医療現場という戦場、君臨するは血塗れ将軍 - チーム・バチスタ2ジェネラル・ルージュの凱旋の感想

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チーム・バチスタ2ジェネラル・ルージュの凱旋

4.674.67
映像
4.08
脚本
4.25
キャスト
4.75
音楽
4.25
演出
4.25
感想数
4
観た人
5

医療現場という戦場、君臨するは血塗れ将軍

4.54.5
映像
2.5
脚本
2.5
キャスト
5.0
音楽
3.0
演出
3.0

目次

ジェネラル・ルージュ”血塗れ将軍”が君臨する医療現場という戦場

田口先生はある搬送患者に愚痴外来通院歴があったことから救命救急センターに関わった結果、救急精神医療責任者に任命されてしまう。その頃白鳥さんは「抜き打ち監査」という名目で救命救急センターの現場に現れる、でもすぐにグッチーに何か理由があって監査なんて言って来たんでしょ?と見破られ自分の同期でもある速水晃一(西島秀俊)が医療代理店「メディカル・アソート」と癒着しているという真相を探りに来たのだった…。

白鳥さんの所為で勝手に精神医療責任者にされてしまったグッチー、悪びれることのない白鳥さんに今回も巻き込まれる形でまた助手として真相を探る手伝いをする。今作は一話完結型であるけれど速水先生の収賄・癒着が軸に話は展開していく。救命医にはお笑い芸人の木下隆行さんと加藤あいさん、戸次重幸さんに白石美帆さん、研修医には松坂桃李さん。どれだけ医療現場が過酷な場所であるのかが知ることが出来る今作の舞台は「救命救急」「ジェネラルルージュの凱旋」の他にも救命救急の現場を舞台としたドラマは多数存在しますがこの「ジェネラルルージュの凱旋」は壮絶な医療現場をよりリアルに感じられる。原作の小説とは違い速水先生が白鳥さんと同期という設定も面白い。

判断一つで人の命を決める、救命救急医はどんな時も興奮してはならない

ジェネラルルージュ”血塗れ将軍”の君臨する救命救急センターとは一体どんなところなのか調べてみたところ、救急指定病院のうち急性心筋梗塞・脳卒中・心肺停止・多発外傷・重傷頭部外傷など二次救急で対応出来ない重篤な患者に対し高度な医療技術を提供する場所、三次救急医療機関のこと。2014年2月1日現在、救命救急センターは全国266か所。設置のきっかけとなったのが1967年(昭和42年)8月に大阪大学医学部附属病院が設置した「特殊救急部」であるとされているとか。今では「救命救急センター」はなくてはならない存在となっている。ありがたい存在である反面同ドラマでは救命救急医がどれだけ過酷な状況で働いているのかが見える、何週間も家に帰れず病院で寝泊まりをし子どもの誕生日にも急患が来れば帰れない、些細なミス一つで人の命を左右する、怖いことをやっているだと叫ぶ長谷川先生(戸次重幸)は精神的にも参ってしまう。現実でも救命医はスタッフが不足しているが故に救命現場は激務と知られている。過去にもその激務に耐え切れず救命医が一斉に辞職する事態も起きた。心身の疲労が限界点を越したからだったそう。人の命を救う救命医が自らの命を削ってまで人を救う、一見素晴らしい使命感を背負っているように聞こえるけれど救命医も人であって限界はある、その人たちのおかげで助かった命は確かに多数ある、一斉に辞職して過酷な医療現場から逃げたとしても責めるべきではないと思う。

