エジプトを舞台にした冒険映画の筆頭 - ハムナプトラ2/黄金のピラミッドの感想

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エジプトを舞台にした冒険映画の筆頭

4.04.0
映像
4.5
脚本
4.0
キャスト
4.5
音楽
4.0
演出
4.5

目次

色褪せないスリル

ハムナプトラシリーズは第1作からテレビで何度も再放送されている映画。そのせいか、よく知っている気になっていた。「またこれかよ」って思いながらロードショーを観ていた記憶があるのだが、よく見直してみれば確かに、何度も再放送されるだけあって面白いことに気づくのだ。

まず舞台が素敵。エジプトの謎に包まれたピラミッド、そこに眠るミイラ、復活のための儀式…エジプト神話に関してはいまだに特番になるほどであり、何千年も前に確かに存在したとされる人とその文明に思いを馳せ、きらびやかさを想像してワクワクしてくる。復活の儀式や、アヌビスの軍隊など、当時にしてはなかなかいいCGを使っていて、煙のようなものがそのまま死者に宿り形となるシーンはいまだに好きな場面だ。

そして、リックとエヴリンのぎりぎりのバトルがいい。死ぬか生きるか、本当にギリギリで、肉弾戦から銃撃戦、生身の体で闘う彼らは小細工なし。アクションならカンフーだよなーって思うけど、ハムナプトラのバトルはかなりワクワクする。絶対勝てないでしょ、っていう相手にもかかわらず、必ず突破口があって、仲間とともに乗り越えていくのが楽しい。今作においてはリックとエヴリンの息子であるアレックスが初登場。彼の活躍なしにはエヴリンは蘇らなかったはずだ。

最も緊迫したのはやはりあのラスト。死後の世界に引きずられそうになりながら耐えてるときだ…あれは緊張した。絶対助かるって思っていても、どうやって助かるのかは全然読めなかったしね。

愛しすぎちゃう

ギャグ要素と言えば、リックが何年経とうがエヴリンの虜であるため、危ない闘いの最中だったとしてもお構いなしに愛し合うこと。そのおかげで何度アレックスが危険な目にあったか…「パイレーツオブカリビアン」のシリーズでもそういう兆候はあったが、ハムナプトラほどじゃない。ハムナプトラでは本当にそのせいであらゆる危険に発展していくのだ。

情熱的に、見つめあって、ぶっちゅーと爆発してしまうシーンはやはりアメリカっぽいなー…って思う。日本人じゃ絶対ないじゃない。闘いの最中は闘いに集中して後からやろうって話になる。文化の違いだわ。でも今作ではそれが大変な迷惑につながっているからね。ディスっていたのかもしれない。

イムホテップとアナクスナムンの降臨したミラのラブもまた濃かったね~…前世では、セティ1世の妻になるところまでのし上がり、イムホテップと不倫。イムホテップと結託してセティを殺しちゃうっていう…実に嫌な女だった。だけど、当時の暗殺なんて簡単にバレるもので、イムホテップの逃亡を助けるために自ら自害するという…それほどまでにイムホテップを愛していたんだね、とわかる女だった。しかし、現世におけるアナクスナムンは、ミラという別の人物。イムホテップが死後の世界へと引きずられ堕ちていくとき、彼を見捨てて走り去ってしまうのだった。結局は、この人はアナクスナムンじゃなくてミラ。イムホテップの愛した人じゃない。そして、もしかしたらアナクスナムンも、本当は自分のほうが生きたかったのかもしれない…愛していたのはイムホテップだけだったのかも…愛しすぎて蘇らせたのに、うまくはいかない悪者たちだった。

ネフェルティティとアナクスナムン

セティ1世の娘のネフェルティティはエヴリンに生まれ変わり、セティ1世の妻だったアナクスナムンはミラへと生まれ変わっていた。自分の目的のために夫の娘をも蹴落とすことができる悪女のアナクスナムン。現世においても盗賊側だなんてね。血は争えないとはまさにこのことなのだろうか。

妖艶さで言えば、エヴリン役のレイチェル・ワイズが圧倒的。あの目と口がね…妖しさがダダ漏れている。リックが誘われるのも仕方ないくらい…。その顔に似合わずなかなかなアクションを見せてくれるので、お気に入りだ。ミラ役のパトリシア・ヴェラスケスもまた素敵だが、ちょっと年上系でね…前世のアナクスナムンのときのほうが美人でかわいかった。

