真のハードボイルドを感じることが出来るアニメ - COWBOY BEBOP-カウボーイビバップの感想

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アニメレビュー数 2,474件

COWBOY BEBOP-カウボーイビバップ

4.504.50
映像
4.13
ストーリー
4.00
キャラクター
4.88
声優
4.38
音楽
4.88
感想数
4
観た人
7

真のハードボイルドを感じることが出来るアニメ

5.05.0
映像
3.5
ストーリー
4.5
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

キャラクターが作り出す全ての各話の物語が、最終話の感動に全てつながっていく作品

このカウボーイビバップと言う作品は、アニメファン以外にもすべての人に観ていただきたい作品であることは、一度でもこの作品をご覧になった方は、皆そういうことに違いない。主人公であるスパイクは、第一話からハードボイルドの雰囲気を醸し出しつつ、そのキャラクターを確立させていくが、第二話、第三話と進むにつれて、ハードボイルドからコメディだったり、またユーモアだったりとそのキャラクターの性質と言うものを上手に変えて、視聴者を楽しませている。同様に、仲間であるジェット、フェイ、エドと言う魅力的なキャラクター達も、一筋縄ではいかない性格を画面狭しと暴れまわりながら、その物語を紡いでくれる。各話各話と、どんどん次の話を楽しみに観ていると、いつの間にかこの作品にのめりこみ、そして各キャラクターに共感してしまう。そして話が進むにつれて感じる、キャラクターの表と裏の心の変化、心で抱える闇の部分が見えれば、逆に明るい未来への希望さえも感じさせてくれるのは製作者が私たちに訴えかけてくれる。徐々に感情移入を終え、キャラクターにのめりこんだ後に主人公のスパイクの心の闇を最終話にもっていき、今まで思い描いていたすべてのキャラクターへの感情を上手にとりまとめ、私たちを気づけばスパイクの心の裏側の感情を感じさせてくれるように魅せてくる、そんな作品がカウボーイビバップ。

キャラクターの声を出す声優の大きな魅力

この作品の大きな魅力の一つは、声優の大御所具合。主人公のスパイクは、山寺宏一。その仲間のジェットは石塚運昇。フェイに関しては、林原めぐみと言った大御所も大御所、そして有名な方々が作品を作り出してくれる。彼らの魅力は、キャラクターの内面を理解しつつそのキャラクターを演じていると言うことである。登場人物全員が、各物語で激しくその性格を変えて、画面の中を暴れているが、どの話を観ても、本当に楽しんでいる中でも、自分の中にある想いや葛藤を抱えておきながらも、それを感じされないように仲間に気を使いながら、物語を進めていく。しかしそれも互いに互いを気にしないようにしているだけで、本当は仲間である互いを一番心配しているのが垣間見える。それを表現している声優陣は非常に素晴らしく、この魅力的な作品を大きく彩っている。大きく分けて、キャラクターの性格は三つに変化しており、最初は仲間に対して、不信感。そして信頼に変わり、最後は依存と決別と言った感じに変わっていく。キャラクターはその仲間への想いを持ちながら自分自身の想いを達成させていく。そんな心の変化を余すところなく表現できる彼等声優に脱帽の声しかでない。

笑いあり、涙あり、そして感動あり、まるでハリウッドがこの作品を参考にしたかのようだ。

この作品の魅力としては、各話での笑いや、涙、感動が、一つ一つが丁寧に描かれているだけではなく、それが最終的には伏線となっているというところである。上にも書いてあるが、最終話にすべてのキャラクターや、今までの各話での事柄が、つながるようにできている。それはあたかもスパイクの人生を敢えて一つ一つ面白いエピソードとして紹介することによって、スパイクの人生を疑似体験させてくれるが如くである。スパイクは冒頭から過去の恋人との愛に生きていた。それは第一話ではなんとなくわかるのだが、話が進むにつれ、仲間も増え、過去の恋人は大切だが、仲間も大切にし、過去を払拭していくような素振りを見せる。しかし、スパイクは愛に生きていた。その過去を払拭するためにも仲間と一緒に過ごしていたと思っていたが、その過去の恋人であるジュリアが現れて、スパイクの人生の歯車が再度狂うことになる。スパイクは迷わずジュリアを選んだような表現をされていたが、実際は迷わない訳がない。ジェットやフェイと言った仲間と過ごした日々、それを捨ててまで愛していたジュリアを選んだスパイクの心の中は、多くの思惑があったと思う。仲間への謝罪もあれば、感謝もある。そして当然ながらジュリアへの愛もあれば、このままジュリアと一緒に過ごしていってもよいのか、と言う葛藤。最終的にジュリアは撃たれ、亡くなってしまい、スパイクはジュリアを撃ったビショップとの一騎打ちに向かうが、その時も、スパイク自身わかっていたはずである。このままビショップと一騎打ちに向かう必要はない、このまま仲間たちと一緒に逃げて楽しく人生を過ごしていくことが、本当の幸せになるんだと、わかってはいるが、わかってはいけないと自分自身に言い聞かせているように感じる。結果一騎打ちに勝ったスパイクだが、同時に自分も傷ついてしまう。傷つき倒れた、スパイクのその表情には喜びも悲しみも、そういったものは何もなく、ただ、自分の人生に対して、やりきった、満足した、もう何も考えたくないと言った自暴自棄の表情を感じさせる。作品はそのシーンで終わるが、願わくばスパイクの無事とその後の展開を期待したいと思わされる

