禁じられた遊び それは純粋な幼い心が求めた、清らかな世界だった - 禁じられた遊びの感想

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禁じられた遊び それは純粋な幼い心が求めた、清らかな世界だった

4.54.5
映像
3.5
脚本
4.5
キャスト
4.5
音楽
5.0
演出
4.0

目次

[何もわからない少女との出会い]

時は第2次世界大戦、フランスの片田舎にもドイツ軍の攻撃は容赦なく迫っている中、

機関銃の攻撃で避難する大勢の人々は命を落とす。幼い少女ポーレットの両親もそうであった。

私は10才位の時に始めて、この映画を見た。年の離れた兄弟が見ていたからだ。この時は何の

疑問を抱かなかった。二回目に見たのが18才頃なので見方が変わったようなのだ。

両親が倒れているのに彼女は少し不思議な顔をしただけで、愛犬とスタスタと群集と共に

歩き出したからた。「死」を理解していないのだろうか。リヤカーに家族と荷物で一杯になった

おばさんが少女を抱き上げ「まったく、うちも一杯だけど親を亡くしたんだね、この犬は死んでるよ」

投げ捨てたのだ。リヤカーを降りて愛犬を抱き座りこむ。パパとママよりワンちゃんの方が大切なの?

本当に何もわかっていないのだろうか。10才の時に見た時はストーリーの展開と、見知らぬ国の興味

それだけしか関心が無かったのだな。パパとママの事は忘れてしまったの?

迎えに来てくれると思っているの?

[こうして葬るんだよ。教えてあげたい気持ち、無垢な気持ち]

ミシェル少年と父親が1人でいるポーレットを見つけて家に連れ帰る。死んでいる愛犬を

見て「亡くなった者はこうやって葬るんだよ」と土を掘って埋めるのを教える。ポーレットは愛犬が

寂しくないように、昆虫やヒヨコの亡骸までも持ってくる。パパとママの事は忘れてしまったのか。

ポーレットを着替えさせるシーンで服地の事で母、姉妹達がささやきあっているが高級な生地らしい。

きっと中流の家庭なのだろう。だから片田舎の生活が幼い子供心にも興味があって、パパ、ママが入り

こむ余地が無いのかもしれない。さて十字架が無い事に気づいたミシェルは木で作っているところを

父親に見られて、ひどく叱られる。兄が馬に蹴られて寝込んだままなのだ。確かにそうだ。

そんな時に十字架なんて、とんでもない事だ。それでも隠れて作り続けた。十字架を2人だけの墓地に

立てると立派に見えた。でもミシェルはもっと美しい十字架が欲しくなる。ここから十字架への執着が

一層強まったのだろう。無垢な気持ち出会ったとしても。

ミシェルは末っ子で年がかなり離れた兄弟達ばかりなので、ポーレットが妹のような存在でかわいらし

く、ずっと傍にいて何でも教えてあげて守ってあげる気持ちで一杯なのでは無いか。

ポーレットは一人っ子だから兄弟の存在は知らず、ミシェルといると楽しい、そういう気持ち

だけなのかもしれない。ミシェルの思いの方が強くて、後に悲劇を生む事に繋がっても・・・。

[神よ、許してください。お返しします、孤児院に連れて行かないで]

ミサに出掛け、神父の説教も上の空のミシェルはひとつの十字架に心を奪われ、手にするチャンスを

うかがっていたのだ。不意にチャンスは訪れ、自分の物となり、2人だけの墓地に立てると瞬く間に

美しくなるのだった。その一方、兄の容態は悪くなる一方で母親は「おじさんが死んだ時と同じ様な

肌の色だわ」いくら片田舎と言ってもフランスなら医療も進んで手当てが施されるのではないか。

馬に蹴られて寝込む・・骨折? 強い打撲? 皮膚の損傷?傷からの感染症だろうか。戦時下という事で

薬も一般人には届かなかったのかもしれない・・。馬は今で言えば車変わりのような物だから、憎らしく

思えても飼い続けるだろう。とうとう亡くなってしまった・・。まだ若いのに・・・。ミシェルの家では

ミシェルだけが祈りの言葉を知っている。祈りの言葉の合間、合間に「くそったれ」が入るのだが、

父親に対してだろうか。どうやらミシェルと父親の相性は余り良くないように感じる。厳しく上からの

物言いに私は感じる。おそらく自由なミシェルには鬱陶しいのかもしれない。そして何より十字架作り

この一件が彼の心に残っているのだろう。ポーレットの為に作っていたのに違いない。

葬送の日。立派な十字架をたくさん付けた馬車がやってくる。ミシェルにとって宝のようだ。こっそり

引き抜いていく。本数が少ない事を大人達は気が付くが、若くして亡くなった家族の葬送で、気持ちは

いっぱいだ。墓地に立てられた大きくて立派な十字架。これもミシェルは盗んでしまう。

十字架は不思議な物である。クリスチャンではない多くの若い日本人がアクセサリーとして抵抗もなく

身に付ける。一時のブームは去ったが、今も出回っているし好まれている。観光先の教会でも十字架や

ステンドグラスは関心を引く。お寺とは何か違う感覚だ。

ミシェルも十字架の不思議な存在感に惹かれていったのではないか。

ポーレットとの穏やかな日々も孤児院に入れるという命令で終わりを告げる。

ここで目が覚めたのではないか。自分が十字架を盗んだりしたから、その罪だ。だからお返しします。

どうか連れていかないで・・・。

ポーレットはミシェル程、動転していなかったと思う。これも「何もわからないから」それでも孤児院

の係員が駅で「ここで待っていてね」そう言って離れた時に母親の後ろ姿に似ている女性を目にする。

「ママ!!」ポーレットは母親を忘れてはいなかった。会いたかった。会えるものだと思っていたから、

無邪気でいられた。ナルシソ・イエペスのソロ・ギターの強弱がこの映画のシーンに無くてはならない

存在だと18才で見た時は改めて感じました。三回目? もちろん観ますよ。

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