ドキッ!「ゴジラ」だらけの大乱戦!!ゴジラVSビオランテ
支配するのか、されるのか?驚きのG細胞
本作のキーとなるのは、ゴジラの体の一部である「G細胞」。生物離れした不滅の生命力、人知を超越した力を発揮する怪獣王ゴジラ。その体を構成する「G細胞」は当初、砂漠でも根付く植物等の開発に活かすことが出来るのではないかとされていました。しかし、そのG細胞をめぐり、産業スパイやテロリストが暗躍します。彼らがG細胞を狙う理由、それはG細胞の大きな特色の一つ、「放射能の無力化」にありました。G細胞には、核エネルギーを食物とするバクテリアが存在しており、これを利用することにより核兵器を無効化してしまう生物兵器、「抗核エネルギーバクテリア(ANB)」の生成が可能となるのです。映画劇中でも、産業スパイやテロリストらの壮絶なG細胞争奪戦が描かれます。
しかし、G細胞の本質はそこではありませんでした。G細胞の驚くべき本質。それは「あらゆる生物を乗っ取ってしまう浸食性」にありました。仮に他の生物と遺伝子交配を行った場合、確かに一時はゴジラの生命力を持った夢の生物、植物に変わるかもしれません。しかし、ゆくゆくはG細胞に乗っ取られ、「怪獣化」してしまう・・・そんな性質によって生まれた怪獣第一号こそ、今作の敵役、「ビオランテ」なのです。
人+バラ+ゴジラ、悲しき合成生物(キメラ)
ビオランテは、本作のキーパーソンとなる白神博士によって生み出された怪獣です。博士にはG細胞をめぐるテロによって一人娘「英里加」を失うという悲しい過去がありました。遺伝子工学者であった白神博士は、娘を生かし続けたいという思いから、英里加が大切に育てていたバラに、彼女の遺伝子を組み込みます。そんな中、博士は政府より対ゴジラ用兵器となる抗核エネルギーバクテリアの製造を要請されます。その条件として博士はG細胞の借用を要求、得たG細胞を使って「永遠の命を持った植物」を作り出そうとします。しかし植物は博士の意図を離れ、一個の巨大怪獣として成長を遂げてしまう・・・それが合成生物ビオランテ。ビオランテは当初、巨大なバラそのもののような外観の「花獣形態」として登場、ゴジラの熱線で燃やされてしまった後に、熱線のエネルギーを吸収して、ワニのような巨大な大顎を備えた「植獣形態」へと進化、変貌を遂げます。それはまるで、博士が望んだはずの英里加の心が失われていくようでありました・・・
敵に勝つか負けるか、頑張れ自衛隊!
本作の大きな見どころの一つとして、ゴジラ攻略に奮戦する黒木特佐をはじめとする自衛隊の描写が挙げられます。その主力となるのは前作ゴジラ(1984)に登場した超兵器「スーパーX」の遺伝子を継ぐ後継機、「スーパーX2」!最大の武器は機体前方に備えた巨大な反射板「ファイヤーミラー」。ゴジラの熱線を1万倍にして返す(!?)という驚きの代物!!ちょっと盛り過ぎじゃなかろうか・・・(裏設定
では、熱線の光エネルギーを1万倍にしているだけで、威力そのものを1万倍にしてるわけじゃないとの情報あり)作中では最終的にミラーを溶かされ敢え無く撃沈してしまいますが、それまでの奮闘ぶりは見事なものです!また、作中最大のキー兵器となる「抗核エネルギーバクテリア」を打ち込むべく活躍した権藤一佐らの活躍もまた忘れるわけにはいきません!
「薬は注射より飲むのに限るぜ、ゴジラさん!」
はシリーズ中屈指の名台詞!!(と、その直後にゴジラに葬られる権藤一佐・・・これもまた名場面・・・敬礼!!)
自衛隊の活躍の中心にいる黒木特佐は、印象的な名台詞が多く、ゴジラシリーズ屈指の名軍師として手腕を存分に発揮しています。「私の仕事は敵に勝つか負けるかです!」「(ゴジラとビオランテの)勝った方が、我々の敵になるだけです」は忘れえぬ名台詞と言えましょう。
人の手により生まれしものの戦いの意味
ゴジラとビオランテ。両者の共通点の一つ目は「同じ細胞を持つ者」であること。そしてもう一点は「人の手により生まれた存在である」ということ。ご存知の通り、ゴジラは生き残りの恐竜が核実験の放射能を浴びたことにより怪獣化して誕生した存在です。ビオランテについては前述のとおり。これは一体何を現しているのでしょうか?私は今作のメッセージとして、「行き過ぎた科学の暴走による危険性」「人間の傲慢さ」があると考えます。
人間は科学技術の進歩によって今日まで発展を遂げてきました。しかし科学の発達と同時に、人間の
精神はどれほど発達してきたのでしょうか?心を無くしてしまった科学に、本当の発展はあるのでしょうか?
本作で怪獣を生み出してしまった白神博士は言います。
「本当の怪獣は、ゴジラやビオランテを生み出した人間です」と。
この台詞に、怪獣映画の枠を超えた大切な主張が集約されていると筆者は思うのです。
ゴジラシリーズ総選挙でも上位に来る名作、知らない人はすぐにでも、知ってる人も改めて観ると新しい発見があるかもしれませんね!
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