カリスマ的存在、速水晃一という男

城東デパート火災で運び込まれた多くの患者の治療に当たり、自ら指示を出し最前線を切り抜いた過去の出来事から「ジェネラルルージュ”血塗れ将軍”」の異名を持つ天才救命医。今作「ジェネラルルージュの凱旋」は映画化もされておりそちらでは血塗れ将軍・速水先生は堺雅人さんが演じている。ドラマバージョンでも速水先生は魅力的なキャラクター、映画版・ドラマ版ともに速水先生の人物像は同じでロリポップが大好きで常に咥えている。冷静沈着で感情を表に出すようなことが滅多にない速水先生はクールなキャラクターで特に人気が高い、「極北ラプソディ」「ジェネラルルージュの伝説」の他多数の小説では速水先生が出ている。私も「チームバチスタシリーズ」では速水先生がとても好き。堺雅人さん演じる速水先生も西島秀俊さん演じる速水先生もどちらも魅力的で見惚れてしまう、特にドラマバージョンでは白鳥さんと同期という設定が面白くかつては医師を目指した白鳥さんが医療現場から逃げたと軽蔑するように思っているけれど、本当は二人が目指す理想の医療は同じではないのかと綾子ママ(麻生祐未)が言う通りだと頷ける。同期であるのに速水先生を疑う白鳥さんのことを田口先生曰く「信じたいから疑ってるんだよ」と言う言葉にはシーズン1とは違いグッチーも大きくなったなと感じられる。そして今作でもやはり田口先生は人の心の隙間に入り込むことを無意識にやってのけ誰にでも感情論で向かうグッチーを「全う過ぎるのか単なる馬鹿か」と速水先生も一目置く、白鳥さんに出来なくてもグッチーにならチームジェネラルを崩壊させることが出来るかもしれないとまで速水先生に言わせる田口先生の存在はやはり今作でも大きい。確かに白鳥さんのロジカルな思考がなければ事件は解決出来ないかもしれないけれど田口先生の貢献も常に大きい、今作は単発として放送されたスペシャルドラマ「ナイチンゲールの沈黙」に続いているのでシーズン1に比べて白鳥さんとグッチーのコンビ仲は更に良くなっている。二人が組めば解けない謎はないのだから。

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他のレビュアーの感想・評価

最後の爆発シーンで評価が二分する

ベストセラー小説が原作であり、大ヒットドラマの続編本作は、大ヒットドラマ「チーム・バチスタの栄光」の続編にあたります。前作は、大ヒットしたミステリー小説が原作で、大ヒットした映画のテレビドラマ版というプレッシャーをはね返し、素晴らしい作品となりました。では、本作はどうでしょう。結論から先に述べると、今回も素晴らしい作品となりました。シリーズ最高傑作という評価もあるくらいですし、実際そうだと思います。本作はミステリー小説としての完成度がとても高く、それをテレビドラマで表現したから素晴らしい作品だと思います。ただ、「ミステリー小説として完成度が高い」からこそ、興ざめしてしまった視聴者がいたことも事実です。当レビューでは、本作が最高傑作であることを大前提として、「なぜ興ざめした人が出てしまったのか?」を考察したいと思います。ミステリー小説はテレビドラマに不向き完成度の高いミステリー小説とは、...この感想を読む

5.05.0
  • 十蔵十蔵
  • 266view
  • 3471文字
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何度も何度も見たくなる作品です。

前作との違いまず私が今回感じた率直な感想は、チームバチスタの栄光の時のような、一つの事件の謎を解いていくスタイルではなく、細部では繋がっていきながらも一話完結していく今回の作品の方が個人的には見やすくてよかったです。医者、患者双方に毎回さまざまなドラマがあって、逃げずに病気と向き合う姿がたくさん見れて毎回感動でした。出演陣の豪華さジェネラルルージュでの一番の満足度といえば、なんといっても出演者の豪華さです!特に西島さん演じる速水先生は、かっこよくて切れ者。一見クールそうに繕っているし不器用な部分も多いけど、患者さんに対する思いは誰よりも強く、熱く、そして優しくて本当に素敵で終始魅了されっぱなしでした。西島さんの演技力や見た目があってこその速水で、まさにはまり役だったと思いました。加藤あいさんもTKO木本さんも、白石美帆さんもそれぞれ演技力ある俳優陣で、終始引き込まれる演技ばかりでした。白鳥...この感想を読む

4.54.5
  • maomao
  • 115view
  • 1045文字

救命の現実を知る

ピュアな気持ちがとんでもなく突き刺さるドラマ冒頭から速水という天才的な救命医が痺れるほどの冷静さで瞬時に指示を出して患者に最適の治療をしていく  その人物像を全くわからないうちに引き込まれる  それは助かる命は絶対に助けるというピュアすぎる患者への使命感を速水に見て釘付けになってしまう、素敵な快感をドスンと胸に入れてしまうバチスタシリーズ最高の作品だと言えるバチスタシリーズは殺人ありき今回の殺人の経緯は複雑ながらも叙情的で同感できる所がある とても愛があって身近な人を思う切なさのある二つの殺人事件が心をわし掴みにする  政治家の汚職や利権というお馴染みの構造はありつつも人間味溢れるドラマのすえに起こる殺人のいきさつに腹立たしく思ったり激しく感情移入できるチームジェネラルの底力大きすぎる速水という医師に敬意を抱きつつも反発を覚えるチームの面々が個性的で各々の心情が細かく描かれている 尊敬や信頼...この感想を読む

4.74.7
  • moonbabymoonbaby
  • 108view
  • 1017文字

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