一風変わったテーマと味わい深さが魅力 - ペテロの葬列の感想

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ドラマレビュー数 1,147件

ペテロの葬列

3.673.67
映像
3.50
脚本
3.33
キャスト
4.17
音楽
4.00
演出
3.50
感想数
3
観た人
3

一風変わったテーマと味わい深さが魅力

4.04.0
映像
4.0
脚本
4.0
キャスト
4.5
音楽
4.0
演出
4.0

目次

とにかく・・・濃い(笑)

「名もなき毒」の放映の一年後、シリーズ続編として放映された。

当時、「名もなき毒」もとても好きで毎週欠かさず見てたから

こちらも楽しみに見始めた。

で、結論から言えば、こちらも猛烈に引き込まれて

やっぱり毎週欠かさず見てた・・・んだけど、

前作をはるかにしのぐ「濃さ」

こ、こ、濃いいです~~・・・(涙)

だいたい、第1話だけでもう、1クール分くらいの

ボリュームじゃない?ってくらいの濃さ。

え、一体これ、あと10話、どーすんの?

って、心配すらしちゃったけど、 

それ、余計な心配だった。 

心配しなくても、その10倍くらい、中身、濃かったから。 

宮部みゆき作品をあまり読んだり見たりしたことがないので 

よく分からないんだけども、

内容が盛りだくさんなのが特徴、なのだろうか? 

