明治緋色綺譚のあらすじ・作品解説
明治緋色綺譚はリカチによる漫画作品であり、2011年講談社のBE・LOVE誌で発表された。 もとは読み切りだった作品だが、それが好評だったことで連載になった作品であり、長編作品としてはリカチ初の作品であり、代表作となっている。 明治時代を舞台にした恋愛時代劇であり、9歳の童女であり没落家族の次女桐院鈴子(とういん すずこ)と、老舗呉服やの長男の青年藤島津軽(ふじしま つがる)が織りなす推理調で展開されていく。 鈴子は借金のために姉と共に遊郭に売られ、それを身請けしたのが津軽である。同居して成長を見守りつつ、事件に巻き込まれやすい体質の津軽とともに鈴子は数々の事件を解決し、だんだんと津軽に惹かれていく。 童女と20代前半の青年という歳の差を描いた作品であるが、恋物語としては「惹かれあっていく過程」となっている。 2014年からは5年後を舞台にした新章が「明治メランコリア」とタイトルを変更して二人の恋模様が描かれている。
明治緋色綺譚の評価
明治緋色綺譚の感想
温かなエピソードも争いの渦にのまれていく
没落貴族の娘として明治。遊郭に売られた姉妹。共に恵まれた容姿をしていたが、姉は遊郭での仕事に耐えられずに自殺をする。しかも共に働く女郎も巻き込んで…。姉のほうは、お客の相手をすることがあまりにも苦痛だった。そりゃそうだ、もともとそんなこととは縁のないお金持ちの華族の家の娘。大人だからこそ苦しい、プライドというものがある。周囲の女郎を巻き込んだことはあまりにも罪。彼女なりに囚われた同じ仕事に苦しむ人を助けるつもりだったかもしれないが…死んでしまっては元も子もない。そんな姉の弱さが分かっていた妹の鈴。彼女は頭がよく、察しもよく、外の世界に夢みて生きていた。小さい体でたくましいその心意気。お嬢様としての気品が残る少し上から目線の態度。でもツンデレ。そのキャラクターにハマった人は多い事だろう。鈴がまともでいられたのは、お客の相手ができる年齢ではなかったということもあるだろうけどね。姉と同じ境遇...この感想を読む
ほんわか優しい物語…じゃなくて推理戦だった
遊郭に売られていた鈴没落した華族の出で、遊郭へ売り飛ばされてしまった姉妹。姉妹ともに賢く美人であったが、姉は遊郭で客をとらされるにつれ苦しさに耐えかねて周囲を巻き込み自殺してしまいます。饅頭に毒を仕込んで女郎を殺すとか…ひどいね…救っているんだか地獄へ落としているんだか、死んじゃったらもう何も見えない。だから、姉のしたことは許せるもんじゃないと思う。だけど、鈴はそんな姉を見ながら、外の世界の希望を捨てずに生き続ける道を選びました。姉の策略にかかって妹も…かと思いきや殺されたふりをしてあげたっていうのが驚き…!10歳かそこらでそれほどまでに賢いってどうなってんの?そこを津軽という商家の長男に身請けとして引き取られることになり、物語はそこから始まっていきます。姉は自分が不自由なく暮らしている側だったことが最後まで捨てきれなくて…って感じだったけど、そりゃー毎日毎日好きでもない奴の夜の相手をす...この感想を読む
鈴のお兄さん、なんて人なの…
郭から身請けされた鈴と呉服屋跡継ぎの恋物語。突然あらわれた生き別れの兄の家に行った鈴ですが、自由がきかずいつもと調子が狂う。それは藤島屋の若旦那(津軽)も同じことで、お互い相手がどう思っているかよりも自分がどうしたいかが大事だと気づき始めます。気づいたものの行き違う二人(物理的にね)。一瞬すれ違うけどさらに行き違う。兄は兄で過去を少し明かすのですが、いくら聡明で大人びた鈴子にも衝撃的な事実。兄対津軽の対決は次巻に続くようです。続きが気になります。しかし、兄と津軽って同じシーンに出ると若干かぶっているので(両方黒髪だし)よーく見ないと一瞬どっちがどっちに話しているのか分からなくなるのだけがちょっと辛いw
明治緋色綺譚の登場キャラクター
桐院夕香
よみがな:とういんゆうか 性別:女性 国籍:日本 所属:没落華族の桐院家 性格:気位が高い 特徴:お嬢様として着飾って育った 価値観:放蕩人である父も、妾腹である春時も嫌っていた 職業:遊女 最期:投身自殺 遊女としての名:霧舟
紀伊佐之次
よみがな:きいさのじ 年齢(作品時):25.6歳 身長:六尺を優に超える 性別:男性 国籍:日本 性格:気が小さい 特徴:自らやその過去を厭い、書き換えるように名を変える トラウマ:殺意を持って人に拳を奮った経験を癒やしきれない心の傷として抱えている 別名:音羽六郎 偽名:吉田佐之介
河内慎一郎
よみがな:かわちしんいちろう 年齢(作品時):20代前半 性別:男性 国籍:日本 所属:武家出の子爵家 性格:軽薄 特徴:成金 価値観:女好き 妹:歳の離れた双子の妹がいる 服:幼少のころから「服は藤島屋」