内に秘めた家庭事情
幸せそうな家庭にある見えない闇
現代社会に限らず、家庭・夫婦には見えない闇が少なからずある。ご近所付き合い、女性の見栄、社会的地位、親には見えない子供の心情。
様々な視点や観点から、現実を見ている。見ている側には客観的に双方の感情が見え隠れしているのに当事者達にはやはりわからないズレがあり、自身に置き換えて見るととても複雑な気持ちになる。
現実を凝縮し、見ていてあるある的な共感を幅広く得られる作品である。そんな現実に立ち向かうか逃げるか、強く生きられるか。を、問われているような作品。
環境の変化と対人関係
夢のマイホーム。憧れの高級住宅街。全てが幸せへの一歩だと夢に描き。
現実は格差・品質により様々な弊害が起こり。徐々に夢に描いていた生活とは遠のいて行く。
絶対権力者からの嫌がらせにも母はうまくやろうと耐え。受験と言う名の戦いに娘は屈折し。大人げないプライドの戦いに家族が吸い込まれていく。
一見幸せそうに見える家庭内にも見え隠れする悩みや深い溝があり、それが一要因としてまた付き合いを悪化させていく中、何も知らない子供達も大人のくだらないプライドや見栄の争いに巻き込まれていく。
家族のすれ違いや、会話不足が増えて行き、すれ違いが大きくなり。付き合いどころか、家庭内が少しずつ崩壊して行く。そうなると、無い疑いや不安が増えさらに悪化して行く悪循環に陥り。
表面の付き合いで心を許していても、真に向き合えていなかった結果、最悪の事態を招く。
家族とは何か
遠藤家の母の強さは、全ての母へのメッセージなのではないだろうか。自身の家庭にも大きな事情を抱えながらも高橋家の事情や淳子の気持ちをも考慮し。自分の家庭だけではなく、関わる全ての人を思いやれる母。
いつも悩み苦しみながらも、自分だけではなく人へ愛を持って接する事が出来る。器が大きいから。強いから、そんな事ではなく。人を思う気持ちや出会いや人付き合いを大切にする事が出来る人間。
年頃の子どもを持つ母が見ると、とても胸を打たれる。子供が居なくとも、いつの間にか家庭がうまく行かなくなったり、人には言えない悩みを抱えている人に対するメッセージ性がとても大きな作品と言えます。
様々な事を乗り越える強さ、人を信じる強さ、自分を信じる強さ、家族を信じる強さ。
今の自分の幸せに気付いたり、強さを身につける勇気になる。
現代、生きにくい社会を頑張って生きぬく人へ、平凡な毎日に幸せを見つけられずにいる人へ。
そんな現実へ勇気を送る作品です。
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