とにかく、普通のハナシならソレいっこで 

十分な見どころだから、っていうような見どころネタが 

いくつもいくつも折り重なって 

ぎゅうぎゅうに詰め込まれてるような感じ。 

かといって、内容がとっちらかったりはしないから、

さすがだなあ、と思うんだけども。

今回の第1話、いきなり主人公の「三郎」が、

職場の同僚と上司と一緒に バスジャックに遭遇してしまうんだけど、 

このバスジャック犯のやりとりが異様で、謎だらけで、

しまいには 彼は警察の突入と共に自害してしまう。 

このやりとりだけでも1本かけそうなくらいなんだけど

この謎だらけのバスジャック事件をきっかけに

その後、その事件の真相を、

例のごとく「杉村探偵」によって解明されていく。 

この、話の本筋のバスジャック事件の真相も、

取り扱ったテーマが一風変わってて面白かった。

「自己啓発」セミナーなどの

「トレーナー」と呼ばれる人たちによる詐欺事件。

ドラマとしては珍しいような気がしたし、

内容も結構ヘヴィだと思う。

そこに加えて、「杉村」の奥さんの「菜穂子」の浮気や

中途採用した「間野 京子」の謎、 

新たに職場にやってきた「井手 正男」の職場への嫌がらせ、 

「杉村」と「菜穂子」の離婚、 などなど・・・ 

どれもこれも、それぞれの内容が、濃い。。 

濃い濃いしつこい、かもしれないけど、

それくらい、濃かったんデス・・・。

「杉村」は長年ずっと自分自身に問い続けてきたけれど

ついに結論を出すんだね。

「菜穂子」と別れ、今多コンツェルンという重責から自分を解放し、

新しい人生を歩んでいく・・・。

このテーマ自体も、ものすごく深いものだと思うから・・・

この回にそこまで盛り込むのかあ・・・と、

若干思わないでもなかったけど・・・

いずれにしても、抜群に面白かったですが。

人の心をコントロールする恐ろしさ

今回、「自己啓発」セミナーなどの「トレーナー」という

職業の人物たちが取り上げられていて、

この話の中では、そういう人物が詐欺商法をしている、

という設定だった。

バスジャック犯を始め、「トレーナー」と呼ばれる人物たちは

人の心を掌握するスキルを持っていて、

言葉巧みに安心感を抱かせ、

自分のペースに相手を引き込むことができる。

現代社会でも、そういうスキルを持った人たちは

自己啓発セミナーだけでなく、

いろんな場で営業活動をしてると思うけど、

みんながみんな、このドラマみたいに

詐欺まがいの営業行為をしてるとは思わないけど

一部としてそういうことも、ありえるかもしれないと

思わずにはいられなかった。

実際、私もかなり前、自己啓発系の会社に縁があった頃があって、

詐欺まではもちろんいかないけど、

結構きわどい営業方針だったのを憶えている。

人の心をある意味操作する、というのは、

資本主義経済ではかなりの範囲でベースになってる気もするけど、

「自己啓発」というニュアンスが加わるとやっかいだと思う。

人生をより良く、より豊かに、より幸せに・・・

誰もが願うことだろうし、

そこには独特の「欲」や「エゴ」もからんでくる。

それは、衣食住のような、本能的欲求とは違う、

もう少し精神的な欲求だったりするから、

余計に人の心の深いところまで入り込みやすいのではないだろうか。

カフェ「睡蓮」のマスターと”てっしー”

前作から引き続き、社員ご用達のカフェ「睡蓮」のマスター役の

本田博太郎さん。

イイ~~演技、する~~~!

もともと好きな俳優さんの一人なんだけど、

この役の演技はかなり好きかも。

しゃべり方が独特でね、この役ならではの、個性なんだけど。

たま~~~に、いる。こういう感じのオジサン。

ちょっとオトボケてんだけど、でもねえ~~・・・

眼光はめちゃ鋭くて、見るとこシッカリ見てるマスター 。

で、抜群のタイミングと機転で、

そうとは分からずに絶妙なアシスト、してくれるんだよね。

渋い・・渋すぎる・・・。

地味な役どころだけど、相当薬味的に効いてるんだなあ。

本田さん、サイコー。

こういう演技が出来る俳優さんが、好き。

それから「てっしー」役の、ムロツヨシさんも、

同じく、イイ~~~演技、してくれるなあ~。

そして同じく、こういう感じの人も、たま~に、いる。

ちょっとナナメな感じのね。

これがまたアクセント効いてて、いいんだよね。

ノーマルで安定感抜群の「杉村」を

うまいこと刺激加えながらアシストしてる。

ドラマ自体が結構淡々としてるので、

このお二人のような個性的な演技は

いい塩梅のスパイスになって、味わい豊かになるのが

ほんとに素敵だなあ、と思います。

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他のレビュアーの感想・評価

とにかく杉村三郎が大好きなのです

本格的なミステリードラマ毎週、楽しみに放送日を待っていました。最初から衝撃的なんですもの。私はミステリーが大好きなんですけど、刑事ものや探偵ものって大体が一話完結じゃないですか。まあ、大きな流れがあることはあるけど、こんなに長い時間をかけて推理を楽しませてくれるようなドラマって、あまりないんじゃないですかね。また、バスジャックっていう限定された場所で起こる事件にそそられましたよ。まあ、杉村三郎の機転の利くこと。さすがだわ。警察とこっそりやり取りする様子に感心しました。できるオトコはそうでなくっちゃ。第一話からがっつり心を奪われた感じです。バスジャックの被害者と同様に、私も「このじいさん、きっと悪い奴じゃないな」と犯人の術中にハマっていくわけです。園田編集長が怒り狂ったように、後にこのトークの巧みさはセミナーと関係していることがわかるわけですが、もう私なんかは、コロッと騙されて高い布団と...この感想を読む

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名もなき毒の大ファンだったこともあり、1話からしっかりと鑑賞させてもらいました。名もなき毒同様、杉村三郎があらゆる事件に首を突っ込んでゆくのですが、今作はちょっと理解に苦しみました。何を伝えたかったのか、話の趣旨はなんだったのか、見終わったあとも納得できず録画をあさって一気に見ましたがいまいちわからず。杉村三郎が家庭を顧みず身の回りで起こるいろいろな事件に手を加えることをよく思っていない妻の印象が強かったです。ひとつひとつの事件の意味、登場人物の必要性を理解するのは難しかったものの前作とはまた違う杉村三郎が見られたような気がします。ちょっと凛とした...と言う表現がわたしはしっくりきます。杉村三郎が自分らしく生きられる方法がわかってきたのかと感じました。前作まではじぶんの殻から抜けられてないようなまだじぶんはこうでなければならないと自分で自分の首を絞めてるようなそんなどこか儚げな杉村三郎が...この感想を読む

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