自覚のない悪ほどタチの悪いものはないわ。それを偽善と呼ぶんじゃないかしら?
近藤ムツミ
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新・ブラックジャックによろしくは佐藤秀峰による漫画であり、大学病院や医療現場についてを主人公の研修医の視線から描いた作品「ブラックジャックによろしく」を出版社を移動して改題を行ったものである。 題名の由来は手塚治虫による漫画作品「ブラック・ジャック」「ブッキラによろしく!」の両作品であるものの、内容にはつながっていない。シリーズとしての作品自体は講談社「モーニング」誌上で初めに発表されたものの、報酬が支払われないなどの理由により契約を解除、小学館「ビッグコミックスピリッツ」で改題され、移植編へと舞台を移して発表されている。 移植編では脳死や移植に関しての考え、ドナーなどの話のほか、登場人物の一人である高輪教授は腎臓と膵臓の摘出を同時に行ったことによる殺人罪、死体損壊罪での告訴経験があるなど深く掘り下げた内容が展開されており、深い内容や話の方向性、葛藤といった場面などは出版社や雑誌による認識の違いはない。
佐藤秀峰氏らしさとは何かこの作品の第一部にあたるとも言える「ブラックジャックによろしく」をはじめ、海猿や特攻の島といった佐藤氏の各作品にも共通してある「らしさ」がある。作品の中で語られている職業の内容や時代背景に特に関心がない人でも、普段仕事をしている中で、特にサラリーマンが感じやすい葛藤を表現している。会社の経営理念や上部からの指示が机上の空論になっており、現場の実態との矛盾を感じることなどは、問題意識が強い人は誰しもあるだろう。医師として研修中に、各科でその矛盾と対峙し、常に戦ってきたため問題児とされている斉藤は、新シリーズでも基本変わっていない。彼の様なタイプは生きづらさを感じやすく、損なタイプだと言えるが、彼に共感を覚え、素直さやその頑固さにあこがれを感じる人もいるだろう。大事な人だと言っているのに薄っぺらい医療に対しては情熱がかなりはっきりしている斉藤だが、どうも恋愛に対して...この感想を読む
腎臓を他人にあげることは出来るか…自分の子供やったり肉親やったりしたら出来るかもしれないけれど…。1巻はそこがテーマなのかなと思いました。医者や医療関係者は他人の臓器をもらってまで生きたいと思わないという話も何となく解るような気がしました。自分の臓器を差し出す気が無いなら、移植等勧めるなという、泌尿器科の医師の言葉が印象的でした。生きたいと思う人、そうじゃない人、自分の大事な人、恋愛対象じゃなくて大事な人、医者は何を基準に救えば良いんだろう…。腎臓を赤城さんに、提供することになるんでしょうか、続きがすごく気になります。斉藤先生が悩むことは、すごくリアルな感情で、とても伝わってきます。
近藤ムツミ
自分の行動に人を巻き込んでいるのに、責任転嫁をするような言動がある斎藤に、指導医の近藤が自覚するよう諭すシーン