熟成した私だからこそ
入るチームに悩む私
楽しみにしていた漫画がとうとう完結を迎えた。この漫画を読み初めてウン年。少し青臭か
った私が熟成する期間には十分であり、1巻からもう一度読み進めると思う所が昔と違うことに気づいた。読みはじめの頃私は考えていたのだ。自分が入るならどのチームかと。結果迷わず夏Bチームだと思った。他のチームは人間関係が不穏だ、和気あいあいの夏B以外にありえない、と。しかし最近読むと思ったのだ。Bチームは嫌だと。ナツと仲良くなれる気がしない、嵐の様に正論を言うくせに凹むと面倒くさい男や声の大きい蝉丸もあえて明るく振る舞うまつりも見透かす螢ちゃんも諸々無理。まず規制がなさすぎて無理。今の私のまま入るのであれば秋なのだ。上にボスがいる。やる事が決まっている、ノルマがある、恐怖政治と言われようが自分で決めるよりも采配してくれる人がいる方が生活しやすい。私は年を取ってしまった。
恋愛相手に悩む私
そもそも私はうるさい男や、肩幅狭めの今時男子が昔から得意ではない。ゆえに蝉丸、流星、朔也は元から恋愛対象に入らない。なんとなくでちまき、刈田、鷭ちゃん、のびたは省く。あと、テンションの低すぎる暗め男子も無理。夏Aは全滅じゃん!ハル、秋ヲ、要さん。残るのは新巻さんと嵐と角又。嵐は私が汚れすぎているので一緒にいるのは辛そう、角又お風呂入らない、新巻さん・・タタラの揚羽ポジ?くらいの印象。意外にも恋愛対象に対する考えは何年もたっているのにあまり変わっていなかった。でも皆お風呂に中々入れない環境で臭いとか気にならないかもと思っていた矢先角又が風呂好きになったシーンでしいて言えば角又かな、と思った。この人!と思える男性がいない状態でここまで面白く読める少女漫画。恐るべしだと改めて思った。
もし一生生きて行くならを真剣に想像する私
この世界で生きている女性達は化粧や身だしなみを整えるものを持っていない。自然本来の手作り品を屈指し、あるものでがんばっているのだ。鍵のついたトイレもない、月のものも、ナツのようにコソコソと処分しなくてはならない。見たこともない植物、食べ物。自然を愛していなければ生きて行くのは難しい。例え政府が美麗な若者を選んだとは言え、いつか彼らも年を取るのだ。今の世界よりもお肌に悪そうな環境で年を取り、見渡す限り同じメンツ。カプセルの子供達が解凍されても恋愛対象にもならない。毎日学び知識を得たとして、子供を生む事が怖い生活でどうすれば次世代の子供達を増やしていけるのだろう。カプセルが解凍されなければ流星とくるみの子供は大人達が死に絶えた後1人で生きて行く事になるんだろうか。関係ないが、蝉丸とナツの組み合わせは今まで見てきた田村先生作品の中で一番しっくり来ないカップルである。これから夫婦となり子供を作る想像ができない。あと、あゆと新巻さんも。あんなツンツン女子と新巻さんが合うのか?人とのコミュニケーションがうまく取れる女性になっていくのだろうか。子供達を解凍するよりも時間がかかりそうである。角又とうまく行けば幾分か早く感情を表に出せる女性になれる気がする。角又にしときなさいよ、とつっこみを入れずにはいられない。恋愛観は人それぞれなのは知っているが他の読者達もこの組み合わせを望んだのだろうか。夢ある作品なのだからせめて望んだ相手とうまく行ってほしかった。ナツは安吾を支えてほしかったな。安吾の心の傷をうまく癒してほしかった。蝉丸は一人でもやっていけるのに。その件に関しては割りきれないものがある。田村先生とは恋愛観が合わないのかも知れない。番外編で何か変化がある事を祈る。私だけかも知れないけど。
夢を見にくい年だからこそ夢ある作品に読みふける私
安定しない生活環境で恋愛はする気にならない。熟した私は冒険心をなくしてしまった。だからこそ政府は健康で夢がある若者を選んだのだろう。夢なくしてはこの世界で戦えない。この話が終わっても彼らは取り残された世界で行き続ける。少ない人数から生涯の伴侶を選びもし離婚なんてしたら全員が知ることになる。その後恋愛なんてできるはずもない。海外の生き残りに会いに行くと言うのも現実味がない。最後の海外からの手紙は行く為のフラグではない筈だ。この世界に自分達と同じ環境で生き残った若者達が他にもいるのだと奮起させる為のものだろう。自分の回りが安定していない状態で海外に行くのは無謀すぎる。彼らは小さな人間関係の世界で生きていくしかないのだ。これからの若者は、熟成する前に最終巻まで夢あるまま読み終わる事ができる。羨ましい。読み終わり、なんらかの夢を形にしようと奮起する若者が一人でも多くいてくれると、田村先生は成功したと言えるのではないだろうか。色々と考えながら読み終わりふと現実に返る。美麗である事が条件だから自分は若くても選ばれない。地球最後の日にどう過ごすかを考えよう。それこそが私の地に足ついた現実だと。
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