どんどん増える女の子キャラに萌える物語 - ニセコイの感想

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ニセコイ

4.334.33
画力
4.33
ストーリー
4.50
キャラクター
4.50
設定
4.17
演出
4.33
感想数
3
読んだ人
5

どんどん増える女の子キャラに萌える物語

4.04.0
画力
4.0
ストーリー
4.0
キャラクター
4.0
設定
4.0
演出
4.0

目次

意外にもストーリーが工夫されている

幼きころに結婚を約束した相手。10年も経てば、それが誰だったのかも覚えていなくなっても当然のこと。しかしその約束が何だったのかを少しずつ紐解くことによって、物語は進んでいく。25巻も続いてきて、どのタイミングで終わってもよかったのだろうけど、楽のハーレムが意外にも面白くて、まだ読めたなーという気もする。

楽は小野寺小咲に恋をしていて、小咲も楽に恋している。両想いのくせにいつまでも想いを告げないままいるうちに、楽には偽恋人として千棘が登場。極道とギャングの親同士、関係性をうまく保つために楽と千棘は恋人らしく一緒に学校生活を過ごさなくてはならなくて、どんどん心を通わせていく。

楽はすごいいい奴で、女の子が惚れてもしょうがないかな…っていういい言葉を素で吐く人間。そして人からの好意に疎すぎて、非常に残念であり、得をしているとも言えるキャラクター。気づかないからこそかわいい的なところがある。常にかわいい女の子たちを侍らせているように見えるけど、楽は普通に友だちとして接しているし、裏表・下心がないから女の子たちはそばにいるんだよね。他の男子からするとやっかみの対象なんだけど、ヤクザの息子であることとか、憎めない奴だと知っていることもあって、なんだかんだ、仲がいい。学校で繰り広げられるイベントはどれも楽しく、新キャラの女の子が加わるたびにワクワクさせられるストーリーである。女の子が増えすぎて、もはや路線ズレそうだなと思ったが、意外にもラストがしっくりきてびっくり。最初からこのくらい女の子たちを登場させるよていだったのだろうか。最初から千棘か小咲だろうなとは思っていたから、他のフェイクの女の子は脈なしとわかりつつ、いい感じで事情を知っている人ばかりで、謎が謎を呼ぶ雰囲気作りがうまかった。

女の子がかわいいのだ

千棘、小咲、春、ツグミ、橘、ユイ先生…めっちゃ人が登場するからどうしようかと思った…でもみんなかわいい。それぞれにいいところがあるし、みーんな楽を好きになるのでおもしろい。取り合いするようでしないし、橘だって引き際わかってますって感じでそれでも食らいつきたいってのがオトコ的には嬉しいと思う。

千棘はギャングの娘で帰国子女。どちらかと言えば勉強よりはスポーツのほうができるという女の子で、その運動能力の高さはずば抜けている。黙っていればかわいいが、楽と喧嘩をするとゴリラ状態に。黙っていればかわいい…とは言いながら、黙っているときが数えるほど程度にしかないうえ、むしろ記憶を失った大人しくなったのは楽の方だった。

小咲はかわいくて甲斐甲斐しくて、楽ひとすじな女の子。本当にかわいかったわー両想いなのに、さっぱり告白できなくて、友だちはみんなわかっているのに面白いから黙っているっていう…そのうちにタイミングを完全に逃して、千棘に全部持って行かれてしまう。実にかわいそうな女の子だ。

千棘と小咲のどちらがいいかなんて、もはや楽次第。どっちもかわいくて、楽ひとすじで、強くて、揺るがない。楽の中では、自然と脈アリ・ナシを判断していた。橘やツグミ、ユイ先生のことはただの友だちであると線引きできるのに、千棘と小咲に関してはまったく選べない。個人的には序盤から登場してくれたツグミが好きだったけどね…千棘と小咲を差し置いてまでは絶対無理だ。

