恋の仕方が自然で素敵な作品
二人の関係性が理想的
白雪姫と王子様の出会いが素敵でしたね~ゼンが上から降ってくるんですもん。第1巻~3巻くらいまでが何回見ても最高なんじゃないかとすら思えます。毒リンゴのくだりなんて、まさに白雪姫のストーリーをいじってるけど、ゼンの王子たる姿を知らしめるのに最高のシチュエーションでした。
王族だからこその悩みを持ちながらもそれを力にかえているゼンがものすごくかっこいいです。民のためにできることを最大限考えている、王子でイケメンで素直で優しい人間ってだいぶ罪です。同じく白雪も、赤髪であるコンプレックスを持ちながらそれを力にしてたくましく生きている、かわいくて気が強くて優しい人間って…こちらもだいぶ罪な人です。二人がファーストインパクトで仲良くなっていますが、お互いに地位とか見た目とかじゃなくて人として尊敬できるかどうかに重きをおいて人間を見ているのが素敵ですよね。ぱっと見、いつゼンが白雪に恋したかはわからないけれど…それもまたどんな想像力を働かせて楽しめるところです。お互いにつかず離れず、お互いの夢をしっかりと持って進んでいく。でも近くにいて共にありたいと思う…その共にありたいって相当かっこよすぎる言葉ですよね!好きよりずっしり来る感じ、大人の雰囲気が漂います。そういう最高のパートナーを見つけれたら、どんなに楽しいかって思いますよ。すげー好きだー!!っていうより、すげー愛しいー…っていう感情に近いですね、この物語の恋の形は。
そりゃあ白雪に惹かれても仕方ない
白雪がですね、かっこよすぎるんですよ。ただ男勝りだっていうことじゃなくて、心の強さがかっこいいのです。赤髪で相手の興味をまずがっしりとつかむうえに、自分のやりたいことのために最大限努力できて、頭の回転が速くて賢くて、誰かを思いやる気持ちを持っていて、逆境に屈しない強い心を持っていて、そして笑顔が最高にかわいいという…完璧だ…完璧すぎる…白雪を好きにならない人は心が汚れているとしか思えませんね。女が女を好きになるって場合に完全に好かれるほうのキャラクターです。
基本的にこの物語の中に悪役ってあんまりいない感じなんですよね。山賊・海賊・盗賊はもちろんいますけど、ラジ王子のくだりとか、新しいと思います。完全に悪役として登場したはずのどうしようもない馬鹿な彼が、白雪のおかげで前を向き、勉強し、国のためにそして白雪のために王子として強くあろうと変わっていく…かっこいいです。ラジ王子が王家の友人の称号をあげたときは、すげー最高な奴だと思いました。ラジ王子と三角関係になるようなことがなくてよかったですけどね。完全にゼン派です。何しろ王子たる自覚と雰囲気が最高だから(笑)。白雪がタンバルンに行かなきゃいけないときはだいぶ嫌でした。たら、そこから海賊に連れ去られたりずいぶんと話が進んで、お互いが何があっても共にあろうとすることが決まったんですよね。このイベントはなきゃいけない構成だったと思いますよ。
国が人々を支えていくために、王子ができること、そして王子を支える人々ができること、というのを表現していますが、お互いに共鳴しあっていいものをつくっていこうとする姿勢は感動せずにはいられないところでしょう。
オビも相当かっこいい
オビの描かれ方が最高!としか言いようがないくらいです。本当にいいやつですよ、こいつは。はじめに雇われ兵として白雪を襲撃しなくちゃならないときも、傷つかずに済むような警告の方法を選んでいるし、絶対に人を恨んだり傷つけたくてやっているんじゃないっていうのがわかるというか。ほほえましいですよね。弓矢の警告に負けない白雪を見て、「何なんだよこの人」って思ったのがもう運のツキ。ゼンと白雪にどんどん巻き込まれていって、完全に心の優しさが表にあふれる人になっていく。個人主義が心を開いていくまで、あまり心の声が描写されなくてわかりづらいけれど、それがまた読者をキュンキュンさせちゃいますね。好きだから、見ちゃうんですよね。そして大好きだからついつい助けちゃう。相手の弱い部分も、強い部分も、全部ひっくるめて大切にしたいと思う。ただそれを打ち明けて困らせることは絶対しない。あーー悶絶のかっこよさ。ここまではよくあるけど、それをゼンにしゃべっちゃうっていうのが…オビのかっこよさを際立たせます。彼女を大切に想いながら、私は王子のことも大好きなんだ…もちろん、三角関係フラグだったんですけど、こういうふうにあんまり描かれないじゃないですか。ほかのマンガだと。だいたいがぶっこんで振られて立ち直って…みたいな苦さ出しますけど、そうじゃないのがこの本のいいところです。汚くない感じが心地よすぎます。どちらも大切だから、どちらも幸せになるほうを選びたい。白雪という人間、ゼンという人間を好きになってもしょうがないです。
木々とミツヒデに関しては、もう当たり前にそうであってほしいと願っているので、たぶん木々がどうにかしてくれることでしょう。
リュウの成長が楽しみすぎる
12歳という若さでウィスタル城の宮廷薬剤師となったという…この登場からだいぶ素敵ですよね。薬学書も執筆できるとかすごすぎる。まあ近年はなんでも小さいうちから才能発揮する子が多いですから、なくはないと思っていますけどね!自分にもそういうものがあったらなー…とか今更考えちゃったりします。
これからの物語ではリュウが楽しみなところです。頭がいいと出てくる言葉も頭がいい。けれどきちんと子どもだから、また、いい(笑)。オビが肩車してあげてるときなんか最高でしたね…かわいいです。そしてリュウもまた、白雪という人に出会って大きく成長していく。逃げずにコミュニケーションをとることだったり、好きなだけで取り組むのではなくて責任感を持って仕事に当たっていくこととか、自分のやりたいことを仕事にするってどういうことだろう?って考えさせてくれますね。そして身長も大きくなってより男っぽくかっこよく…結局かっこいいのがうれしかったりするんですけどね。小さかった男の子が男らしく成長するというのが萌ポイントだったりします。
何かに一生懸命だとすがすがしい
お互いに想いあって信用しているからこそ、離れていても大丈夫。遠恋中のお互いをここまで細かく描いてくれるマンガってなかなかないじゃないですか。だいたいがお互いにいい人見つけてなんか起こるパターンを想像するけど、ゼンは王子として生きているし、白雪にはオビというやつがいてくれる。登場人物たちがどんなことを考えて、どういうふうに生きていて、どんな答えにたどり着くのか。そういうのを見せてくれている気がします。いつまでもずーーっと続いちゃいそうな話でもあるので、インパクトがすごかったのは序盤のほうだと思いますけど、これからの展開もますます気になるところです。もう少し色恋あってもいいのかもしれないですけど、恋っていうより愛を描いている感じなので、これはこれでうっとりしますね。さらっと国がどうこう描いているけれど、けっこう壮大なお話です。白雪とゼンががんばってやり遂げようとしていること、これをきちんと見届けてあげたいなーと思いますね。
アトリとのやり取りとか、ゼンが王子としての自覚を決めた時のお話とか感動的だったので、オビの話ももっともっと聞きたいなー…とか考えてます。
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