ジャンプのテンプレラブコメから外れた作品?
物語は王道でもジャンプでは邪道だった?
このニセコイという物語は 将来を誓い合った約束の女の子がいる。それが誰だかわからない。現代で偶然知り合った少女と偽者の恋人を演じる事になる。主人公には別の想い人がいると設定はひねりもない王道過ぎるくらい王道である。
すでに色々な雑誌でやりつくされているネタでありながらなぜ長期連載で人気を獲得し綺麗に完結できたのか?それは絵が上手くキャラに魅力があったのは当然であるが、それとは別に内容がジャンプでの邪道だったからではないだろうか?
当時含め現在でもジャンプでのラブコメ枠は主人公ハーレムはお約束である。これはニセコイにも言えるが、ニセコイは他の作品とは違う所がある。それは下手にお色気展開、俗にいうラッキースケベな状態を出さなかった事だろう。
これはジャンプのラブコメ枠では毎回エッチな展開を入れてきてる作品が昔から今でも続いている。確かに少年誌であるし、そういうシーンで人気を取りに行き、成功した作品もある。だがこれは博打も同様であり毎回毎回それをやられると読者も飽き、露骨なエッチな展開に嫌悪感を示す読者も多数いるだろう。実際ジャンプで連載していた某いちごの漫画は最後の方には毎回同じ工夫なしの展開で飽きられかけていた。
たまにはエッチな展開もある、だけど露骨過ぎない。日常の中でキャラクターの魅力を引き出すという方面にもって行った事はジャンプのラブコメテンプレパターンから外れているが逆に功をそうし成功したと言えるだろう。(とはいえこの方法でもリスクはあり、長期連載の人気を維持していないと出来ない方法である。)
実際にジャンプのラブコメがニセコイ含め3作同時連載の時期もありラブコメ対決になったが、他の二つはあっさり打ち切られニセコイが一人勝ちをしている。
他のジャンプ連載のラブコメとは違う内容
成功の一つが上記に書いたような露骨すぎるエッチな展開に走らなかった事とあるが、他にもある。
それは毎回主人公プラスヒロインの話ではなかったからというのも要因の一つだろう。ジャンプテンプレ内容なら毎回主人公がその話のヒロインと会いなにかしらトラブルがあったり・・という個別に物語を展開するのが王道であるが、その枠に囚われず、主人公と一緒にいない時のヒロインズや友人達の話をまるまる1話以上使い、まったく主人公が出ない話もあるほどだ。主人公だけではないヒロインズや他の友人達の日常の枠をしっかり描き主人公と一緒にいない別の一面を見せてキャラに深みを持たせているのだ。ヒロインズは主人公の事が好きだけど四六時中主人公の事を考えているわけではない。もちろん好きだが他の事も考えている。(たとえば例をあげるならダイエットなど)他のラブコメやジャンプ以外でのハーレムモノでは異常レベルになると主人公好きなヒロインズは集まっても普通の女の子らしい会話はしないで主人公の好きなものは?とか主人公に会いたいとか?主人公がこんな行動をしていた・・など主人公は?主人公は?とストーカーレベルの異常者なのだ。そういう内容はギャルゲー内とかの世界設定により場合によっては受けそうなネタであるが基本そういう主人公オンリーの会話ばかりはユーザーですら嫌悪するのが多いやりかたであり、失敗の原因になる。むしろ普通の会話をして主人公と一緒の時だけ、主人公の事にふれるくらいがちょうどいいのである。そして今作は主人公とヒロインが一緒に過ごす話でも露骨に恋愛という話を意識せず何気ない日常でちょっと好感度があがる程度のゆったりとした感覚と主人公が関わらない日常ルートというのをやっていたからこそ、色々な読者に慕われ長く続き最後まで綺麗に完結できたのではなかろうか?。
最後まで王道でありながら邪道だった
さてこのニセコイ25巻まで続き完結を迎えたが、最後の最後まで王道でありながら邪道を貫いた作品でした。物語序盤であきらかに主人公「楽」の約束の女の子は現偽者の恋人のメインヒロイン「千棘」だろうと誰もが思っていただろう。そして楽は物語冒頭の想い人「小咲」を振り千棘とくっつくと予想しえただろう。大半の読者の予想通り確かに千棘とはくっついた。それは物語冒頭から決まっていたことだし、納得しない読者がいただろうがしょうがないだろう。さて結末は王道だが過程で示された真実は邪道である。ここで読者の予想を覆す、約束の女の子=千棘ではなく、約束の女の子=小咲だったのだ。御互い忘れていたけど十年以上想っていた同士の約束を違えてまで千棘を選ぶという根本からひっくり返すような展開はまさに邪道と言えるだろう。最後に小咲を選ばなかったのに納得がいかず最後でコケた作品という人もいるかもしれない。だがラブコメでここまで連載し二度のアニメ化まであり最後まで人気を保ち続けれたのは間違いなく成功の部類に入り、それを成したのがいままでのジャンプのラブコメとは違う手法で物語を描いていたのが一つの要因であると言えるだろう。
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