一つ屋根の下展開の代表作 - L♥DKの感想

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漫画レビュー数 3,135件

L♥DK

3.633.63
画力
3.88
ストーリー
3.38
キャラクター
3.50
設定
3.63
演出
3.63
感想数
4
読んだ人
4

一つ屋根の下展開の代表作

4.04.0
画力
3.5
ストーリー
3.5
キャラクター
3.5
設定
3.5
演出
4.5

目次

一緒に住んだら…にロマンを求めすぎ

家庭の事情で一人暮らしをしていた葵。隣の部屋に引っ越してきたのは、大切な親友をフッた柊聖。まさかの展開で柊聖の部屋で火災防止用スプリンクラーを作動させるという大失態をおかした葵は、柊聖としばらくの間一緒に住むことになってしまう…。ちょっと優しさが見えたからといって、そんな簡単に家に住んでもいいなんてこと…怖すぎるんだが。カッコいい奴っていうのはどこまでも得だな、と思う。「一緒に住ませてもらうんで」みたいなこともよく言えるよなって感じだが、天然イケメン恐るべし。高校生なんて…子どもだ、ということにしたい。

結局は葵ほど世話を焼いてくれて、大事にしてくれて、他に代わりはいないよねってことで付き合うことができるわけだが、いろいろな行程をすっ飛ばすことは本当にリスクしかない。だいぶ理想を詰め込みすぎな設定である。寝る時部屋を二分割とか、やってみたいわ。他にもたくさん心配なことだらけやねん。風呂といい、トイレといい、知られたくなさすぎる恥ずかしいところが私生活には出るんだよ。においとかどうするんだよ!ご飯一緒に食べてるだけならまだ平和だよ!!ということで、途中から家が修理され、半同棲になったくらいでちょうどいいなと感じた。

葵は終始ドキドキしまくっているが、柊聖は余裕。余裕というか、あまり深く考えていない。葵の事はゆっくり好きになった感じで、強引な感じは少ない。イケメンに振り回されて、それでも優しくされたら舞い上がる。葵はかわいいわ。

画よりもにやーっとさせるのが上手い漫画

映画にもなってるくらいなんだが…美しさが足りないんだ…。葵がすごいイイ子なのも、柊聖がかっこいいのも言動・行動からわかるんだが、漫画版では若干残念な感じがする。演出が楽しいからこそ、映画の原作としてはよかったことだろう。カクカクした動きがどうにもドキドキ感を2割減くらいにさせるため、もどかしいところは満載である。一番困るのは、顔と体のデカさが合ってないよ!というところ。いいシーンなのに、なんか気に食わないのである。

納得しがたいのは、絵だけではない。柊聖の周りの人間がとにかく葵を好きになるのである。柊聖の家族すらもである。亘や小峰はわかる。弟はないだろうよ。家族ぐるみで独占か!一緒に暮らしているからこそ、心を通わせるまでを丁寧に、分かり合って知り合うまでを丁寧に、そしてさらに一緒にいてもわからないことがあって、それを伝え合って…みたいな段取りを踏んでから分かり合っていこーや。柊聖たち兄弟がみんな葵ラブになるのもごちそう展開なんだが、柊聖と葵だからこそ、あのニヤける展開がしっくりくるのである。

葵の魅力は…難しいが、柊聖が気に入ってしまったのだから仕方ない。柊聖が気に入る女だからこそ、葵はいろいろな人に興味を持たれるわけだ。小峰くんみたいに、葵のそのままを知り好きになろうしてくれる人もいるわけで、自然体な女性は飾った女に慣れてきたイケメンズにとっては新鮮だ、ということだ。

人気の秘密はぎりぎりのドキドキ

映画化されたわけだから、そりゃーもう人気の作品である。どこがいいのか?と考えると、やはりぎりぎりのドキドキを序盤からてんこ盛りにしているところだろう。お風呂ブッキング、着替えブッキング、学校では秘密のドキドキ感、柊聖の天然わがままプレーの数々…数々の柊聖の小悪魔作戦は、完全に葵を困らせようと面白がっている行動であるが、これは桜月さんには決して見せなかったであろうと思う。柊聖が飾らず自然体でいれる相手というのを初めて見つけた。だからこそこんないじわるができる…Sな行動にも愛がある。柊聖の背景がみえるからこそ、どんないじわるもかわいく見えてしまうのだ。

高校生が一人暮らしをする、という設定は他作品に腐るほどあるが、苦労人というわけではなく、自分の意志で一人暮らしをしている葵は健康体そのもの。すがすがしさと健全さがあるので、なかなかいい印象だ。大学生から一人暮らしを始めると言う人も多いが、早い段階で一人暮らしをしていたら、もっと楽しかったかもしれない。もちろん生活は大変だし、誘惑と危険はつきものだが…。ばれないようにやってみたいとは思える。家で遊べるって…最高だ。

葵は動揺して暴走するのが玉にキズであるが、飾らない女を重宝する男は多いのである。どんなに暴走したとしても、柊聖がきっちり受け止めてくれて、広い心で許してくれる。やはり女子はそんなデカい男にあこがれを持つのだろう。