真のハードボイルドアニメを感じさせる、そんな作品。

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やりたい人生を全うするカウボーイ?

ルパン三世を彷彿とさせる主人公。しかしその先には…私がこのアニメを見たのは確か16歳のときだろうか?第一印象は主人公スパイクの足がルパン三世の足にそっくりだったことだ。似ているの足だけでなく設定と毎週の話の展開もよく似ているのだ。ルパン三世は怪盗、スパイクは賞金首を狙って生計を立てるいわゆる「賞金稼ぎ」。二人とも毎週獲物の為に奮闘するも、最後は殆どが「トホホ…」と言いたくなるほど儲からない結末となるのが王道パターンとなっている。このアニメにはそれといったテーマが感じられない。いや、テーマが無いことがテーマなのかもしれない。「テーマの無い近未来SFハードボイルド」これぐらいしか気の利いた言葉が思いつかないのだ。しかし私はルパン三世よりもスパイクにキャラクター的な魅力を感じていた。16歳の脳みそではどういったところに魅力を感じるのか上手く表現出来なかった。なんだかわからないが、スパイクにただなら...この感想を読む

4.04.0
  • つっちー2700つっちー2700
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いわゆる大人が楽しむアニメ。格好いいってこういう事さ

ルパン三世の格好良さってどこにあるのだろうか・・・ひょうきんでどこか憎めない泥棒さんや凄腕のガンマン、孤独でストイックな現代の侍、どのキャラクターを取ってもやはり格好いい。もちろん峰不二子のしたたかさは言うまでもない。このcowboyビバップはどこかでルパン三世を彷彿とさせるような雰囲気をもっている。なぜだろう・・・いつも同じメンツの3人の爺さん・どことなく胡散臭い賞金稼ぎの番組・白馬に乗って現れる賞金稼ぎ・・・どう考えてもハチャメチャでルパンの現実味が溢れる世界とは全く異なる宇宙の中で、それぞれに過去を抱えたキャラクターが決して華やかになることなく、「時には味方・時には敵・・・」と、くたびれた船の中で交錯する様はやはり子供にはもったいない格好良いアニメだ。また、音楽がなんとも素晴らしい。各話それぞれまるで「大人を喜ばせるため」に仕組まれたように音楽が完璧にマッチしている。無駄なCGや無駄な演...この感想を読む

5.05.0
  • ずーみんずーみん
  • 77view
  • 503文字

ハードボイルドが好きな人にオススメ!

『COWBOY BEBOP』は、1998年に放映されたハードボイルドSFアニメ。人類が宇宙に移住するようになった近未来の太陽系が舞台になっていて、主人公のスパイクは、宇宙船「ビバップ号」に乗る賞金稼ぎ。彼を含めた主要キャラクター4人が活躍するお話です。ストーリーの内容は、テロやドラッグなど少し過激ですが、それだけに緊張感がある面白い作品です。シリアスになりすぎるわけではなく、コメディなシーンもたくさんあり、特に、ビバップ号のメンバーの掛け合いは何度見ても笑ってしまいます。結末は賛否両論で、私も少し納得のいかないところもありましたが、ハードボイルドな男の美学が反映された結果かなぁと思いました。また、この作品はストーリーだけが売りではありません。作品を演出する音楽や作画の質がとても高いところも魅力です。代表曲「Tank!」の流れるOPはハイセンスだとネット上でも人気で、実際とてもかっこいいですし、一見の価値ありですよ!この感想を読む

4.04.0
  • yukari0202yukari0202
  • 88view
  • 413文字

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