ドロドロとわけわからん人間模様
初のうじうじさが受け付けないかも
亮輝、梓、凌、(すばる)…いったい何人の男に好かれているの?困った奴だよほんとに。初が選ぶのはいったい誰?というのがテーマになっている気がするんですが、結局亮輝ですよ。物語の最初に出てくる男ですよ…!!最初は、絶対梓がいいと思ってました。なのに、梓は初を復讐のために利用しようしただけだった…すばるも茜ちゃんに流れていったし、結局は凌と亮輝の一騎打ち。亮輝なんて…いいとこないよ!勉強ばっかり・童貞・人への気遣い知らずだよ!なのになんで選んじゃうかな~初はうじうじする子だから、強引なほうがいいってこと?奴隷だっていってるときに、愛が全然ないんだよね、亮輝は。初は優しくしてくれりゃー誰でもいいの?という感じ。悪い人ではなさそう…ってそんな甘い考えしてるからホイホイ悪い奴らにひっかけられるんだって!
もしかしたら、女子なんてこんなもんなのかもしれないっていうのはありますよ、確かに。相原先生はドロドローっとした漫画を描かれることが多いので、幸せ~ふわ~みたいな思考の人には受け付けないものをテーマにしています。だから、優柔不断で決断できない女子ってこんなもんかなって気もするんです。リアルに近い。ホットギミックでは、他作品よりは男側の感情が読み取りやすかったかなーって思いました。初のために必死になっていく様子がね。でも初の魅力がさほどインパクトがなく、うじうじしつつも時に行動派なギャップぐらいかなと思いました。
亮輝パパのせいじゃん
全部ね、亮輝パパのせいなんですよ?お金を渡して初パパに不倫の疑惑をかぶせてしまうんですから…お金を受け取る初パパもバカだけど、提案するほうはもっとイカれてる。おかげで梓は初に対して集団レイプも起こそうとしたし、とんでもないことが起きるところだったよ!リナがいなかったらどんなことになってたかわかんないじゃん。もう少しそこはなんか…さいなまれる感じとかないんですか?そりゃー亮輝には関係ないですよ?すべてパパのやったことだから。それにしたってちらっと出てくるだけで、え?これだけ大事になったのに?っていうあっさり感が否めません。
そして、梓も梓です。確かに母親が不倫後に離婚して、病気になって死んじゃったのはそうですよ?でも、母親がいくら大好きだったからって、不倫の腹いせはおかしくない?子どものあんたがさ。だって確かに母親は不倫しちゃってたんですよ?いつかやってくるという柊一郎さんを待ちながら、余生を送って…って悲しいかもしれないけど、やっぱり一度関係性を整理してから臨むべきだったんです。それをよくも責任転嫁して初を苦しめる方向にもっていったよね。あなたという子どもがありながら、気持ちを優先させてしまった母親を憎むのではなく、母親を迎えにきてくれなかった男を恨むっていうね。梓を素敵と思った私ばか。少し同情するとすれば、本当は成田家ではなく、橘家を狙わなければならなかったということ。間違って初を傷つけてしまったということ…もしかしたら良き理解者になってくれたかもしれないのにね…情報操作、恐ろしい。タイミングをはずすということの怖さも教えられました。
凌くんが報われてよ
凌くんと初にくっついてもらいたかった。梓の裏切りにあってから思ったのはこれだけです。もう登場の時点から、初のことを大好きオーラが出まくっており、これは本当の兄弟ではないなっていう予測ができました。案の定血はつながっておらず、初のことを心底愛していた。それが、亮輝にごっそりもっていかれるんですから、世の中怖いです。さっさと自分本当のお兄ちゃんじゃないんだ…って言って飛びついてもらいたかった。家族の関係を壊すとかそんなの関係ないよ。なんで大人の都合に巻き込まれて、通えるはずだった医学部への進学や初への恋心も全部あきらめて、借金返済のためにアルバイト三昧しなきゃならないの?そのお金はお父さんが返すものでしょうが!それなのに凌が全部かぶっちゃって、初は知らないところでいいように使われてぐらぐら揺れて…もう凌がかわいそすぎてさ…なんで優しい人が願いを我慢して、欲深き人がいいように暮らしていける世の中なんだろう。遠慮すると損をするんだろう。敢えてそういう姿も描くことで、相原先生は人と人との矛盾をたくさん示してくれている気がします。他作品でも同じような切り口がありますが、ホットギミックではそれを特に感じましたね。理性のきかない何かがある。それがプラスに働くのか、マイナスに働くのかはわからない。ただ確かに、うまくいくこともあればいかないこともある。本能って結局わからない。そういうあいまいで不確かで、表現のしようのない行動全部を、見せてくれているんだろうなと思います。
一番まともだったのは茜とすばるだったっていうね
結局、王道の恋愛をしたのは茜とすばるでした。茜は中学生だったけど、初にはまったくない女の魅力を利用する知恵・男経験がありました。そんな純粋とは少しズレた方向にいた茜を、惹きつけてくれたのがすばる。彼はオタクだけれど、悲しいという人に寄り添い優しくできる人。そして、どんな人にも分け隔てなく静かに見守ってくれる人。カラダだけじゃなくて心を癒してくれる人。すさんだ茜の心にすっぽりとハマり、純粋に恋をしていく。まともでしたね~。学生らしかった。すばるのかわいらしいところといえば、やはり集めると願いが叶うという「レアくま」をプレゼントしたところでしょうね~小学生か!でも思考が小学生と中学生ならちょうどいいかもしれない。茜も一足飛びに大人になりたかったような奴で、精神的な成長はまだまだお子様だったから、お似合いなんですよ。イケメンどもが四苦八苦している間に、着実に成長していくね。
大人たちのぐちゃぐちゃにも巻き込まれず、茜から猛烈にアピールされて、ちょっとずつ好きになって。ほほえましい…当初は、男遊びばかりしていた茜のほうが黒く映っていたけれど、次第にそれは姉のほうだったと気づかされていくこの衝撃。びっくりです。これも計算のうちだとしたら、相原先生最強すぎる。
ねじれまくる人間関係の行く末を楽しめるなら読むべし
とにかくですね、ねじれています。まさかの親たちの関係性が入ってくるという韓国ドラマ的展開。初の母親は普通に愛情ある人だけど、父親とか不倫相手とか橘家の残念な夫婦とか…そこに養子の凌、目の敵にされた初と坊ちゃん野郎の亮輝…もういい加減に収拾つけてくれ!と思っていたら最後は亮輝とハッピーエンドになりました。凌のこと考えたら、もう悲しすぎてどうしようもないよ…そんなことを考えていたところ、どうやら凌を選んだバージョンも小説とかで出されているらしいじゃないですか。なんてこった、そっちがメインにならないの?!しかしホットギミックはなかなかに評価の高い作品。自分の思考がまだお子様ということなのかもしれません…
ただね、やっぱりこういうどうしようもない気持ちを抱えることが普通にあるんだよーって教えてくれてるんじゃないかって思うと、気持ちが晴れてきます。あー自分はがんばろう、いい人間になろうって。亮輝のひん曲がった性格も、好きな子をいじめたい気持ちが大きくなっちゃったバージョンだと思えば、少しはかわいく見えてきます。なので、読んでよかったと思うことにしましょう。
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