いきいきとしたキャラクターと深みのあるストーリー - じゃりン子チエの感想

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アニメレビュー数 2,474件

じゃりン子チエ

4.604.60
映像
3.50
ストーリー
4.20
キャラクター
5.00
声優
5.00
音楽
4.30
感想数
1
観た人
2

いきいきとしたキャラクターと深みのあるストーリー

4.64.6
映像
3.5
ストーリー
4.2
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
4.3

目次

昔の作品ですが、子どもの頃に見た印象と大人になってからでは作品から見えるものが違いました。

子どもの頃は、小学生なのに友達と楽しく遊んだり、宿題をするのではなく焼き鳥(ホルモン)を毎日焼きながら店を一人で賄って家を守っているチエちゃんの大人顔負け(将来のためにへそくりもしている)な姿やテツ(父親)のギャンブルや博打でお金を使い、働かない姿に尚更しっかりして下駄を振り回して追い回す姿に尊敬と純粋な面白さ(飼い猫が喋る)が気に入り毎週欠かさず見ていました。

大人になり、もう一度見たくなりDVDボックスを購入して見直すと、主人公であるチエちゃん以上に周囲の大人たちの優しい見守りがあってこそ、ぐれたり、やけくそになることなく「うちは日本一不幸な少女や」とは言っていますが、真っ直ぐに生きていけるのだと思いました。

別居中の母親やテツ、祖父母は、もちろんの事、お好み焼きのおっちゃん、テツの小学校時代の恩師、ヤクザ2人組み等、チエちゃんの家の事情を知っているからこそ、テツに親としての生き方を助言したり、活をいれ、出来る範囲で助けてチエちゃん達家族の事を見守ってくれている事に改めて気付かされました。

見返すたびに年を取った分だけ見えてくる、登場する大人たちの思いに触れる事が出来るのがこの作品の素晴らしい所です。

いきいきとしたキャラクターと命を吹き込む声優さんのフィット感がすごいと思います。

特殊設定のキャラクターや設定、ストーリーのアニメが多い中、大阪のどこにでもあるような日常の中に、現実離れしていない毎日を一生懸命生きる普通の人たちの姿を描いた希少な作品だと思います。

そんな日常の中、唯一違うのは、物語の中を縦横無尽に駆け回り、引っ掻き回す個性溢れる登場人物達の姿です。

まずは主人公で、小学生でありながら焼き鳥屋さんを一人で経営して自活し、父親顔負けの強い心と気概があり、ヤクザ相手でも怯まずに思った事はきちんと言うことができる。

逆に悩み相談まで受けて、下駄で活を入れたり、感謝されて親しくなるところが人情味あるチエちゃんの良さだと思います。

父親であるテツも、働かずに父親から嘘を言ってはお金をせびり、そのお金で博打を打ち、ヤクザでさえもビビって逃げ出すほどの喧嘩の強さを持ち、怖がられる存在と今で言うマダオ(まるで駄目なおっさん)に見えます。

しかし女性には強気な事は、言っても頭が上がらずに(母親やチエちゃんには特に)決して暴力を振るうことはありません。

逆に母親からはたかれ、チエちゃんからも下駄で叩かれますが、やり返したりしない所が憎めないですね。

小学生一人を夜間に働かせるなど今の時代なら即児童相談所へ通報物件ですが、チエちゃんへの愛情は本物で、マラソン大会用に靴擦れしないようにと石鹸を塗ってあげたり、大きな応援旗を作って応援に行くなど、愛情の深さがテツの長所だと思いました。

そんな性格だからこそ、喧嘩で負けてビビって逃げてたヤクザや関わらずにおこうとしていたお好み焼きのおっちゃんもテツを嫌いにならずに付き合っていけるのだと思います。

そんなテツの両親も母親は、孫に働かせ、自分は博打を打つテツにキレながらも、チエちゃんの焼き鳥ホルモンの仕入れに協力したり、テツ以上に怒ったら止められない豪快な人。

父親は、気が弱く、テツに何回騙されてもお金を貸してしまう所があり、おかしく思って博打かと思っても優しさゆえに渡してしまう為、孫のチエちゃんからも怒られてしまう。

チエちゃん家で一緒に住んでいるコテツとお好み焼きのアントニオJr も普通の可愛い愛玩系の猫とは一線を画す。

言葉を話すだけでなく、コテツは、アントニオJrの父親を玉つぶしで倒すなど喧嘩も負け知らずな強さだが、人間社会を猫とは到底思えないほど達観して見ている。

チエちゃんの前では、愛想良くしているが、敵とみなすと棒を持ってきて殴ろうとしたり、野球賭博に参加したりとチエちゃんの一番の理解者で人間味溢れる猫だ。

アントニオJrも父親の敵にとコテツを倒そうとしたが負け、今ではコテツの良い相棒になった。

そんな個性的なキャラクター達に息を吹き込んでいるのが声優ですが、こんなにピッタリと自然体な演技で関西弁を操る方達で本当によかったです。

本職の声優さんも演じていらっしゃいますが、関西出身の吉本新喜劇等に出られている、テツ役の西川のりおさんなど、他にいないと思う程、真っ正直な所や怒ると怖い所等を自然体で表現されているので、良い意味で作られていない演技だと感じました。

私自身が関西出身なのもあり、わざとらしい関西弁というのが苦手で、日常にあるような自然な関西弁の演技ができる方達だったからこそ、この作品をすぐそばに感じられたのだと思います。

家族の繋がりの深さ、大切さをこの作品から改めて学びました。

チエちゃんは、両親の事情でお母さんが家を出て行きましたが、月に一回は母親と外で待ち合わせて会っていますが母親と会ったときのチエちゃんはお母さんを心配させないように元気に明るく精一杯振舞います。

お母さんと一緒に暮らしたいけど、テツを一人置いていくわけにはいかない。

どちらも大切だからこそ今の生活を続けている。

そんなチエちゃんの気持ちを祖父母やテツの恩師の先生は知っているので、仲良く昔のように暮らせるようにと3人で出掛けるシーンがとても深く心に残っています。

久しぶりに会ったので気まずく、会話の無い両親にチエちゃんが機転を利かせて歌を歌う。

2人は、たくさんの人前で歌いだした事に焦り、テツも止めるようにお母さんに頼み、そこから自然に2人は話しだします。

テツは、チエちゃんがどうしてそんなことをしたか不思議そうでしたが、「自分達2人が話せずにいたからそうしてくた」のだと「チエは私よりもしっかりした子やから」とお母さんが話す場面で、大好きな両親のために、周りの同じ小学生の子達よりも早くしっかりとしなければならないチエちゃんのその気持ちが、お母さんのその一言に詰まっている気がしたからです。

家族3人がお互いを思いながらも、今の時点ではどうしようもなく離れて暮らしているけれども、家族愛の深さを感じさせられた大好きな作品です。

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