、あと10話、どーすんの?って、心配すらしちゃったけど、 それ、余計な心配だった。 心配しなくても、その10倍くらい、中身、濃かったから。 宮部みゆき作品をあまり読んだり見たりしたことがないので よく分からないんだけども、内容が盛りだくさんなのが特徴、なのだろうか? とにかく、普通のハナシならソレいっこで 十分な見どころだから、っていうような見どころネタが いくつもいくつも折り重...この感想を読む

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名もなき毒の大ファンだったこともあり、1話からしっかりと鑑賞させてもらいました。名もなき毒同様、杉村三郎があらゆる事件に首を突っ込んでゆくのですが、今作はちょっと理解に苦しみました。何を伝えたかったのか、話の趣旨はなんだったのか、見終わったあとも納得できず録画をあさって一気に見ましたがいまいちわからず。杉村三郎が家庭を顧みず身の回りで起こるいろいろな事件に手を加えることをよく思っていない妻の印象が強かったです。ひとつひとつの事件の意味、登場人物の必要性を理解するのは難しかったものの前作とはまた違う杉村三郎が見られたような気がします。ちょっと凛とした...と言う表現がわたしはしっくりきます。杉村三郎が自分らしく生きられる方法がわかってきたのかと感じました。前作まではじぶんの殻から抜けられてないようなまだじぶんはこうでなければならないと自分で自分の首を絞めてるようなそんなどこか儚げな杉村三郎が...この感想を読む

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