ゆっくりと進む葵と柊聖のラブ生活は長い
一つ屋根の下というドキドキ設定
一人暮らしをしていた葵のお隣さんに、親友が恋してフラれた憎き男・柊聖が引っ越してきた。ひょんなことから葵は柊聖の部屋の火災防止用スプリンクラーを発動させ、修理が終わるまで同居することになってしまう…そんな始まり方をしたこの物語。始まりは、100歩譲ってアリとして、お互いずいぶんと信用して始まっていますね~…一つ屋根の下で高校生が内緒で暮らしている、という設定が先に決まったのかな?どうにか暮らし始めることができるように、うまく着地させたって感じですね。しかも、柊聖のほうが「こっちの家で済ませてもらうんで大丈夫です」みたいな軽いノリ。普通だったらあわよくばという下心があるとしか思えない発言です…柊聖がいかに「天然にぶ男」であるかっていうのは、物語が進むにつれだんだん明らかになってくるので、ここではまだ「ただのイケメンなんでもデキすぎ君」です。葵も葵で、全然警戒心がない。これっぽっちもない。親友の失恋をかばっていた突っ走り具合は、ただの暴走であったと気づかされます。ダメ女フラグ…
確かに一つ屋根の下で暮らすというのは、とてもドキドキするし、おいしい。好き同士でない状態から始まって打ち解けて距離が近くなるまでのやり取りなんか、楽しすぎる。LDKでは序盤からだいぶ柊聖が葵を気に入ってるので、もう付き合ってるぐらいの雰囲気。しかしそれも天然くんのお友達相手のからかいも入っていて、まだラブでない。葵からすればもう心をかき乱しまくる行為の数々…イケメンずるい!天然ずるい!それにしても、高校生で一人暮らしってほんと憧れるけど、ハードル高いよね。あ、高いからこそ憧れの題材か。
動きのぎこちない感じがする
動きっていうのは、まずイラスト本体の話、そしてストーリーの動きの話、両方においてですね。なんかぎこちなくてもやっと感があるんです。
まずざっと見た感じ、イラストの動きがぎこちない感じがどうにも肌になじみません。カクカク気味で、顔だけ決まってる感じ?臨場感が少なく、何気ないたたずまい・ケンカ中の手足の長さなど…だいぶ気に入らないところもありましたね。読んでてもぞもぞしてしまう。パーツ長すぎだろ、表情と体の動き合ってないよ、肩幅でかすぎじゃない?…などなど。イラストがキレイであることがやはりマンガ自体の評価の高さにつながってしまう私としては、残念なポイントですね。
もう一つ、ストーリーの動きに関して言うと、とにかくいろいろ身内でいろいろ起こりすぎなんですよね。柊聖のまわり、どんだけ登場すんだよ?っていうね。姉から兄から、弟からいとこから…そんでもってみんな葵ちゃん大好きか?いやーないでしょ。そんな家族の話ないでしょ。学校でなんかあったほうがまだわかるよ?亘くんとか小峰くんとか。でもさ、なんでそんな強引なの?葵ちゃん、どんだけの魅力が…?わかんないなー…その人にだけ優しいとかじゃなく、葵ちゃんも誰かれ信用しすぎててイラっとしなくもないのです。一つ屋根の下っていうだけでドキドキ感は十分なんだけど、案外と序盤から打ち解けているから、そこにイベントを起こしていくとなると三角関係、友達関係、ご近所関係などなどになりますが、身内が多すぎるんだわ…違和感がすごい。
なぜ人気になったのか?
