斬新な恋愛漫画！キュンもドキッもほっこりもこの一冊に！ - きみはペットの感想

年下男子を”飼う”

誰もが憧れる、東大卒・ハーバード大卒・新聞社勤務・美人・スタイル抜群の主人公：スミレが、役に立たない、ただ可愛いだけの年下男子：モモを”飼う”お話です。平たく言ってしまえば、”ヒモ”なんですが、それだけでは終わらないのが、作者小川彌生さんのすごいところ！！！まず、キャラクター設定が素晴らしい！！！スミレちゃんは、誰もが羨む肩書や容姿をもっていながら、性格は根暗でネガティブで自信が無い。頭がいいばっかりに、考えすぎて悩みが尽きない、憎めないキャラなんです。しかし、周りはそう思ってはくれません。肩書だけで判断し、上司や同僚にやっかまれる日々。そんな毎日に嫌気がさしているスミレの前に現れたのが、年下男子、モモだったんです。出会い方は衝撃的で、傷だらけで段ボールに入っているモモを発見したのが始まり。初めは飼うつもりなんて全くなかったのに、これがまた、モモの可愛いこと！！！特定の住む場所もなく、友達や女の子の所を転々としていた子だけあって、甘え上手・褒め上手・気に入られ上手で、スミレちゃんの心の隙間をすっかり埋めてくれるから、スミレちゃんも読者もメロメロ！

モモとの生活、初めての男：蓮見先輩

もちろんモモは、すごいテクニックだけど、何も住む場所欲しさにやっているだけではないのが、読んですぐ伝わります。モモは、スミレちゃんに何も求めず、望まず、ただ彼女を癒す。それも驚きのプラトニック生活。そんな存在で自分がいられることに、モモ自身も救われていくんです。実はモモは、クラシックバレエ留学をしたこともあるおぼっちゃま。今はモダンダンスで成功しようと必死な一生懸命な年下男子！ただのちゃらんぽらんじゃないんですねえ。そこがまたドキッといい感じ。そんな中、スミレちゃんが忘れられない、東大時代の先輩：蓮見さんが現れるんです。彼も本当にいい男で、東大卒・イケメン・高収入・高身長で言うことなし！なんだかんだで付き合うことになるんだけれど、モモとの暮らしも手放せないスミレちゃんは、モモを本当の犬ってことにして、何とかごまかしていくんんです。ばれそうでばれない、その掛け合いもまた面白い！

ライバル、そして結婚へ

蓮見先輩は、高スペックで言うことなし！そのため、ライバルもわんさか。自分に自信の無いスミレちゃんはそんなライバルたちにやきもきしながら付き合い続けますが、一番の強敵：福島さんが現れます。彼女はツライ生い立ちもあって、欲しいものは何としてでも手に入れる。彼女との攻防の中で、モモは、蓮見先輩の代わりにスミレちゃんを支えます。そんな中、蓮見先輩の台湾転勤が内定し、ついにスミレちゃんへプロポーズ！しかし、スミレちゃんは悩みます。プロポーズを受けるということは、モモとの生活を終わらせるということだから。一旦はプロポーズを受けるものの、モモの大切さに、かけがえのなさに気づいていくスミレちゃん。そして、そんなスミレちゃんを実は、ずーーーっと好きだった、、、モモ！！！もう、それが分かった瞬間の、驚きと喜びと、しっくりぴったり感！！二人は無事結ばれ、幸せな結婚生活を送るところで完結します。

ただの年下男子と年上女子の恋愛話ではない！

だって、最終的に二人はくっつくのに、二人の恋愛場面は、最後の１，２巻なんです！！それまで、ぜーんぜんお互いを好きだとか出てこないんですよ。これってすっごく斬新です。よくある少女漫画は、好きな人ができて、告白しようか迷って、けんかして、ライバル出てきて、付き合って・・・というような先の読めちゃう展開。私は、最後の最後まで蓮見先輩とくっつくと思っていました。この漫画を描き始めた当初、小川先生は果たしてこの結末を予想できていたのか・・・すごく気になる！！そう思うくらい、スミレちゃんとモモが自然にまるで息をするかのように、少しずつ心を通わせているんです。それが小川先生の本当にすごいところ。ちなみに、モモの本名は「ごうだたけし」といいます。まさに、ジャイ○ンと同じ名前ですよね。こんな風に、本筋以外にも笑えるところがたくさんあって、読むたびに笑顔になれる漫画です。そして、スミレちゃんのカッコいいこと！スタイルよくて、美人で、おしゃれで、しかもタバコを吸っている！！！個人的にはタバコは吸いませんが、スミレちゃんの姿やライフスタイルを見るだけで、「今日はルッコラでサラダを作っちゃおっかな」（作中にルッコラでサラダを作ると言うところがある）とか「ストレッチとかヨガでもやっちゃおっかな」とかいう、謎のおしゃれ感に包まれます。それって、私たちの生活にとってすごく大事なことだと思っています。読むことによって、意欲がわいたり、笑顔になったり、自分の生活をより良いものにしよう、と思える漫画はそうそうありません。このレビューを読んで、「きみはペット」が皆さんの生活の潤いになることを祈っています。