楽と集の関係もいい

集が楽に対して抱いている想い。それがすごくいいなーって思った。楽が誰よりも一生懸命で、誠実であることが、自分にはないものだと思うからこそ、尊敬している。そんな楽が悩むとき、自分が嫌われ役になったとしても、いい判断ができるようにしてあげたいと思う集が実にイケメンで、いつもの女の子大好き人間とは全く違う姿を見せてくれた。楽だって、集を親友だと思うからこそ、集が元気ないときには気づけるし、ケンカも本気でできるんだよね…このクッサい演出も少年誌らしいところだ。改めて、楽が“人”に恵まれていることがよくわかる。自分を慕ってくれる組員の人たち、親、恋人、友だち、親友…。楽のキャラクターで自然と人が集まる。こんな人になりたいよなー…って読者も憧れてしまうね。もし、楽を傷つけるような輩がいるとすれば、集はきっと黙ってない。こんな友だち、うらやましい。

また、集の恋心の表現の仕方もまたチャラ男らしい。女の子大好きだし、裸見たいとか、のぞきたいとか、デート行きたいとか、すげーオープンにも関わらず、その本音を明かすのは楽とるりだけ。というか大事な部分はるりだけ。ちゃんと彼の中ではどの女の子を一番に考えているかが線引きされているんだよね。るりちゃんもそこにうまいことハマってしまうのが悔しいことだろうが、舞子集の優しさは、るりちゃんにいつも向いていたのだよ。楽は自分の事に関してはてんで鈍感すぎるが、人のことはよく見ているから、集のことはわかる。この安定感が好きだった。

幼いころの約束なんて

千棘は10年前も楽が好きで、でも楽と小咲が両想いだと知っていたからこそ身を引いた。そして10年経った今も、同じことをしようとしている…ただ一つ違ったのは、ちゃんと気持ちを伝えたことだね。同じタイミングで、小咲も千棘も楽に気持ちを伝えることになったけれど、もう楽の中では千棘で答えが決まってた。もう小咲の気持ちを考えたらどうしようもなく悲しくて、ジタバタしてしまったよ。

千棘サイドで考えれば、幼かったころにあきらめた恋にもう一度トライして、ターゲットをゲットすることができたハッピーエンド。だけど、小咲サイドから考えれば、小さなころに約束した大切な男の子のこと、忘れてもなおちゃんと同じ人を好きになり、ずーーっと大好きで、気持ちを伝えようと思ってできなくて…最後は途中から登場した千棘にすべてをかっさらわれた、実に哀れな女の物語である。そのうえ、千棘と楽のウエディングケーキを作らされると言う…そんなひどいことある?ってくらいのラスト。大好きだった人は、ちゃんとあなたを好きだった。タイミングさえ間違わなければ、ゆるぎなく楽は小咲との関係を守るために千棘との恋人関係なんて断ったはずだ。小咲はこのままずっと独り身で過ごしてしまいそうで、本当に心配。千棘がいなければ想いを伝えることすらできなかったのかもしれないけれど、それでもやっぱり小咲と楽が付き合うエンドを求めている自分がいた。

少女漫画のような少年漫画

ちょっとずつ10年前の謎に迫り、最終巻でようやくすべての記憶が繋がることになった「ニセコイ」。全然少女漫画でもいいよなーっていう内容で、男の子でも女の子でも楽しい漫画だ。謎は別にそんな深いものでもなくて、10年経っても忘れられないくらいみんな長い片想いをしてきたってだけ。そんなに大事なら全部覚えとけよ!とは思うんだけど、肝心なメインキャラ3人が記憶を飛ばしちゃっていたのだった。

千棘と楽でいく!という終着点は、もしかしたら途中まで決まっていなかったのかもしれない。小咲を選べば約束の純愛を守るための偽恋だったと言えるし、千棘を選べばニセモノの恋が本物の恋になることがあると言える。それまでの紆余曲折・学校イベントでの様々な出来事はよく作られたストーリーになっているし、ドタバタしつつも恋は進展していくから、ほほえましく読み進めることができる。少年誌にしては珍しく、普通の恋の物語を読ませてもらった。

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