しゃくなげの花を下さい。五本の束で下さい - 帰ってきた時効警察の感想

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帰ってきた時効警察

4.754.75
映像
4.75
脚本
4.75
キャスト
5.00
音楽
4.75
演出
5.00
感想数
2
観た人
2

しゃくなげの花を下さい。五本の束で下さい

5.05.0
映像
5.0
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
5.0

目次

三日月くんがいないと、始まらない!

「帰ってきた時効警察」を、視聴した感想です。
この作品は、時効になった事件を趣味で捜査する、主人公霧山修一郎の活躍を描いたドラマ「時効警察」の続編となっています。

第2シリーズで特筆すべきことは、ヒロインの三日月静の、スタッフからの愛されぶりがすごいということです。
前作ではツッコミ役だった三日月でしたが、続編では逆に霧山からツッコミをもらうような、コミカルなシーンが満載となっています。

三日月は、前作では皆を注意する「学級委員の女子」のようなキャラクターでしたが、第2シリーズでは、あまりうるさく言わなくなったと思います。
そして、その代わりにコメディのシーンが増えたと思います。
こちらの三日月の方が面白くて、可愛くて私は好感が持てました。
催眠術にかけられた回では、「しゃくなげの花」などの劇中歌を三つも歌ったりと、体を張った演技が多く、面白かったです。

麻生久美子さんは元々映画女優で、テレビドラマの出演はこの作品が初めてなのですが、真面目なイメージが、いい意味で覆ってしまいました。

前作では三日月がいなくても、話は成立してしまいそうな感じでしたが、今回は三日月無しでは語れないほどの存在感がありました。
特にオダギリジョーさんが監督を勤めた回では、主体となって動くなど今回の三日月はかなりの活躍をしていました。

ケラリーノ・サンドロヴィッチ監督も参戦!豪華なキャスト

また、時効課を始め、総武警察の面々も健在です。新たなキャラクター、マカデくんを迎え、さらに軽妙なやり取りが面白くなったと思います。
前作では、霧山や三日月の自宅のシーンがけっこうあったのですが、第2シリーズではほとんど無くなり、代わりに総武警察でのシーンが増えたと思います。

前作から少し時間が経っているはずなのですが、キャストの皆さんはブランクを感じさせず、キャラクターに違和感は全然ありませんでした。
むしろ第2シリーズにきて、更にのびのびと演じていると思いました。
キャストは皆さんいい味を出していますが、私はやっぱりマタライさんと十文字が好きです。

また、前作では各話で担当する監督が違ったために、キャラクターの性格や関係性が、話によっては変わってしまっていたのですが、今回はそういった違和感は感じずに観ることができました。
また、各話のテイストも微妙に違っているように見えましたが、第2シリーズではそんなに変わりがなく、見やすかったです。

前作では少しセクシャルなシーンもありましたが、第2シリーズにはほとんどありません。
私はあまり下ネタが好きではないので、全話、安心して観られるように感じました。

また、シリアスな展開も前作にはありましたが、第2シリーズでは徹底してゆるい世界観を描いているので、違和感を感じずに観ることができました。
全体的に、殺人事件をテーマとしているのに、少しも血生臭くなく、穏やかな雰囲気で良かったと思います。
前作では、ミステリーらしい雰囲気もありましたが、第2シリーズではコメディの要素が強く、明るい作風になったと思います。
初めてこの作品を見る人にも楽しめるのではないか、と思いました。

第2シリーズは、前作で監督を勤めた三木聡さんや園子温さん、重松了さんに加え、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんやオダギリジョーさんも監督を担当しています。
ケラリーノ監督の担当回では、三日月がかなり弄られており、麻生久美子さんの頑張りが光っていると思います。
また、前作に続き犬山犬子さんも登場し、嬉しくなりました。
オダギリジョーさんの担当回では、「霧山から見た三日月ってこんな感じなんだなあ」と思いました。
霧山を演じるオダギリさんの感じ方や、役の解釈が分かって、貴重な一話となっていると思います。

キラキラはカラカラがダメ


第2シリーズでは、各話一貫してテーマがあります。
それは「ミステリーの禁じ手」を使っている事です。
犯人の記憶喪失や催眠術での犯行、双子トリック(実は6つ子)など、ミステリー作品では暗黙の内に「やってはいけない」とされている禁じ手を、この作品では意図的に取り上げていて面白かったです。

もしこれを、普通のミステリードラマでやってしまったら、視聴者は怒るかもしれません。

ゆるくて不思議な世界観の、時効警察という作品だからこそ成立するのだと思いました。


また、犯人もやむを得ずの犯行の人が多く、「誰にも言いませんよ」で逮捕されなくて良かったな、と思える話が多くて良かったと思います。
ハッピーエンドではありませんが、見ていてほっとさせられました。

前作では、意外とこうした「やむを得ずの犯行」だけではなかったので、第2シリーズで設定がいい方向に使われているのかな、と思いました。
多分、こういったミステリードラマでは、犯人を逮捕しないのも禁じ手なんだと思うんですよね。

最初から最後までやってはいけないことで通している作品というのも、時効警察だけなんじゃないかなと思いました。

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他のレビュアーの感想・評価

時計からハトが出てくるのを待っていたんだ。

どんな風に面白いのかって言ったってねえまず、「面白い」ってなんでしょうね。言葉から探りますとね、「白い」は明るくてはっきりとしていることを意味するそうで、そこから 目の前が明るくなった状態 目の前の景色の美しさ を表すようになった。(語源由来辞典より)「目の前が明るくなること」これが「面白い」の語源だそうです。(goo辞書より)だから、面白いの意味も結構いろいろあります。英語だと、interesting と funnyは分けて使われますけど、日本語はどっちも面白いの一言で表すことができるんですね。興味深いのも面白いだし、こっけいで笑っちゃうのも面白いだし、めずらしい、風流だ、思った通りで快い、心が晴れ晴れして楽しい、(ラップ調)そういうのも「面白い」なんですね。はい、ではこのドラマはどうですか?面白いを辞書で引いた時にある全ての項目を、満たしている、完全体の面白い、ですね。それって、すごいことじゃないです...この感想を読む

4.54.5
  • なかがわみきなかがわみき
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  • 2528文字
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