物語は長期戦

漫画がかなり人気になってしまったため、いつまで続くの?というところになっている。桜月さんを吹っ切って、三角関係・四角関係も乗り切って、葵と柊聖が結ばれて終わり…でもよかったと思うのだが、20巻以上出版されることに。レオンに時間をかけすぎてたせいだと思うが、揺さぶられて困る柊聖を見たいと言うSな女子の要望もあったのではないだろうか。

20巻を越えてようやく最終章と言われ始めたが、柊聖のカッコよさは序盤が最高だったかも…という気がしないでもない。ニヤけ回数は明らかに後半になるほど減っているのである。高校生編で初めての別居を経験し、お互いのこれからも気になるところ。葵も柊聖も、お互いが意地を張るため、なかなか話が収束しない。最初のうちはかわいかったけど、だんだんもういいじゃん…って思った。そこでようやく二人が気持ちを通じ合わせたけれど、柊聖はなんだか寡黙な感じに。もっとお遊びかましてもらいたい、このドM心はどうしたらいいんだ。ラブラブすぎる新婚生活を楽しみに待つしかない、ということだろうか。

こんなに早い段階から同居を経験し、ケンカを経験し、仲直りを経験した2人…これからの人生、めっちゃ楽しいんじゃないだろうか。わかっているからこそ、お互いに譲り合えるし、優しくできる。ケンカしても、揺らがないことが約束できる。大人になってから思うが、あらゆる経験が早いほうがいいと思う。子ども産むのはちょっと待ってもいいが、いつまでも学生をやってるより、社会に出るのも大事だなー…って痛感する今日この頃である。

ここからの展開は将来のことになるが、柊聖が自由に決めるのではなく、もしかしたら葵が自由に決めて、柊聖がついていくスタンスを取ることになるかもしれない。好き勝手やって、迷惑かけて。これからは誰よりも葵のために。そんな人生を選びそう。そしてそれを選んだ柊聖をたしなめて、「自由にやれ!」って葵が叫びそう。そして葵がいつでも「おかえり!」って言ってくれるような、あったかい家庭を築いていくのではないだろうか。というか、そうしてもらいたい。今度はレオンが隣人になるかもしれない。アメリカとか行って。

そういえばお約束が足りない

葵の父親に不純異性交遊を禁止されている葵と柊聖であるが、卒業する日にはもう始まって…くれるよな…?ずっとおあずけくらっているのだが、柊聖はよくそれで大丈夫だな…と心配になる。

安定の2人といえど、言葉一つ、行動一つで危機にもなるし、幸せにもなる。同じ人と付き合っているから何もかもわかっている、というのは嘘で、長く付き合っているからこそお互いに譲り合うというか。全部ひっくるめて、相手に幸せになってもらいたいと思うことが大事なのだろうと思う。かといって遠慮しすぎて何も言えなくなっちゃったら悲しいから、空気を一生懸命読みあって、大切に、大切にしてもらいたいなーと思う。葵と柊聖にとっては、触れ合うことがむしろ自然なことかもしれないので、ゆるーく静かに終了しそう。それを楽しみに、最後まで読んでいこうと思う。

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ゆっくりと進む葵と柊聖のラブ生活は長い

一つ屋根の下というドキドキ設定一人暮らしをしていた葵のお隣さんに、親友が恋してフラれた憎き男・柊聖が引っ越してきた。ひょんなことから葵は柊聖の部屋の火災防止用スプリンクラーを発動させ、修理が終わるまで同居することになってしまう…そんな始まり方をしたこの物語。始まりは、100歩譲ってアリとして、お互いずいぶんと信用して始まっていますね~…一つ屋根の下で高校生が内緒で暮らしている、という設定が先に決まったのかな?どうにか暮らし始めることができるように、うまく着地させたって感じですね。しかも、柊聖のほうが「こっちの家で済ませてもらうんで大丈夫です」みたいな軽いノリ。普通だったらあわよくばという下心があるとしか思えない発言です…柊聖がいかに「天然にぶ男」であるかっていうのは、物語が進むにつれだんだん明らかになってくるので、ここではまだ「ただのイケメンなんでもデキすぎ君」です。葵も葵で、全然警戒心が...この感想を読む

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隣人

この本は、たまたま高校が同じでたまたまアパートが隣同士の男女が恋するお話です。最初は、お互い気に入らなくて喧嘩越しでしたが、隣に住んでいるということもあり次第に気になり始めていきます。女の子の葵は料理がとても上手で、一方男の子の久我山はバイトに明け暮れており、まともにご飯を食べていませんでした。それを知った葵は、良かったらと一緒にご飯を食べようと誘い、そこから徐々にお互いの気持ちに気付き始めていきます。すれ違いをいっぱいしながら、幸せになっていくストーリーです。私がこのマンガを読んで、これがきっと「運命」というものなんだろうと思いました。たまたまアパート隣になってしかも高校まで一緒なんていうことは、絶対と言っていいほどありません。そんな2人だからこそ、恋に落ちていったのかなと思いました。運命というのは、その瞬間はきっと感じることは少ないと思います。しかし後でよくよく考えてみたら、「もしか...この感想を読む

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  • あちゃぴあちゃぴ
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