感情欠落完璧主義人間の末路のような、適材適所のような、 - ヒットマンの感想

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感情欠落完璧主義人間の末路のような、適材適所のような、

4.54.5
映像
5.0
脚本
4.0
キャスト
4.5
音楽
4.0
演出
4.0

目次

孤児を憐れまそうとする要素はない

孤児を殺し屋にというゲームが原作らしいので、ありきたりというかなるほどね、という設定で、殺し屋の47がめちゃくちゃ強くてバンバン仕事をこなしていきます。孤児というだけで負の要素が入ってるかと思うのですが、それにプラスして殺し屋に育て上げられ、組織の言われた通りに仕事をこなさなければならない数奇な運命を作中で哀れむような構成になっている作品は多いと思います。そこで殺し屋本人が自分の存在意義や感情と仕事との間で揺れ動き、自立していく、という基本的な流れがあるように思えるのですが、このヒットマンは全く殺し屋としての自分に疑問を抱きません。きっと疑問を抱き、殺し屋としての自分に嫌悪したヒットマンも47以外でいたことでしょう。しかし、そう言った殺し屋たちは生き残れないのだと思います。過去を振り返り、今の自分を受け入れる。殺し屋としての仕事を全うするということだけを考えて生きてきた人たちが残っているのだと思います。ようは人間らしい感情を育てずに、むしろ気がつかずに生きてこれた者たちだけが組織に残ってるのでしょう。

しかし、47はなんとも人間らしい感情をほのかに持っています。そこが一番不思議に思いました。オルガの誘惑を打ち消す強固な理性は持っています。どれだけ感情にブレーキをかけられるか、そこがものすごく長けているように思います。最後にはオルガにブドウ畑をプレゼントし、またオルガを狙うヒットマンを始末していたりする優しさは彼にはあります。本当に不思議です。「レオン」では人間的な優しさを手にいれたが為にできた隙でジャンレノは殺されてしまったように思います。そこを絶たなければ野性的感といいましょうか。そこが鈍ることはなかったのではないかと思うんです。この作品の一番の不思議な点は、感情を持った殺し屋が隙もなく完璧に仕事をこなしていく、というところですね。

だからこそ面白いのだと思うのですが。

オルガ・キュレンコの美貌

スレンダーな身体に控えめについている乳房、キュッと張りのあるお尻はもう絶景かと思います。女の私が見ても、彼女の美しさはため息が出るほどでした。かといって、下品なフェロモンを垂れ流しにしているというわけではなく、芸術のような、見ていて流れるようなラインが綺麗でうっとりするような身体だなあと。その美貌に打ち勝つにはどう言った鍛錬が必要なのかと、アダルトなシーンもなくサクサク仕事を遂行していく47はもはや硬派を通り越して鉄人だと思います。

ニカの47と接している時の視線がどんどん柔らかくなり、47に甘えていくさまは可愛らしくて好きでした。彼女は殺し屋としての47に嫌悪感を抱いていましたが、自分に危害を加えないこと、過去の生い立ちを聞いてくれたこと、同じ時間を過ごす中で好意を寄せるようになっていきます。そのピュアな彼女の視線も攻撃的な美貌とのギャップで萌えましたし、47の掌の上で転がされているのを楽しんでいるようでした。

最後に47に名前を聞くあたり、もう一度会いたいという思いの強さを感じました。ブドウ畑をもらった時の彼女は47を探しますが、彼の存在が近くにあるという安心感と喜びが笑顔で伝わってきて、こちらも嬉しくなりました。粋なことをしますね、殺し屋なのに。

機械ではなく生身の殺し屋

「ミスター&ミセス スミス」でもそうですが、強くなりすぎると組織側としては脅威になってしまうのか、必ず味方に裏切られる時がくるんですね。ひどいもんですね、もはや物扱いですね。殺し屋として散々こき使ってきたくせにどうしてそうぞんざいに扱えるのか。組織の冷酷さの方が人間らしくないですね。しかし、組織側の人間の方が陽の当たる場所で暮らしているなんて、理不尽にもほどがある。ここでああ、裏切られたんだと気づいてもなお仕事を遂行しようと奮闘する47はプロ中のプロです。完璧主義だから、それともニカの過去を聞いたからか。両方でしょうけれど、最後には相対していた警察官のマイケルまでも殺し屋から救います。そんなことをしていたら身がもたないだろうにと思うのですが、余計なお節介も好きなんでしょう。仕事が終わればはいさよならではなく、きっちり死ななくてもいい人間を生かし続けるところまで面倒を見ます。47はマメな男です。こういうところにニカも惚れたのでしょうか。まさに彼にとって殺し屋が天職のようですね。

はっきりとした感情を口に出したり、表情に出すことはありません。そこは殺し屋らしくクールに決めています。なので、時々見せる笑顔にはヤラレちゃいますね。元々可愛らしい目をしていて、どこか母性本能をくすぐるような顔立ちをしているので、いつもは怖い顔しているのに、時々のぞかせる笑顔とのギャップが見ていてたまりませんでした。もはや笑っている47を待ち望みながら見ていたほどです。

肉体美も素晴らしいですね。スーツがよく似合ってる。赤いネクタイというのもとても合っていますし、何よりもかっこいい。白いシャツがあんなに似合う人他にいるの?と思うほど、かっこよかったです。スーツなのに動きにくくないのかな、と言う素朴な疑問を抱きながら、もうメロメロでした。

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出演陣が豪華!

人気ゲームの映画化。そのゲームのファンであるフランス人監督のザビエがメガホンを取る。主演はダイ・ハード4で悪役を演じたのティモシー・オリファント、ダイ・ハードではいかにもというイヤらしい感じの悪役を演じていたが本作ではスキンヘッドの殺し屋、スタイリッシュでカッコよさが際立つ、またストイックなキャラクターも女性の心をギュッとつかむのでは。MI:2でこちらもまたトム・クルーズに敵対するイヤらしい悪役を演じたダグレイ・スコット、本作ではインターポールの堅気な刑事を演じこちらも好印象、さしずめカッコイイ銭形警部と言ったところか。本作で非常にキュートな娼婦を演じているオルガ・キュリレンコは007/慰めの報酬で見事ボンドガールに大抜擢されているがそれも納得の美貌とスタイル、演技。プリズン・ブレイクいで強烈な悪役を演じたロバート・ネッパーが再度脇役でいい味を出している。ロシア連邦保安庁の悪い役人といった...この感想を読む

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