男女問わずはまり込める本格ミステリー - ゴーストハントの感想

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ゴーストハント

4.504.50
画力
4.50
ストーリー
4.67
キャラクター
5.00
設定
4.67
演出
4.50
感想数
3
読んだ人
3

男女問わずはまり込める本格ミステリー

4.04.0
画力
4.0
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
設定
5.0
演出
3.5

目次

少女漫画にあるまじきハイクオリティなミステリホラー

この作品は小説が原作で、そちらは「講談社X文庫ティーンズハート」から出版されている。漫画のほうは「なかよし」で掲載されていたもので、それだけ見れば完全に「少女漫画」だが、ゴーストハントはそんな甘々ふわふわ乙女チックな作品ではない。もっと大人向けのレーベルが相応しいのではと思うところだが、あえて「少女漫画」を貫くのがシニカルで面白いし、「少女漫画」として出版されたものだからこそ、子供の頃からの根強いファンがいるように思う。私は中学生のときにこの漫画を読んだが、10年経った今でも変わらず大好きで(むしろ年々愛が深まっているような気さえする)、大人になってから読んでいたらここまでのファンにはなっていなかったのではないかと思う。

この作品の醍醐味はなんと言っても「本格的なミステリー」だ。ただ「法力や聖なる力で悪霊を祓ってめでたしめでたし」ではなく、「悪さをしている悪霊は一体『誰』なのか。何故その人は悪霊になったのか、きっかけとなった事件があるのか。悪霊の目的はなんなのか」。それを探偵のように証拠や情報を集め、地道に理詰めで推理していく。情報収集の仕方が科学的なのも興味深く、全ての情報が一つに繋がる瞬間は驚きと快感がある。

ホラー部分の表現もなかなか力が入っていて、軽すぎず重すぎず、ストーリーを楽しめる丁度よい怖さだと個人的には思う。

他にない魅力的なキャラクターたち

上記のように悪霊の経歴を詳らかにしておいて、しかし除霊するメンバーたちは仕事でやっているので、霊の事情などお構いなしに除霊してしまうのがリアル(?)だ。

そんな中、感性豊かな主人公が霊に同情し、悩んだり悲しんだりする姿に好感が持てる。全員個性が強すぎて最初はギスギスした雰囲気だった他のメンバーたちが、徐々に仲良くなっていくのはやはり主人公の存在があってこそだろう。除霊のたびに心を痛める主人公を心身共に守ろうと、全員がそれぞれに手を尽くし、主人公を中心に精神的な団結が結ばれていく。その様子は家族のようなのだが、主人公が天涯孤独なこともあり、本当に心から「ずっと家族でいてほしい」と思わずにはいられない。

イラストは苦手な人もいるかもしれないが……

そもそも昔の漫画なので、絵柄も相応に古い。しかし徐々に改善されていくので、そこは作者さんの成長も楽しみのうちに含め、食わず嫌いをせずに読んでほしいところだ。

毎回登場するキャラクターがかなり多い作品だが、顔アップのコマばかりではなく、背景や、その場にいる全員をきちんと書いているシーンもあるので情景を理解しやすい。作者さんとアシスタントさんの努力が分かる良い作品だ。いわゆる「もっと評価されるべき」な漫画だと思う。

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選ばれし霊能者メンバーたちナルとユージン――この物語最大のネタバレである。ナルは、普段は「渋谷一也」という通名を名乗っているため、周囲はナルのことを日本人だと思い込んでいる。そして読者も、ナルのことを生粋の日本人だと思い込んだまま、物語はラストまでずっと続いていく。ナルは見た目がアジア系であり、日本人の名前を名乗り、流暢な日本語を話す。そのため、誰もが彼を日本人だと信じて疑わなかった。しかし、彼の正体がバレなかった要因は見た目や名前だけではない。SPRメンバーたちの絶妙なキャラクター設定が、ナルの正体を余計に分かりづらくしてしまっていたのだ。読者は、作者の巧妙な罠に、最初からまんまとハマっていたのである。まず、ジョン・ブラウンの存在は大きい。金髪碧眼のオーストラリア人で、誰がどう見ても外国人であり、彼が話す日本語は“なんちゃって京都弁”というインパクト絶大な喋り方だ。「カタコト日本語の白人...この感想を読む

5.05.0
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