そんな感じでけっこう違和感がある気がするんですが、なんでこんなに人気が火が付き、実写映画化までされるに至ったのか…?どうにも大人女子からすると納得できない部分もあります。そこでようやく世代間ギャップか…!と気づかされましたよ。よく考えてみると、ヒットした理由は、一つ屋根の下でいきなり暮らしてみたいという女子高生の憧れをドンピシャで表してくれているからだなーと思いますね。今どきの子たちは選択肢が多く、親とか関係なく自分でやっていこうみたいな思考が強い世代であると言われています。そして自由を何より求めている。一人暮らしという気まま生活に、好きな異性との暮らし…憧れをぶちこんでいるので、ちょうどよくヒットにつながったんだろうなと予測できます。そして、意中の相手とは、なんだかんだ言ってもうまくいっている。どんなに暴走しても全部を受け止めてくれる柊聖の広すぎる心…そしてイケメン。これでモテないわけがない。こんなごちそう展開に会えばついニヤニヤとしてしまうでしょうね。もう少し葵ちゃん自体に人としての魅力を感じられたらよかったのですが、どうにも暴走しやすく、周りが見えていないというか、失敗だらけだし、かわいくて健気だったらいいのかいというあたり、物足りないんです。
逆に、今の子たちはこういうのに憧れるんだ~っていう勉強にはなりますけどね。若い子たちとの共通の話題で付き合いやすくなるじゃないですか。少女漫画って便利だわー。
明らかに話は引っ張られている
想い通じ合ったら終わってもよかったのかもしれないですが、あまりに人気になったので、まだまだ終わりが見えません。20巻を超えてようやく最終章!という声がちらほらと聞こえてきましたが、このままだと大学生編でも始まりそうです。だっていろいろと問題が長期化しすぎなんですもん。レオン編とか、いったい何巻かけてるの?!っていう長さでしたし。さっさと決まれ!と思ってしまったのは私だけではないはずです。もう柊聖といい葵といい、意地っ張りが強すぎなんです。はじめから折れていればこんなにめんどくさくならない気がするんですが…まぁお互いを最高の者として考えているので、結局大丈夫なんですけどね。
このまま普通に進んでいけば、進路の悩みとか将来の話とかで思い悩んでぐるぐるするのが目に見えています。柊聖のほうは、持ち前の天然さんで、自由に将来を決め、そこに葵をついてこさせるように考えそうですね。それに振り回されて、私だっていろいろ考えてるのに勝手に決めないでよバカ!ってすねる葵ちゃんが見えます…そして結局は、お互いの愛を大切に、一緒にいる道を選んでいく気がしますね。今まで一緒に暮らしてきたのが、遠距離恋愛になったら絶対やばい。お互いやばい。寂しいし、ここまでの流れからいって離れることは絶対なさそうです。もし離れたらえー…ここまできて?ってなりそう。大学生になってから、社会人になってからのエピソードもばっちり考えられていそうですが、相変わらずのイチャイチャ具合をした二人が見えますよ。
とりあえず葵と柊聖の初体験までは見届けたい
ラストでは、必ずや二人の念願の初体験を拝めることでしょう。父親に同居がばれてしまったあの日から、ずっと不純異性交遊を禁じられてきた二人。そして毎度のことのようにあらすじに「卒業までは」と書かれているフラグ。回収してくれるはずですよね?二人の幸せ絶頂を拝ませていただかないことには、終わらないのです。終わってもらっては困るのです…!マイルドに、優しい感じで、お互いがお互いのことを向き合う感じにしてくれると、ここまでいろいろあったけど、今日という日もこれからも、一緒にいようって感じになって微笑ましい気がするなー…もはや決まってもいない今後のことを予測してしまっていますが、たぶんそうなりますよね。予測できないドキドキ!ではないんですよ。だいたいが予測できるのがLDKなんです。で、それが心地よいんですね~横やりもあまりハラハラするほどのものじゃないです。
同じ人と長く付き合っていくっていうのは素敵なことで、大変なことでもあります。若ければ若いほど、あまりお互いの妥協とかないし、難しいと思うんです。でも、離婚の多いこのご時世、できれば末永く一緒にいてくれるような安定感を見せてくれるとほっとするので、そんな感じを期待しております。
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