王の娘と王の妻。どっちのほうが優位なのか?って思うと、娘のほうが大事ってことはなかなかない。いつまでも若くてきれいな女を周りに侍らせて楽しみたいのが王だからね。そして王の妻にいい人間がいるの?っていつも疑問。猜疑心と野望しか持っていないような女ばかりが王妃になっている気がする…。良く言えば、偉大なるエジプトの王を支える女は、打たれ弱い女では務まらないのかもしれないってこと。悪く言えば、お金につられてそのポジションに君臨しようとする女は、どこの国もみな同じってことだ。

ミラがラストでイムホテップを見捨てて走り去った後、ミラがスカラベたちに喰われて結局死後の世界へと落ちていった姿は残酷で、でも自業自得な結末だった。ハムナプトラは物語の最後をあいまいにすることなく終わらせてくれるから好きだね。続きがあってもなくてもいい感じ。

まさかの蘇生

エヴリンに関しては、まさか蘇生するとはね…ってびっくりだった。しかも、ここで息子のアレックスを大活躍させる。エジプト語をすでに読めるというアレックスが、エヴリン復活のための言葉を使い、華麗に復活させたときはマジで最高だった。家族みんなでやり遂げる。子どもだろうが活躍できる。そんな気持ちにさせてくれるね。しかも、大事なところは普段使えないジョナサンがやってくれたしね。第1作ではほんとどうしようもない男だと思ったけれど、第2作目では活躍の場があってよかったよ。そうでなかったら、アレックスの大事な母親が蘇ることなんてなかったんだから。物語的に、どう考えてもリックの大切な妻が死ぬわけがない。そうは思っていても、なかなかインパクトのある演出だった。

イジーやアーデスも含め、リックたちオコーネル家の冒険家に協力的な人がいると嬉しいよね。一緒に戦おうっていうのって、何歳になってもワクワクする。孤独な闘いよりも、楽しい。みんな生きててくれたらもっと嬉しい。誰かが死ぬと本当に…心えぐられるわ。「ワンピース」でエースが死んだみたいに、主要キャラが死ぬのって本当に過酷すぎる。

冒険は続いていく

ハムナプトラは第3作も登場しているし、さすがの人気ぶり。でも第3作ではレイチェル・ワイズじゃなくなってるんだよねーエヴリンが。マリア・ベロって…近いような遠いような…まず髪色が違うんですけど。だから第2作目までがその雰囲気壊さずできている気がしている。アレックスも大きくなってしまえばなんか可愛さが半減するし。案の定、第3作目では息子のアレックスが活躍し、エジプトじゃなくて中国へと移っているのがちょっと気に食わないところで。エジプトに関してはやりつくした感もあるけれど、ハムナプトラと言えばエジプトなのになー…って思ってしまう。10年も続けば俳優が変わってもしょうがないのだけれど、やっぱり残念だ。

第1作から続くコメディー要素、スリルたっぷりのバトル、そしてあのガイコツ兵士の大群…年に何回かは見たくなる楽しさがある。ガイコツたちは「ハリーポッター」のディメンターを思い起こさせる雰囲気があって、個人的にはお気に入り。雰囲気づくりにかなり役立っているし、サソリの大群よりも怖さを引き立ててくれていたと思う。第1作と違ってイムホテップのこともちょっとかわいそうだなーって思えたし、強いばっかりに死んでからも利用される人の悲しさもしみじみと感じる。

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前世と運命に翻弄される登場人物たち

運命と偶然の差はわずか夢で見た場所を探してエブリンとオコーネルはエジプトの遺跡にたどり着きます。しかし厳密には夢ではなく前世の記憶だったようです。前作で対決したイムホテップとアナクスナムとエブリンは前世からの因縁でつながっていたようです。そしてオコーネルはエブリンを守るべくして生まれた神の守護者だったようです。だからこそ二人は出会ったのだというアーデスに対し、オコーネルは偶然だと言います。反対にエブリンは夢を自分の前世として受け入れ、スコーピオンキングの復活を阻止する役目が自分にはあるとして動きます。オコーネルは壁画にかかれた自分と同じ刺青をもつ戦士がスコーピオンキングをたおす絵を見てやっと自分の運命を受け入れることを決めたようです。スコーピオンキングを倒す際、イジーに渡したはずの槍をジョナサンがピラミッドに運んできたことからもやはり、オコーネルがスコーピオンキングをたおす運命だったと...この感想を読む

5.05.0
  • kilyoukakilyouka
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