一気に読んでしまうストーリー!
パイヤンの愛情の変わりようが楽しみ。
パイヤンの父親としての自覚の変化、とらじへの愛情、リオへの愛情の持ち方の変化がよく分かり、とても愛に満ちている作品。
そこにたくさんのmixたちが登場することで、人間だけでは表現できない純真無垢な気持ちが呼び覚まされる唯一無二なストーリーになっている。
はじめは、とらじに対して「邪魔者」だとか「役立たず」といった認識しかなかったパイヤンが、長く旅を続け様々な人やmixの力を借りねずみを退治したり、時には事件を解決したり、また敵であるねずみを許したり、そうしていく過程を踏む事でとらじへの愛情、また周囲の人やmixへの感謝の気持ちを感じ、口調や行動、態度が様変わりしてゆく展開には、自分自身の身の振り方を見つめ直させてくれる。
強いメッセージ性
田村さんの作品は、どの作品もメッセージ性が強いが、この作品もそうだと思う。
1つ1つの話しから考えさせられることも多い。
「ねずみは嘘をつかない。嘘をつくのは人間だけだ。」という教授の言葉にはとても考えさせられた。
しかし幹部ねずみは人間の負の部分を特徴として持っているねずみが多く、そのねずみたちにどう打ち勝つか。どう攻略するか、を描く事で実際に人間が負の感情とどう向き合っていくべきかを教えてくれている。
「夫婦」という最小のコミュニティ
愛情、という大きなテーマがあるが、パイヤンとジョゼの関係の変化も、読んでいて心温まった。
ジョゼが知らなかった勇者パイヤンの姿、パイヤンが知らなかった妻としてのジョゼの姿、リオが攫われることがなければ「夫婦」としての2人には培われることのなかった愛情が芽生えたところが、実際の人間関係においての「すれ違いから生まれる溝」の修復の仕方を学ばせてくれた。
お互いのありのままの姿を受け入れること、自分の持っていたイメージが違った時に相手の好意を素直に受け入れ、感謝することができるか。
自分の知らないところで、自分のためにしてくれていたことを知り、そして相手の事を知りたいと思い見る、ことの大切さを教えてくれた。
子どもの成長と同じ、とらじの成長
そしてすべてのキーであるとらじの成長も楽しみの一つ。
第1話を読み返してみると、とらじの自我もまだ確立しておらずただパイヤンについていく猫mix。
それが、とらじという1つのキャラクターをしっかり確立させ、パイヤンへの気持ちの変化に戸惑いつつも成長を遂げていく。
まだ登場回数の少ないリオを、名前だけでここまで印象づけるのは やはりとらじの存在があるからこそだが、とらじは本当にただの猫mixなのか、魔法のねずみの目的は何なのか、気になる伏線がとても多く 今後の展開を想像するだけでとてもワクワクする作品。
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