沢木の存在価値は才能だけか - もやしもんの感想

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もやしもん

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映像
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音楽
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沢木の存在価値は才能だけか

5.05.0
映像
4.5
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
声優
4.0
音楽
4.0

目次

もしかしたら天才かもしれない

沢木惣右衛門直保菌は、見えるという特殊な能力がある、。その特別な能力は使い方によっては、天才と呼ばれるにふさわしい。なにしろ、菌が見分けられてコミュニケーションも取れるのだから。

しかし、沢木惣右衛門直保には、あまり特別優れているという自覚がないように見える。才能や特殊能力を持ったものの、おごりや高ぶりはまったくみられない。むしろ、できるだけ目立たないように過ごしたいと思っているようだ。過去の学生時代の、さまざまなトラウマが影響しているのだろうか。

日本では、人と異なるということが、悪く捉えられることが多い。特に学校ではそうかもしれない。そんな学生時代を過ごしてきたように、沢木は大学でも積極的にその能力をアピールしようとはしていないようだ。

誰もが欲しがるような、菌が見えるという能力

沢木はむしろその能力を隠そうとしているようにも見えるが、菌が見るという能力があるということは、じわじわと知られていく。沢木の周囲には基本的には善人しかいないが、沢木の能力を利用しようとする人もいる。それに対しても沢木は強く反発するわけでもなく、できる範囲で協力をしたりしている。

「自然体な受身」と言うのが沢木の性格の印象だ。おとなしい子どものような性格。それだけの才能を持ちながら、野望をいだいたり積極的に何かをしようとはしない。

もしも沢木が野望を抱けば、夢の新薬開発や生物兵器の作成も簡単かもしれない。いや、それどころかノーベル賞すらも受賞できそうなのに。

「受身すぎる」というのが、沢木の沢木自身の解決しなければいけない課題として、描かれているように思える。

もやしもんは成長物語だろうか

もやしもんは、大学が舞台の恋愛あり、友情問題あり、過去のトラウマありの物語になっている。そして沢木以外の人々は、積極的に何かにどんどんチャレンジしていく。

例えば、幼馴染の結城 蛍は何故かゴスロリの服を突然着るようになった。これは特に説明はされていないが、心理的には、自分を大きく変えたいという、心の現われのなのではないだろうか。芋虫が蝶になる前にさなぎになるように、一度変身してから、また大きく変わる。そんなさなぎの状態を象徴しているようだ。

また、長谷川 遥はまだまだ男社会の大学で認められることに挑戦している。美里や川浜は、小銭を稼ぐ方法をさまざま考える。

沢木はそんな人々のなかで、影響を受けながらすこしづつ変わっているようにも、換わっていないよういも見える。もやしもんは、沢木のゆっくりとした成長を見守っているようだ。

与えられた環境や才能と自分で見つける未来

そしてある時、沢木は菌をみる能力を失くしてしまう。能力を無くした沢木には、存在価値がないと考える長谷川に対して、美里や川浜は沢木の価値は才能だけではないだろうと怒る。

沢木は菌が見えなくなる出来事で、自分の存在価値について考えなければならなくなる。菌が見えることで嫌な思いをしてきたのに、見えなくなっても嫌な思いをすることになってしまう。

沢木は、自分の実家を継がなければならないことを、少し重荷に思っている。生まれつき決められた環境と、欲しいかどうか選べないのに決められた才能。

決められた生まれつきの環境と、自分で選ぶ未来のバランスをどうすべきなのか。それも沢木の課題として描かれている。

持つものの悩み

自分の未来は自分で自由に選ぶべきだというのが、近年の自由尊重の考え方だ。何代も続く家業を継ぐのは、人によってはうらやましく思うだろう。では、継ぎたいのかどうか分からない人に、継がなければならない家業があるときは、どうすべきなのか。

沢木はそれに加えて、特別な能力がある。持つものは、それだけ自由がなくなるということでもあるのに気づかされる。

特別な才能があることは、自由がなくなるということなのだろうか。

菌と仲間たち

沢木はいずれ、自分の進路をえらばなければならない。いずれ選ばなければならない時を前に、自分や自分の未来をもんもんと考える。学生時代とはそんな時代なのかもしれない。

菌や学校の先輩達との交流をとおして、菌が酒を醸すように、ゆっくりと沢木も醸されていく。

沢木は結論を出すまでに、何を考えてどんな選択をするのか。楽しみになってくる。

もやしもんはパラレルワールド

菌は「もやしもん」のなかで、自由自在に飛び回り醸しまわっている。「もやしもん」は菌の群像と学生の群像劇だ。

でも「もやしもん」を見るまでは、日常生活に菌がいるなんて意識したこともない人は多いだろう。でも「もやしもん」を見ると、突然世界が違って見える。

パラレルワールドってこんな感じなのではないかと思えてくる。

そこに存在したのに今まで見えなかったものが見えてくる、そうするとまるで今までの世界が違って見える。同じなのに違う、新しい世界がそこに見えてくる。

見えるようになったのは、菌のいる世界。新しい世界よ、こんにちは。

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