末清の歴史と小説の融合作品 - 蒼穹の昴の感想

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蒼穹の昴

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文章力
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ストーリー
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キャラクター
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設定
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演出
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末清の歴史と小説の融合作品

4.04.0
文章力
4.5
ストーリー
5.0
キャラクター
3.0
設定
4.0
演出
3.0

目次

汝の守護星は胡の星、昴

この小説は単行本で1〜4までのシリーズで、浅田次郎が書いた作品である。主人公は春児(ちゅんる)。

春児は星読みの老婆、白太太(ぱいたいたい)に、中華の宝はすべて春児のものになると言われる。春児は、この言葉を信じ生きていく。しかし、この予言は全くの嘘である。白太太が春児がかわいいとなくすには惜しいと初めて、嘘の予言を言ったのである。本当の予言は死んでしまうというものだったのだが、春児は自分の力で運命を切り開いていく。

科挙登第

春児には文秀(うぇんしゅう)という兄の義兄弟の契りを交わした人物がいる。

文秀もまた白太太によって皇帝になる光緒帝を支えていくことを伝えられる。文秀は、お金持ちのおぼちゃまであるが、お酒をくらい女の尻を追うようないわゆるうつけ者。兄の文源は、父や地域の人々からの人望が厚く期待されてきた。しかし、科挙登第を果たしたのは、ついでと言われた文秀だった。そこから、春児と文秀の運命が別れていく。春児は、文秀が科挙登第できたのだから自分もお宝を貰えると信じるようになる。教育も何も持っていない春児は宦官となる。宦官とは男性性器を切り落とした男性のことである。進士となった文秀と宦官の春児は関わり合うことさえ罪となる。

文秀は光緒帝を支え、春児は老仏爺(西太后)を支え続けるそして、文秀は楊喜禎(ヤンシーチェン)とともに、西太后の政治を終わらせ、光緒帝の政治にしていこうとたくさんの同志を集め始める。楊喜禎といえば、とても有名な学者で文秀の妻の父親である。とても、真面目でお酒やお肉などはいっさい口にしない。文秀が科挙試験を受験した際も楊喜禎が採点している。文秀は、科挙試験で不思議な体験をする。それは、隣で試験を受けていたお爺さんが自分の答案用紙を科挙登第させてほしいと言われ、断るとお爺さんは怒りそして亡くなってしまう。朝目が覚めて答案用紙に何も記入できていないことにより、焦るがなんども推敲した下書きは真っ白になっており、清書してないはすの提出用紙は真っ黒になっていたのだ。文秀は自分が不正をしてしまったのではないかと考えるようになる。楊喜禎へ話すと科挙には魔物がいる。そうして文秀は科挙登第を果たしたのだ。

春児と西太后

西太后といえば、悪女として知られているがこの小説内の西太后は生きる仏であり大清帝国を思い続ける一人の女性である。

春児は、宦官としてたくさんのことを学び、西太后のもとへ行くことになる。例えば、劇。黒牡丹(ヘイムータン)という西太后お気に入りの役者だったものから、演技指導を受ける。料理。これまた西太后のお気に入りだった料理人、周麻子(ジヨウマアズ)から料理を教えてもらう。掃除。これは宮廷を朝から晩まで掃除をしていた金八(チンパー)から一日中屈んで掃除するすべを学ぶ。西太后のもとへ行くきっかけとなったのは、演劇であった。西太后はよく演劇を見ていた。そのため、宮廷に仕えたいと思うならば、役者になるのが一番の近道なのである。黒牡丹に教えられていたため、春児の演劇は黒牡丹を知っているものからしたら黒牡丹の再来としか見えないだろう。それは、西太后とて同じだった。

「黒牡丹じゃ!うちの黒牡丹が帰ってきた!」この言葉だけでも、どれだけ西太后が演劇をこよなく愛し、黒牡丹の演技を愛していたのかがわかる。そして、黒牡丹はどこにいるのか西太后は春児に聞くがその時にはすでに亡くなっていたため嘘を伝えるわけにはいかないので亡くなったことを伝えると西太后は落胆してしまう。そこで光緒帝はすかさず助け舟をだし、春児が西太后に仕えるようにする。この小説の中で、西太后と光緒帝は歩み寄ろうとするシーンがたくさんある。お互いを大切に思い合っていることがわかる。光緒帝と仲良くしたいのに周りが許してくれないと嘆く西太后を春児は支える。西太后の気持ちを汲み取っているが行動ができない光緒帝を維新へと引っ張っていく文秀。なんどもすれ違い最後には泣きながら、西太后に光緒帝が着ていたロンパオをきて紫禁城へ向かうところで終わる。

この小説の感想

この蒼穹の昴の小説で思うところは、進士と宦官は口を聞くのも憚られることである。なぜなら、いくら国を乗っ取られる可能性があるからと言って意見交換できない環境に至ってしまったことだと思う。お互いに歩み寄ることができたのであれば、西太后は悪女・鬼女と呼ばれることもなかったのではないか、ヨーロッパから蹂躙されることもなかったのではないか。

そして、宦官制度。この当時、宮廷には皇帝や後宮のものに使える宦官がいがいた。宦官とは、男性の性器を切り落とし後宮の者たちに使える人権もないような人たちのこと。現代社会では考えられないだろうが、いきていくのににっちもさっちもいかない家族では珍しくなかったようだ。この小説は、ただの小説ではない。歴史的なことと人権を考えるきっかけになる小説だとおもう。一度だけではなく、何度も読むとより理解が深まって行くと思われる。

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