可もなく不可もなく
キラキラ感の強い作品
王道的パターン、女性の憧れるシチュエーションをこれでもかと盛り付けてスペシャルパフェにしたような作品。もうとにかく片っ端から盛り付けられているので、最初は展開も腑に落ちない部分も多く戸惑ったが、そこは主人公のだらしない女の部分が妙なリアル感を出してカバーされ、納得させられるような感じです。
このマンガの1番の面白いところは、主人公のキャラクターの背景にお坊さんという設定を盛り込んで、対局として英会話講師という、ま逆の設定を盛り込んでいる部分です。環境の違いや、思想の違い、育ち方の違いから様々な恋愛観や出来事が飛び出してくるので飽きずに読み進めていけました。
現実で考えて、あんなエロ坊主いるのかな?と思いましたが、あー居てそー、とまたすぐに思い直しました。表の意味でも裏の意味でも、とにかく妙に設定がリアル感満載で面白いと思います。
現代風のリアル感
いい意味での現代風な作品だと思います。イマドキにありがちな女性が貞操感を喪失している部分や、かといえばコミュ障のような喪女がでてきたり、オシャレで気が利いて可愛いフリして家族背景が複雑だったり、現代の女性のギャップや温度差をよく捉えて表現しているなと感じました。
派手か地味か喪女か、なかなかの奇抜なジャンル配分ですが、なるほどなーと納得できると思います。派手の中にもだらしないのや妙に純情なもの、地味のなかにも見た目だけか中身までもか、喪女のなかにも堂々とするのかしないのか、色々ランクはあると思いますが、自分自身がその中で振り分けられるとしたらどのジャンルになるのか考えてみるとそれもまた悪くは無いです。
キャラクターの魅力
女性キャラクターは、奇抜なジャンル分けだけれども、まぁ、あるっちゃあるなといった感じですね。マンネリ化一歩手前な印象。
夜がだらしない女、貞操を守り続けた女、胸がデカくて裏表のあろ女、地味で暗いのに顔が可愛い女、よくあるパターンが多い。
男性キャラクターは、王道的パターンだけれで人物背景が奇抜で、富に飛んでいる。
お坊さんな男、外国人講師の男、上役で恋愛下手な男、ゲイなカップル、爽やかなヘタレ。色々寄せ集めて女性に絡ませて、あら不思議恋愛マンガの出来上がりです。
私のイチオシは、少々漫画なのに、少女漫画に出てくるゲイなカップル(笑)ゲイであることを美しく描いているけれど、ゲイであるがゆえの自由もあり束縛もあり巻き込み巻き込まれ、物語を盛り上げる一部になっています。少し非現実ですが。
そして、喪女と外国人講師のカップル、まだ結末は出ていませんが、この先の展開も結末もほんのりと予想ですら立ってしまうのに、なぜか無性に萌えてしまうという不思議な魅力が。。
悲しくも日本で生まれ育った私には、西洋の方々の生まれ持ったレディーファーストな部分や、ジェントルマンな部分が、たまりません。兎にも角にも憧れしかない設定です。現実として考えたのならば、お国が違えば思想が全く違うので、なかなか国籍が違うカップルって、うまくいかないと思います。漫画ならではの設定ですね。
面白い漫画って不思議と脇を固めているサブキャラクターが光る作品が多いですよね。それは、映画でもドラマでも何でもそうなのでしょうけれども。脇役が地味な作品は内容が無いと思います。ほどよく個性が光り良い味が出ていると思います。
英会話のセンス
この作品には、英会話を使うシーンがふんだんに盛り込まれているのですが、その使い所がシンプルでありながらもとてもセンスいいなぁ!と思いました。
単なる呼びかけの、Hey!という一言も、明るく笑顔で言うのなら平凡だけど、焦って連打のHey!Hey!Hey!なら、思わず笑いが出てくるような場面に切り替わるし、自分自身への悪態をつくところも、日本語ならクソっ!ですが、英語ならfuck,n!で、一気にニュアンスが変わって受け取り方がかわりますよね。日本語ならでわの良さ、英語ならでわの良さニュアンスをとても上手に使っていると思いました。大人になってからの英会話を習いたくなりました。
恋愛の駆け引き
やっぱり恋愛漫画ですから、話が進む中で恋愛の駆け引きがたくさん出てきます。私個人の考えですが、男女の仲でこんなにややこしい駆け引きが行われるのは日本人だけではないのでしょうか!?
言い方を変えると、しちめんど臭い、とにかく面倒な感じ。世界各国、男性も女性もとにかく男女関係に至ってはとてもシンプル&ストレートな印象です。好きなら好き、合わないなら合わない。
それをまた日本では、
好きよ、好きだけど、嫌なような嫌じゃないような、知られたほうの負け、惚れられた強み、様々で裏をかいては自分自身が優位な恋愛をしようと駆け引きをしますよね。
もうめっちゃ意味不明!と思います。(笑)
でも、そういう思慮深さがあるからこその日本語の奥深さだったり、言葉だけでは表しきれないような部分の美しさだったり、そういうものがあるから日本の漫画は世界各国で愛されているんだろうなぁと思います。
少し話が逸れましたが、これぞ日本!といえるものって恋愛の駆け引きなのではないかといっても過言ではないと思っています。それぐらい男女の関係ってシンプルなようでいて奥深い、だけど蓋を開けてみたら簡単明瞭だったなんていう、なんとも不思議な永遠のテーマですよね。
作品に出てくる駆け引きは、ミイラとりがミイラになる瞬間がメイン駆け引きとして使われています。
外国人講師が喪女をからかって落としてしまおうとして、ウッカリ深読みしすぎて自分がすっかりハマってしまう駆け引き。主人公の女性に彼氏がいると知りながら惹かれて無自覚にハマる上役の間抜けさ。女の体に溺れる煩悩まみれの情けないお坊さん。
共通点は自分をちょっと賢いと自覚のある男性が、女性にハマるという部分。普段自惚れている分、ハマりだすとタチが悪い。あんまりに王道すぎてナイナイなんて思いながらも確実にハマる瞬間が面白おかしく描かれています。読み進めながら、あまりにも王道的すぎて間延びしたように感じる部分も多くありましたが、まぁ結局のところ恋愛が行き着くのはこんな感じなのだろうなと思い納得です。
エロさの描き方
読み進めながら最後まで自身では納得がいかなかった部分は、貞操観念です。とにかく、軽すぎる、軽率すぎる。そのほかの設定や人物背景が面白かっただけに、エロになだれ込む部分に、無理矢理感を感じて一気に冷めてしまいました。出会って知り合って身体n関係に至るところまでhq良しとしても、一体何がどうなったら、いつの間にか精神もメタ惚れの骨抜きになっているのかまったく意味不明で何回か読み返しても、やはり変だなと感じます。そこらへんも設定きちんと組み込んで表現してほしいですね。絵で現してるなんていう漫画家さんのコメントも過去目にしたことがありますが、それ神かよ!って思います。受け取り方、感じ方、人間何万人何万通りあるのに、絵で現したことが人にそのまま伝わるわけが無い。芸術家ぶらないで、隅々も丁寧に処理してほしいです。
最後に、色々賛否両論あると思いますが、話がどうというよりは、登場してくるキャラクターが個性豊かで飽きない魅力がある作品であると思います。話の流れはよくあるパターン、キャラクターは現代風、そこに作者のカラーも加わり、現実味と空想が入り混じった恋愛漫画であると思います。可もなく不可もなく、新品では買わないかな、という風な私個人の意見です。
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