近未来的要素もある桂正和氏の「得意分野」作品
「ヒーローもの」「恋愛もの」で定評ある桂氏のペンが冴える作品
未来から過去を変える使命を背負ってやってきた、格闘もできるヒロインや、幼馴染と主人公純太のなかなかうまくいかないじれったい恋愛など、著者桂正和氏が得意とする世界観が描かれた作品である。
近未来の衣装や武器などの細かい描写をはじめ、未来から来た「葵かりん」が背負った任務などについて、非常に細部にわたって設定がなされている。実際にはありそうもない突飛な展開ではある物の、それなりに理屈付けがされていて、納得しながら読むことができる。近い将来とんでもないプレーボーイになってしまう純太を変えるため、遺伝子から操作しなければならない理由を、わけがわかってない主人公純太とともに、読者もかりんの説明を聞きながら理解していくこととなる。世界観を説明する手法としては非常に物語に入りやすく、わかりやすい。
かりんは「あおいさん」の再来
桂氏のラブコメヒーローものの代表作に「ウイングマン」が挙げられるが、D・N・A2とウィングマンには物語の展開に非常に相似点がある。主人公に夢、超能力を与えてくれた女性の存在。夢や超能力を与えてもらう前は平凡な男子学生だった主人公。主人公と恋仲になる(なりそうな)女生徒。そのような存在が、すべてウイングマンとD・N・A2では対になっている。ウイングマンのあおいがD・N・A2のかりん、健太は純太、美紅が亜美を彷彿とさせる。最後に自分を変えるきっかけを作った少女との別れのシーンで、少年が少女の記憶を失くしてしまうところも、展開としてはそっくりである。しかし、二作とも終わり方は夢オチ的であっても、主人公が経験した時間が無駄にならない展開となっている。
超能力描写があの名作に似ている?
主人公純太はプレーボーイになっていくのと同時に超能力を身に着けていくが、その超能力の描写が鳥山明氏の代表作、ドラゴンボールの「スーパーサイヤ人」に非常に似ている。
ドラゴンボールは大変な人気作品のため、戦闘物の少年漫画ではドラゴンボールのオマージュとして描かれたような作品はよく見かけるが、桂氏と鳥山明氏は非常に仲が良いことが有名で、過去に鳥山氏は桂氏を自分の作品に「住んでいるところがとんでもない田舎」と暴露したうえに出演させるなどしたことがあるほどである。友人同士作風が似るというのも大変面白く、おそらくドラゴンボール風な超能力覚醒シーンでの描写も、鳥山氏が承知の上で描かれたものではないかと思われる。非常に二人の人気作家の仲の良さを感じる作品でもある。桂氏と鳥山氏はのちに合作などもしており、D・N・A2も二人の仲を深めるきっかけとなった作品ではないだろうか。
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