懐かしいのに新鮮 - ゴーストバスターズの感想

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懐かしいのに新鮮

4.04.0
映像
4.0
脚本
4.0
キャスト
3.0
音楽
5.0
演出
4.0

目次

いい映画

映画は今も自分にとって大切なものですが、子供のころはもっと特別なものだったと、そう思います。特に、テレビで放送される映画は外国語で喋らないので、字を読むのが遅かった子供時代にはとても有難く、集中して作品と向かい合うことが出来るのでした。しかも、夜遅くまで起きていても映画が終わるまでは許された我が家では、テレビで見る映画は「ヤッホー」なのでした。ゴーストバスターズは、私のそんな子供時代・テレビ映画時代に出会った大事な作品の一つです。好き嫌いや、こうしてウンヌンカンヌン感想を述べるようなレベルではなくて、「わーい映画―」であり、「ざ・えいが」な刷り込みがあります。実際ヒットした作品ですので、同じように手放しでこの作品を愛で、印象深く記憶している人は多いのではないかと思います。公開当時大人だった人たちも、です。そして改めて、見直してみると、「あらら」とか「なんだか、こんなの、どうなんだろう」とか結構、印象に比べてつまらなかったりするのですが、そのへんの感情に蓋をして、「うん、それでも愛おしい」作品だと、ちょっと無理して思うのは、私だけではない気がします。

これで良くてこれがいい。

これは、鑑賞して何か物申す対象ではない作品なのです。批判的なことを言っても、褒めちぎっても、どうしようもないのです。圧倒的に楽観的で、圧倒的に明るい。花火のような作品だと私は感じます。打ちあがって、広がって、消える。ただそれだけなのに、圧倒的に注目を集めて、心を振動させる。きっと何も考えなくていいのがいいのだと思います。何も考えないで見られるから、何も言うことが無い。というか。言わなくていい、というか。そういう感動の仕方って、映画の得意とするところだと思います。「夢」なんだと思います。スクリーンの中では、非現実的なことが起きている。目まぐるしく知らないことが起こることのスリルが、画面の迫力となって興奮が起きるんですね。それが、楽しい。ゴーストバスターズは、楽しければ成功!そんな映画のように思います。

アレンジを想像する

そんな単純な男性が眠ってみている夢のような、子供の思い描くような都合のいいストーリーで一貫されている今作ですが、例えば、日本のコミケのように素人がプロの作品をカスタマイズして作品世界を広げることが出来るなら、かなりのパターンで描くことができそうな作品でもあります。ゴーストバスターズは、パロディ化するよりはシリアスにアレンジしたら面白いかもしれない。とか、突っ込みどころは多いので、突っ込めないように作ってしまえば、かなり本格的な映画になってしまうんじゃないか、とか想像するのも悪くないです。例えば、ただの害虫駆除みたいにゴーストを対峙するんじゃなくて、もっとスリリングなアクションに変えたり、知恵を凝らした頭脳戦にしたり、ゴーストの恐ろしさを強調したり…。今作では、ゴースト退治に出てもドロドロに汚れるくらいで、死の危険とかあまりないですし、ゴーストも主人公たちも大して強くないんですよね。もしくは、恋愛感情に注目してもいいです。くだらないナンパ男が真剣な愛に目覚めるとか…。失業した人たちのサクセスストーリーにしても、特に何の苦悩もなく、とんとん拍子に大成功なのも可笑しくて、これまで出没がなかったゴーストが、失業のタイミングと同時に続々と現れるのが本当にラッキーなのも、何か影をつけてもいい気がしますし…。市民を守るための使命感に燃えてもいいんですが、そういうのでもなく、たまたまヒーローになれたというのが、やっぱり面白んですよね。いっそもっとはじけて、ミュージカル風に仕立てるのも似合う。そんなふうになると、ゴーストバスターズじゃなくなるんですけど、色々想像はできる。通常、真面目な作品をパロディ化して今作のようなのが公開されたりするんだと思うんですけど、逆ですから、それがすごいなあとか面白いなあとか思います。映画史の流れって、そうだったんだな、と意外に思ったりします。主題歌もやたらとピカピカしていて、もう好きにしてーって笑顔になる、耳に残りまくる、気づいたらノッているすごい曲だったりします。

意図せず万人に向けられる

それで、この作品、もしやファミリー向けを狙って作られたのではないかとおもいあたったりします。一見そんな風に見えないから、もし狙っていたとすれば、かなり練りこまれているように感じます。あくまで「狙っていたら」なのですが。だったら凄いな、と思います。子供が見ても平気な点として、お化けが怖すぎない、ベッドシーンが無い、敵味方がはっきりしている、登場人物がみんな単純でずるい人がいない、バカ騒ぎしない、血が流れない。そんなことがあげられます。もう一歩踏み込むとドロドロとシリアスになったり、大人向けになる、そんな部分を省いた作品になっています。いつだれが見てもあの主題歌にぴったりのカラッとサクッとしたスナックのような作品に仕上がっています。それ故、現代から見ると未熟なセットも、物足りなさはなく、むしろ愛と敬意をもって見ることが出来ます。この作品の凄いところは、映像に自分の想像を加えて十分とすることが出来る点ではないでしょうか。ポテトチップスが時代を超えて不滅なように、今作も映画の定番であり続けるのだと思います。

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