怪盗クイーンはサーカスがお好きの考察 - 怪盗クイーンはサーカスがお好きの感想

理解が深まる小説レビューサイト

小説レビュー数 3,368件

怪盗クイーンはサーカスがお好き

4.004.00
文章力
3.50
ストーリー
3.50
キャラクター
4.50
設定
3.25
演出
3.00
感想数
2
読んだ人
3

怪盗クイーンはサーカスがお好きの考察

3.53.5
文章力
3.0
ストーリー
3.0
キャラクター
4.0
設定
3.5
演出
3.0

目次

ページ数が少ない理由

本作はページ数が少なく、305ページです。

本作が短い理由として、サーカス団潜入した部分と潜入した後の部分をクイーンが引っ掻き回していない、癖のある登場人物がクイーンを巻き込んで話をごちゃごちゃにしなかったなどが挙げられるように思います。様々な人物の視点から展開していくのではなく、大きい枠の話の発展を飛行船の中やクイーンが変装した西遠寺孝太郎、クイーンのいる空間の目線から行なわれていました。小さい枠が、サーカス団の面々のみのシーン、RDと岩清水刑事のシーン、警視庁のシーンといったところでしょうか。こういった分け方をしていることが怪盗クイーンシリーズの中でも短めな本作ならではの気がします。シリーズとして年を重ねるごとに様々な登場人物が増え、クイーンとジョーカーとRD以外にも固定的に登場する人物が出てきているため、こっちも写してほしいと各キャラクターが他の作品では言っているのでしょう。そういったサブキャラクターたちが出ていない、どちらかというと、怪盗クイーンからの予告状や名探偵夢水清志郎シリーズから出ているキャラクターが多い本作は、上記した書籍の影響を強く受ける作品だと感じます。逆に、本作以降の作品はそれらの作品から独立したクイーンといった印象が強いと感じました。怪盗クイーンからの予告状や名探偵夢水清志郎シリーズから読んでいる読者は読みやすく、クイーンの生態が少し知れたと感じられます。怪盗クイーンシリーズの他の作品も読む読者は違和感を覚える気がします。クイーンのわがままは健全ですが、ジョーカーとRDの苦労の出方、クイーンのジョーカーへのからかいが少ないからです。そして、クイーンのジョーカーとRDへの愛情も友人とクイーンが言い表す以外に出てきていないのです。

クイーンがどのキャラになっているのか? 

サーカス団に潜入する際、クイーンは誰に変装するのか伝えないといういたずらをしました。それがいたずらなのか、『敵をあざむくには味方から』という言葉通りの意味で本気だったのかどちらかはクイーンの性格上どちらともいえないです。どちらともとれるのが面白さだと思っています。読者へも正体を明かさないところが楽しかったです。クイーンから私たち読者にもジョーカーたちと同じ見方を与えられたと思えました。第一作目からクイーンワールド全開です。 

結果的にクイーンが変装していた人物は、二人いたということでした。途中、シャモン斎藤にバレかけたクイーンは、シャモン斎藤のクイーンの暗示を解く睡眠術を逆手にとり逆にシャモン斎藤に睡眠術をかけてしまうということをした点からプロ顔負けの能力があることがわかります。クイーンは変装の際、自己暗示を使うとジョーカーによって明かされていました。しかし、自分がクイーンかどうかわからないほどの自己暗示なのに、盗みを働けたこと、睡眠術を切り抜け逆にかけるという行為をしたことはジョーカーの発言と矛盾しているといえます。その点で、クイーンがジョーカーに言っていない暗示の方法を使っているのか、ジョーカーが嘘をついたのかどちらなのでしょうか。私は、どちらも本当でただ、すべてを明かしていないのではないかと思います。変装しているときに、盗みを忘れては仕方がないですからね。

睡眠術以外にも軽業ができたり、獣を追い払うこともできるのではないかというジョーカーとクイーンの絡みから、一人でサーカス団員がやることができるのではないかと思わせる姿は流石怪盗クイーンとしかいえません。しかも目立ちたがり屋の性格なので、サーカスに永久就職したらジョーカーもRDも困ることはないといえます。怪盗クイーンシリーズの面々でサーカス団を結成しても面白いでしょう。様々な能力を持ったキャラクターがいますから。

クイーンは変装の際、自己暗示を使うとジョーカーによって明かされていました。クイーンは催眠術ができる、自己暗示を変装に利用していることがわかったこと、軽業ができることはクイーンの捜査データに追加されたのでしょうか。また、日本の警察が出ているので名探偵夢水清志郎にも伝わっているのかもしれません。しかし彼らは同じ赤い夢の住民ですから、名探偵は明かされずともわかっているのかもしれませんね。彼らは生まれる前からつながりのあることが発表されていますから。

RDのお母さん要素

 

最後は、RDについてです。本作にちょくちょく出ているRDとクイーンとジョーカーの絡みと、RDと岩清水刑事の絡みを読んでみるとRDはお母さんのようだと感じました。RDは人工知能なので、機械的というか合理的というか、そういった性格もクイーンと仕事の話をしているときは出ています。しかし、クイーンにゴミの分別の注意をしているとき、岩清水刑事のピュアさと天然な部分に対する対応がお母さんに見えて仕方ありません。RDは人工知能ですが人間の心を持っているに近い存在です。そして日本育ちだからなのか、おもてなしの心が見える気がするのです。世界最高の人工知能のRDはうそも冗談も言えると同時に、優しさのあるキャラクターといえるのではないでしょうか。お母さん思いで、苦労人の人間のキャラクターの一人に感じます。RDは色々な性格や要素を持っているキャラクターです。その一つにお母さんという要素があってほしいと感じました。本作ではまだRDの人間体の絵が発表されていません。なので、女であってと少し思ってしまいました。

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

他のレビュアーの感想・評価

大怪盗クイーンVS超人サーカス団

名探偵夢水清志郎シリーズでおなじみのはやみねかおるによる怪盗クイーンシリーズ。この作品はそんな怪盗クイーンシリーズの初巻である。もとは短編集に掲載されていた作品だったが、クイーンのみをあつかった書籍が生まれた。この物語は主に3つのキャラクターを中心に進んでいく。世間を騒がす大怪盗「クイーン」とそのパートナー「ジョーカー」、そしてクイーンに盗み出された人工知能「RD」である。彼らは普段、RDが全システムを制御する巨大飛行船トゥルバドゥールにのって世界各地をとびまわり盗みを働く。狙った獲物は逃さない。変装・格闘なんでもできる超人的な2人とスーパー人工知能1基の華麗なるコンビネーションで獲物を盗み出していくところが何より見どころである。この作品はそんなクイーンたちにこれまた超人たちの集うサーカス集団が挑む。催眠術師や鍵師、軽業師に猛獣使い、マジシャンなどさまざまな能力をもった者たちがクイーンたちを...この感想を読む

4.54.5
  • Praha@05Praha@05
  • 186view
  • 521文字

関連するタグ

怪盗クイーンはサーカスがお好きが好きな人におすすめの小説

ページの先頭へ