男か仕事か
男か仕事か
アンハサウェイ演じる主人公のジュールズはファッションサイトで洋服を販売する会社のCEOである。この映画を見る前、おしゃれな洋服を着たおしゃれな映画がかと思っていたが全然違う。いや、実際おしゃれな洋服を着こなした映画ではあるが女性の永遠のテーマ、男か仕事かが描かれているのである。ジュールズの旦那は、彼女との家庭の時間が減ったことを理由に浮気をするのである。彼女が自分が悪くないのに、自分を責めるところは仕事では器用に立ち回るのに性格が不器用な様と対比してなんとも人間味がある。恋愛に対して器用に立ち回れない女性は多いのではないかと思う。ただ、素直になればいいというわけではなく、男の見栄やプライドを上手くコントロール出来る方が相手から必要とされる時もある。頭脳プレーで相手の懐に上手く入って甘えれるような人がもてるのである。仕事を一所懸命して、家庭を支えて会社を支えているのに旦那がママ友と浮気するのは皮肉の様にもうつる。新しいCEOを迎えて、家庭にいる時間を増やそうと自分の好きな仕事を犠牲にするところは、そこまでする価値がある男なのかと感じてしまう。バリバリ仕事をして成功を収めているのに自己評価がすごく低い、そんな印象を受ける。私だったら、浮気を許している相手(旦那)と前に進もうとしたいと思わないが彼女の自分の生き方に対しての信念を感じる。財産もあり、はい次の男というのではなく、自分の必要な男性を求めるのを優先させている。自立した女性であるのに恋愛面においては上手くいかないし、浮気したからといって突き放しもしない。
ただただ正しい
ロバートデニーロ演じるベンは、言うことなすこと全てがただただ正しい。自分の周りにもこんな人がいて迷ったり悩んだりしたら相談したい、ただ側にいて欲しいと感じてしまう。人間の弱さだろうか。それは誰にとっても変わらないのかもしれない。ジュールズがベンを恋愛感情とかではなく必要とする気持ちがよく伝わってくる。人当たりが良く、自分のことを親身になって考えてくれる、そんな存在なかなかいない。会社のことだけでなく、家庭のプライベートのことまで許せる存在は誰にとって貴重な存在ではないだろうか。おせっかいにもうつりかねないがいい塩梅で演じていて、他の職場の社員といい意味で年齢を感じさせない。年齢を感じさせるところといえば、人生経験がものをいうところだ。職場で頭ごなしに怒る上司ではなく、こんな人がいて気持ちのいい人達がいる職場で働けたらなと思う。よその家庭の浮気問題に体調が悪くなる程、悩んでしまうところにベンの人柄の良さがよく表れている。
7時間以下の睡眠はデブの元
全体的にほっこりした要素が多いのに笑えるシーンもしっかりある。間違えて送ってしまったメールを削除するために職場の同僚とチームを組んで消しに行くところは笑えてしまう。7時間以下の睡眠は太ってしまうのは、やばい、起きている場合ではない、携帯をやめなければと思ってしまった。今、起きている間にも刻々と太りやすい体が出来上がっていっている。会話をしながらメールを打っているところは、現代人っぽい感じがすごく表れているし、悪口をうっかり本人に送ってしまうところは、メールでもラインでも取り返しがつかない。ハッキングさせてでもなんとかしたいと思ってしまうところは何だか笑えてくる。
クラシックは不滅だ
ベンのこだわり、それはピシッと着こなすスーツと年代物の鞄である。カジュアルな服装で働く若者ばかりの環境で一番落ち着くとしてスーツでいるのである。それも年代物の自分のこだわりを持って。よりおしゃれなもの、流行りのものと流れが速いファッション業界であえて時間をとめた格好をするのがかえって、周りの評価を上げているポイントではないだろうか。レディガガに会うかもしれないと言う時に同僚がベンにアドバイスを求めているくらいだ。年の功だけではないのだろう。クラシックの鞄から出された仕事道具に現代っぽさは感じないが、仕事の出来る男の雰囲気を感じる。出てくるものが、若者がイヤホン、スマホ、フィギアに対して、ベンは、万年筆、電卓、ガラケーである。全然今風じゃない年配者が今風の職場で働くところにも面白味を感じる。普通だったら、USBの使い方も知らなかったら、周りから疎まれそうだか、アドバイスが出来るぐらい周りからの信頼が厚い。きっと吸収力の良い柔軟な人物なのだ。
マイインターン
マイインターンというこのタイトルにジュールズのベンに対する独占欲げ表れていると思う。ヒーイズインターンではなく、マイインターン。私のインターンである。最初、高齢の自分の親より年上のインターンは必要ないといっていたのに、必要不可欠な存在になっている。邪魔者扱いして、最初は仕事さえ与えなかったのにである。虫が良い話の進み方のストーリーに感じるかもしれないがそれを感じさせないのがアンハサウェイの演技である。人間、最後は性格が大事だ、人柄を磨かなければならないと思った。ベンの中には達観していて、人を出し抜こう、上手く取り入ろうという気持ちがない。それが周りにも伝わり大事にされるのだと思う。また、映画を観た人の心を掴むのはベンの性格ではないだろうか。こんな彼氏欲しい、理想だと観た後に思わせてくれる。私も何かあったら、ハンカチをすっと差し出して欲しい。映画の中の存在だと分かっているが思ってしまう。ジュールズもぐっとくるほどの“いい男”だから、マイインターンではないだろうか。ベンが仕事場のマッサージ師と上手くいっているのを見て、驚いた顔のシーンも喜んでいるがベンに対する独占欲の表れが少し出ているような気がする。
真の理解者は
ジュールズの心の様子と男性2人、旦那とベンが出てくるが真の意味で理解者は、ジュールズ自身なんだということが表れている。ベンに最高責任者を雇う必要はない、君が築き上げたものを君自身で行うべきだと言われるが本当は背中を押して欲しかっただけである。旦那も仕事に最後は理解を示し、やり直したいと反省するがジュールズの中で仕事に対する判断は出ていたのである。頭もきれるし、理解できているが人間悩んでいるときはその考えを押してくれる人に相談したくなるものである。それは人によって、家族だったり恋人だったり親友だったりするかもしれない。でも私が読んだ何かの本に、人に相談する時は心がもう決まっている時であると書かれていたが、その通りだと思う。誰だって悩む時はあるし、正しいかどうか判断して後押しをして欲しいと思う時がある。その時の判断が結局良かったかどうかは、何年経っても分からないものである。地位や財産がある人も悩みながら生きているんだと思ったら、前向きに頑張って生きてみるのも悪くないと思ってしまう映画だ。引け値なしで親身になって話し相手になってくれるベンは誰にとってもいて欲しい存在だが、自分自身と向き合って生きていく必要性をこの映画ではよく表れていると思う。女性の社会進出を一般的に理解されてきているがまだまだ子育ての中心は母親であると考えている人が多く、世間の風当たりは強い。成功していたら、きつい人だと言われている。実際に彼女にきつく言われたわけでもないのに。人の弱いところと優しいところの両方がよくあらわれていて、観た後にほっこりさせる気分にさせてくれる映画である。
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