怪物でも変人でも出会ったら、信じてみよう。
もし、自分のキャパシティを超えるような人と出会ったら、どうする?
あなたは、もし、自分の常識が通じない相手と出会うことになったらどうしますか?主人公・雫は、真面目で、成績優秀で「ドライアイス」とあだ名が付くぐらい勉強一筋で生きていた。女子高生らしさが欠如しているといえる。春は、やること成すことが常識から外れているし、人懐っこいように見えて、人を拒絶したり、問題児扱いされるなど変人奇人で通る、いわゆる近づきがたい人物。隣の席だったことがきっかけで、雫は春と出会うが、春に一方的に懐かれ、振り回されるばかりの雫。しかし、次第にその人柄に惹かれていき、無理矢理な形で、面倒をみたり、友達とも本心から付き合うようになる。勉強一筋で生きてきた雫と破天荒な行動ばかり(でも頭はいい)する春の出会いは、まるで正反対のように見える。だが、春が、家の事情や奇行が目立つが故に友人が居ないことからの寂しさを抱えているように、雫もまた、母が出稼ぎに行き、家の事をほぼすべて自分が請け負うしっかり者であるが故に甘えられない寂しさを持っている。両者には、似ている部分があり、だからこそ、互いが外に向けて隠していた部分を引き出し、世界を広げることになったのだといえる。
変人ぞろいの中の常識人。
ギャグを扱う場合、やはり、常識人がツッコミに走ることになるが、この作品の場合、いい形で常識人が圧倒的に少ないと考える。ボケが多い以前に、変人が多数のため、考えがバラバラになっている。頭が良い雫も常識的なことを言ったりもするが、基本、人間関係を構築する段階で偏りが生じているため、ボケになってしまうことも多い。この場合、常識人として指すべきは、ササヤンと大島さんだろう。圧倒的多数の中にいる少数はこうも貴重に見えるのかというぐらい、個性が際立っている。そのバランスのとり方は、実に見事であると考える。
自分を信じること。
雫にも春にもいえることではあるが、周りがどうこう言おうと自分が信じた道を行くという信念は見習うところがある。雫も根本的なところは変えずに、新たにできた友達と仲良くすることも増え、自分が思う見方を変えてきた。人間として、迷いながらもそんな風に変化することが出来たらいいなと思う人はたくさんいるだろう。この作品では、雫も春もササヤンもあさ子も、悩みつつも、みんなで成長していっているをみると何だかほほえましいかったりもする。もちろん、そっちの方向に行くかい!と予想を裏切ることもある。それもまた、青春であると言ったりするのだろうが、何よりも、ナンダカンダあろうとも自分を変えてもいいけど、根本的なことは自分を信じることが必要なんだなと感じさせてくれたのである。
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