動かなければヒロインにはなれない
ギャル系女子の気持ちはとてもリアル
はとりがですね、「利太と結ばれるのはあたしだから、どれほどの人数の女と付き合ったってOK、最後は私のもとに戻ってくる!」と信じて疑わない残念な女の子。もうね、妄想の中で意中の人と結ばれちゃってる。そして、女どもを見下しているんです。利太にはあたしだけ。うわー本当にヒロイン失格の女…平然と偽善者ぶるし、安達さんを悪く言ったり、邪魔しようとしたり。利太がくるもの拒まずで安達さんを彼女にしてからというもの、自分の悪いところばかりを発見するはとり。今まで動かずにいた自分を後悔して、告白して玉砕して、それでもあきらめきれずに好きでいて…あーなんだ結局イイ子か。と思ったのもつかの間、弘光という男につかまってはとりは変わっていきます。あれ?今自分超ヒロインっぽくね?うーん、本当にヒロイン失格の名の通り、思考が自分中心です。ま、みんなそんなもんだけどね。かわい子ぶってない、正直で一生懸命全力でぶつかっていくのがはとりのいいところ。どれほどケンカしたって、中島とも弘光とも、肝心なところではちゃんと相手のことも考えられる。いい子や!もうこのまま弘光とゴールインでいいんじゃないだろうかとさえ思ったよ。はとりはちゃんと告白して、フラれて、弘光という人に自分を見つけてもらえたわけだし。ただ、はとりの成長だけじゃこの物語終わらんのですよ。利太と弘光、それぞれにそれぞれの思う気持ちがあって、そこが解決されていない。後半は、男たちの葛藤とバトルが始まっていくんです。おもしろい作りだよね。
ヘタレの利太
利太にとってもはとりは大事な女の子。小さなころから不器用なオレを見捨てずにいてくれる大事な友だち。はとりはずっといてくれる人。彼女とは別枠ではとりを大事にしてきた利太だけど、それが好きとかそういう気持ちなのかがわからない。利太がつき合うのは、利太を好きだという女の子たち。だけど利太ははとりをどうしたいんだろう…?はとりだって彼氏くらいつくる…イヤってことは、好きってこと…?
それ、好きってことですから。なにキープしちゃってるんですか?キスとかぎゅーとか、お互いやめましょうよ、それ浮気だよ!?もうね、はとりもそうだけど、利太も中島がいなかったらダメ人間まっしぐらだったよ。感謝してもしきれないくらい、中島という常識人がいてくれてよかったと思います。もともと利太はイケメンで優しい人だけど、不器用な人だし、はとりもド直球だけどそんなに強くはない。弱い者同士の行く末を、こうも辛らつで的確に、見届けてくれた親友も新しいと思います。普通、そうだよね、一緒にがんばろうね!みたいなほわーっとした優しさが親友にはあることが多いですが、中島は本当に異色だった…
利太がはとりを好きだと気づいて安達と別れ、ガンガン攻めるようになったのはよかったね。気づくの遅いけどね…?すでに彼氏いるけどね…?身を引く気はないって…結局弘光くんのゆるい・恋人関係レクチャーみたいな付き合い方じゃなかったら、崩壊レベルですけどね?
王子の弘光
弘光くんはモテモテ王子で、いろーんな女の子と付き合ってきた。なんか全部わかっちゃうんだよね、って思ってたのに、はとりみたいなおもしろい女の子を見つけちゃったわけです。考えてること全部顔に出ているような感じで、いじめたくなるような弱みを持ち、それでいてまっすぐで情に熱い。普段は女子!って感じでうるさいのに、なんでこうも惹かれてしまうんだろう…?最初はおもしろそうだからとりあえず付き合ってみたのに、どんどんはとりにハマっていく。利太への対抗心が本物に変わって、弘光の本気ラブが始まっていく…!消毒チューとかまじ最高よ?はとり、絶対幸せになれたよ?なのに、利太がもうどうしようもないタイミングで宣戦布告なんかするから…はとりはぐらぐら~っと揺れて、結局利太のところへ戻ってしまうんです…弘光は、最初からはとりが利太だけを見ているって知っていたし、恋を教えてやっているつもりだった。こういうときはきっとこう思っているからこうすればいいんだよ、ああすればいいんだよ…なんで、俺、こんなにまじめに返してあげてるの?俺、どうしちゃったんだろうね?…か…かっこかわいいよ!!
利太を天然王子とすれば、弘光は腹黒王子。はとりが弘光を振っちゃったときなんて…もう…涙が…伝染した!こんなに大切に思う人は初めてだったのに、本当に欲しかったものは手に入らない。がんばったつもりなのにね。人の心はがんばっても手に入らないことがある。こんな悲しい弘光見せられて、打ちひしがれた私ですが、番外編が別の漫画に載ってて、弘光が新たな恋を始めるやつがあったんですよ…!これまた…せつないけど嬉しかった…!
優等生の爆発
安達さん、やばかった。地味子はギャルから見ればこんな風に見えているのかもね。メガネをとり、コンタクトにし、いじめっ子にも負けず、利太のためを思って行動できる優しい子。利太、安達さんでもよかったんじゃね?だけど、はとりを失いたくないヘタレの利太は、安達さんを振ってしまう。安達さんだって最初から、利太とはとりの中の良さ、はとりの本当の気持ちをわかってた。だから、もし利太がはとりを選んじゃっても仕方ないって、わかってるつもりだった。なのに、こんなに嬉しい気持ちをたくさんもらったら、もう手放してしまうことが考えられなくて、利太を好きな安達さん自身の気持ちをどうしたらいいんだろうって…うん、悲しい。どっちかというと、安達さんはヒロインだった。まっすぐで、利太だけを好きで。
そして男遊びに走り出した…!まさかの!超軽いギャルになって戻ってきた…!こんな展開あっていいんだろうかっていうくらい衝撃的でした。安達さん、しばらくいなかったから、自然消滅かと思ってたのに。こんなふうに再登場して利太のはとりへの想いを迷わせることになるなんて…!この構成は驚きを隠せませんでした。そりゃー人気が出るわけだよね。最後までまったくわからんじゃん。ヒロイン失格がどういう意味で完結するのか。どっちとくっついてもヒロイン失格要素があるので、ドキドキしっぱなしでしたよ。利太なりに安達さんを更生させようとがんばった姿は、かっこ…よくはなかったけどね。殴られまくって終わり。安達さん、去り際、素敵だったよ。これから何倍もいい恋ができる。利太なんてやめておきな、へなちょこだから。
物語の主人公はいつだって自分
どんな人だってね、自分がヒロイン・ヒーローであることを望んでいるわけですよ。だって自分の気持ちは確実に自分でわかるけど、人の気持ちなんて全然わからないじゃない。相手をおもいやることは、自分のためであったりもするし。それに、自分が好きなことを、誰にも否定されたくはないものです。
綺麗に物語を綴ろうなんて、無理な話で。欲しいならがむしゃらにがんばる以外に道なんてないんですよね。つーか失格も合格もない。お金のあるなし、人望のあるなし、時には人を助けたりもすれば、傷つけたりもするし、成功だと言われたり、失敗だと言われたりもする。どれだけ泥臭かろうが、一生懸命がんばって得た結果を、これからの自分のために活用する。そうやって毎日を繰り返して、人は生きていくんだなーって思いますね。利太も、はとりも、ヘタレ同士でお似合いじゃないか。おめでとう!
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