桃、栗三年、鍵八年についての考察
高木浩子の才能について
高木浩子は今野夫婦の家に泥棒に入りました。また、捜査一課の部屋のドアを開けています。浩子はこの話だけで4つ以上のドアを開けています。捜査一課の部屋を開けた際には、淳一が目を丸くする場面もありました。それだけ、鍵についての腕が立つということです。なぜそれほどの腕があるのかという問いに対する正解は、最初は、父親が誰かがわからず光代が若い時に何をしていたかを知るまでは手先がとても器用という父親の血筋かと思われていましたが、実際は光代の影響が強そうです。彼女の父親である水町和也の下で母親である高木光代が泥棒のようなことをしていたこと、淳一が天才的な泥棒であろうことを雰囲気含めわかった光代のことから、光代の遺伝や影響があったと考えられました。そんな中で、鍵を開ける楽しみを見つけてしまった浩子です。きっかけがなんであれ、止めることはできないと光代も考えたから、16歳まで辞めさせるに至ることがなかったのでしょう。自分も鍵を開ける喜びを知っているから、そのままにさせていたとも考えられます。泥棒にならなければ良いと思ったとも考えられますし、将来、泥棒になったとしても止めることはあったのかは疑問に思えるところです。
高木浩子の性格について
16歳の浩子は、16歳らしい性格をしています。16歳というと、大人とも子供とも言えない年ごろです。子供と思われることを否定し、早く大人になりたいと思いながら、葛藤している年齢ではないでしょうか。
外見的には、まだ小柄で成長しきっていない姿が想像つきます。しかし、子供の体でもないのです。成長途中という言葉が丁度いい容姿すらも、その年齢から言えば、ムズムズする感覚があると感じた記憶があります。
性格的には、想像力豊か、無邪気、純粋でありながら、物事を冷静に見て切り返すことができる性格といったところでしょうか。いやらしいことを淳一がしようとするのではないかと想像する姿は、想像力が豊かであると思わせました。そのような想像を働かせているのにも関わらず、夫婦の前で気持ちよさげに寝てしまう精神力は大物を思わせます。彼女の親が大物だからともいえます。または、まだ子供だという感覚なのかもしれません。その後の今野夫婦の夜の営みを見たと感じさせる言葉からは、自分で楽しんだ方がいいと言うことができる感性は大人に近づいていると感じさせるものですが、そのセリフを言っているときの照れ方は、恥じらいを感じさせ、純粋な少女なのだと思いました。パトカーに乗るとき、留置場に光代が面会に来た時など、自分の価値観や感情を優先して表面に出している部分が無邪気さを思わせます。
そのような性格が出ている一方で、真弓のことをすてきな人と言っておだて、怒ろうとしている真弓から乗り切る姿や、道田と真弓の掛け合いをショックなことがおきた後であるにも関わらず、冷静に見て呆れることのできる精神力は強いものがあります。
高木浩子は無邪気でいたずら好きな子供のようでもあります。とても愛らしく、楽しいキャラクターだと思いました。
管理職の大変さ
この物語の最後の場面で、道田が課長を間違えて殴ってしまい気絶させてしまったとき、みんなでこづいたり、髪の毛を引っこ抜いたりしていました。こづいたというのは、軽くたたいているようなイメージでしょう。酔っぱらったときに、軽くたたくような印象を持ちましたが、課長をこづいている人たちはみんな酔っぱらっていません。どれだけ、課長に対するストレスが溜まっているのでしょうか。管理職が大変なのは承知のうえですが、子供がするいたずらの域を大人がしているというのですから、部下のストレスの大きさが垣間見えます。気絶しているならば、何をやってもいいだろう、こんな機会回ってこないぞと言っていてもおかしくありません。もし仮に、お酒の席で酔っぱらって寝てしまった課長に、そういったことをすることはできなくもないけれど、課長が何かをされたことに気づいてしまったときのリスクがあります。しかし、今回のように人質に取られたうえで気絶したのなら、すべてを金山のせいにすればいいという責任転換が可能です。道田が気絶させたことも、最悪気絶させられて夢でも見ていたのでしょうと言い訳をしてしまえばよいと思いました。
また、気絶したときに、髪の毛を引っこ抜いたりしたということでした。それは、引っこ抜いた人が髪の毛が少なくて、髪の毛に対しての思いが強かったのでしょうか。もしくは、課長が髪の毛が少なくて気にしている様子があり、それを知っていたので嫌味の如くここぞとばかりに引っこ抜いてやろうと思ったのでしょうか。男性はハゲに対して気にしている印象がありますので、髪の毛を引っこ抜いたという表現を使ったのか、それとも、いじめようとすると髪の毛を引っこ抜くという表現が具体的でわかりやすかったのか、どちらの理由なのかはわかりませんし、他の理由なのかもしれません。
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