前世と運命に翻弄される登場人物たち
運命と偶然の差はわずか
夢で見た場所を探してエブリンとオコーネルはエジプトの遺跡にたどり着きます。しかし厳密には夢ではなく前世の記憶だったようです。前作で対決したイムホテップとアナクスナムとエブリンは前世からの因縁でつながっていたようです。そしてオコーネルはエブリンを守るべくして生まれた神の守護者だったようです。だからこそ二人は出会ったのだというアーデスに対し、オコーネルは偶然だと言います。反対にエブリンは夢を自分の前世として受け入れ、スコーピオンキングの復活を阻止する役目が自分にはあるとして動きます。オコーネルは壁画にかかれた自分と同じ刺青をもつ戦士がスコーピオンキングをたおす絵を見てやっと自分の運命を受け入れることを決めたようです。スコーピオンキングを倒す際、イジーに渡したはずの槍をジョナサンがピラミッドに運んできたことからもやはり、オコーネルがスコーピオンキングをたおす運命だったと考えられるでしょう。
いま目の前に起こっている出来事が、運命なのか偶然なのかそれは誰にもわかりません。運命だと思えば運命になるし、偶然だと思えば偶然となる、どう思うかは自分次第なのかもしれません。なぜなら運命だと思う人は1回の偶然だけでも運命だと思うし、偶然だと思う人は何度も偶然が重なってもやはり偶然だとしか思わないでしょうから。ただアーデスの言葉通り「運命と偶然の差はわずか」です。運命であれば偶然だと思って何度やり過ごしたとしても、また自分のもとにかえってきます。どうせかえってくるのであれば1回目の時に運命だと思って成し遂げるか、またかえってきたときに成すのかはその人です。
前世からの愛を貫いたイムホテップとアナクスナムン?
前作から、アナクスナムを前世からの約束通り復活させようとがんばっていたイムホテップですが、ピラミッドが崩れる中アナクスナムに助けを求めますが、見捨てられてしまいます。結局アナクスナムも死んでしまいますが、何千年も経て再会した恋人にしてはあっけない別れだったと言えるでしょう。それとは対照的に同じ状況下でオコーネルはエブリンに逃げろと言い、エブリンはそれに反してオコーネルを助け出します。結果二人とも助かり無事ピラミッドから脱出することができました。あまりに正反対の自分たちの関係を見てイムホテップはあきらめがついたのでしょう、自ら死の淵に飛び込んでいきました。
前世からの愛といえば永遠のような気がします。よく現世で結ばれなかった二人が来世では結ばれることを約束し死を選ぶという物語がありますが、たいていの場合また結ばれずに終わってしまうようです。実際のところは誰にもわからないところかもしれませんが、これが運命だとすれば二人が結ばれなかったことに対してもそうなるべき何かがあったのでしょう。イムホテップとアナクスナムの場合、そもそもお互いが自分の命をかけてまでも失いたくない相手ではなかったのかもしれません。ただ前世からの約束・未練だけで相手を求めていただけだったのかもしれませんね。そういった意味では、もう未練は残っていないでしょうから、またお互いを復活させるために誰かを犠牲にすることもなく、今回は未練を解消するために必要だった一時的な再会だったのかもしれません。
アレックスが幼くして有能になっているのも運命?
まだ8才でありながら古代ギリシャ語を読んでしまう、まさに考古学のサラブレッドです。とっても口が達者で頭の回転も速く、大人もたじたじです。とくに暗殺者ロック・ナーとのやりとりは最高で、アレックスの言動にいちいち反応します。アレックスもその反応を楽しむかのようにわざと挑発するような言動を発します。大人がどういったらムキになるのかまるでわかっていてやっているかのようです。父であるオコーネルに何度も「いい子にしていろ」と言われる場面がありますが、この言葉からもふだんから父や叔父であるジョナサンで大人のからかいかたは練習しているのかもしれません。
しかしアレックスはただ生意気なだけの子どもではありません。自分の次に向かう場所を教えるために、砂で建造物をつくったり、エブリンを生き返らせるために「アムン・ラーの書」に書かれた古代ギリシャ語の呪文を読みます。まるで必要になるのがわかっていて学んでいたかのようです。汽車の中でミラに「親のためにもいい子になんかしないのに」と言い放っていますが、ここでは親のいうことを聞かなかった経験が役立ってます。親のいうことをよく聞く「いい子」になることは実は簡単なことです。物事を自分で決めるのではなく親に決めてもらえばいいのですから。しかし「いい子」にならないようにするためには、まず親のいうことを聞くわけにはいきません。親のいうことを聞かないのですから自分の行動は自分で決めるしかなくなります。その普段から考える力が、危機的状況でもどうやったら自分が助かるのか考える練習になっていたのでしょう。
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