原作とはことなった展開と世界観
地上波の限界が原因?原作とは異なる世界観
GANTZのアニメが放送された当時、まだ原作は完結しておらず、GANTZが何なのか、なぜ星人なる存在と戦わされているのかなどが全く明らかにされていなかった。
そのため、アニメの制作者は、おのずとGANTZとはなんぞやを自分たちで「想像」してアニメを制作するしかなかったため、ずいぶんと原作とは違った展開になっている。
また、この作品はエロとグロの限界に挑戦した作品ともいえるが、地上波で放送するとなると当然カットせざるを得ない設定も多く、DVD化された時に採録されたエピソードも多いとのこと。
奥作品らしいエロさとグロテスクさをどこで出していくかという問題において大変苦心の跡が見えるものの、女性キャラのなまめかしい描写を抑えねばならない分、戦闘で使うパワードスーツが性的興奮を覚えないと発動しないという初期の設定は、賛否があるところだろう。
登場人物全員に嫌な欠点がある
この作品の監督は、嫌な物から眼をそむけず徹底的に描きたかったという事で、人間の愚かしさや汚さをかなりしっかり描いている。しかし、主要人物の嫌な部分をあまりにしっかり描写しすぎてしまうと、視聴する側はキャラクターに感情移入がしにくくなるという問題もあり、非常に難しい。
この作品では通りすがりの人物のような一見のキャラクターに至るまで、モノローグや行動でかなり人間の身勝手さを克明に描いている。
人間はこんなものだと思いつつも、一方でここまで薄情だろうか?という違和感も持たざるを得ない。特に序盤の玄野と加藤が電車に轢かれるあたりを、大半の群衆がショックや悲しみというより興味深げに見ているシーンは、やや薄情さを描くにしても極端なのではないかと思わざるを得なかった。アニメ版GANTZは、その世界観の謎解きというよりは、世の中一番訳が分からないのは人間なんだというメッセージ性が強い。
最終話の解釈が難しい
ファンの間でも解釈が非常に困難と言われているのがアニメの最終話の意味するところである。
自分が跳ねられた電車に向かって「バン」と拳銃を撃つように指をさす玄野。彼の生死はどうなったのか、また、彼の内面の成長を意味するのか、すべてが無意味だったという無機質な不条理を意味するのか。解釈が非常に難しいアニメである。
このように難解な解釈になってしまったのは、先に述べたように原作が完結していなかったため、世界観を極端に歪曲させないためにある程度読者の想像に完結の解釈をゆだねたという事ではないかと察する。原作完結後に作成されたGANTZ:Oは大変な高評価を受けているため、アニメ版に関しては製作時期が早すぎたのが惜しまれる。
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