源氏物語の代名詞「あさきゆめみし」 - あさきゆめみしの感想

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あさきゆめみし

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画力
4.25
ストーリー
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キャラクター
4.00
設定
4.50
演出
4.50
感想数
2
読んだ人
7

源氏物語の代名詞「あさきゆめみし」

4.54.5
画力
4.5
ストーリー
5.0
キャラクター
4.0
設定
5.0
演出
5.0

目次

一番わかりやすい源氏物語

古典の源氏物語を現代語訳した小説や漫画は他にもたくさんあるが、源氏物語といえば「あさきゆめみし」とほぼ同義になっているほど有名な作品である。

特に漫画の源氏物語の各作品は、人物像をあさきゆめみしを参考にして作画されたと思われる作品も多く、あさきゆめみしが源氏物語の人物像に視覚的な面で他作家にも強く印象を与えていることを物語っている。あまり今風になりすぎず、適度に古語も交えたセリフも、小学生でも理解できる文体で非常にわかりやすい。平安時代という世界観を壊さずに現代人でも楽しめる作品になっている。

一人の男の恋愛遍歴が真のテーマではない

源氏物語というと、主人公光源氏が沢山の女性と恋愛をしたことばかりが印象的で、物語自体そういった数々の女性との恋愛遍歴の話だと思っている人も多いと察する。

しかし、あさきゆめみしを読み進めると、源氏物語が一番訴えたかったのは恋愛遍歴なのではないことが分かる。恋愛遍歴というものは、光源氏が求めてやまない何かを探し続けた過程であるにすぎず、彼が真に愛した女性たちは彼の心がいつまでも満たされない孤独を見抜いているのだ。

あさきゆめみしでの光源氏の印象として最も強いのは、女たらしというよりは「マザコン」というイメージである。幼いころに母を失い、命を懸けて愛した女性は母に生き写し。その女性の面差しを追い求め、その女性の血縁や身分の高い女性と恋愛を繰り返し、時には全くタイプの違う女性のもとで追い求める恋愛の疲れを癒す源氏。最終的には愛する人の形代として愛した女性、紫の上を失った時に、自分の本心に気づく。母の面差しを追っていたつもりが、身分や容姿に関係なく本当に紫の上を愛していたのだが、気づいた時には彼女がこの世の人でなかったのが哀れである。

源氏が亡くなった後も源氏が浮舟を導く

光源氏死亡後は、源氏の孫匂宮と源氏の子供薫(実は源氏の妻三の宮と柏木の不義の子)の時代になるが、浮舟という一人の女性を巡った二人の確執が繰り広げられる。あまりに辛さに自殺を図った浮舟を導いた不思議な男性の虚像のようなものは、作中には名前こそ出てこなかったものの、源氏の霊魂であった。心に素直になり、身分などつまらない肩書にとらわれない生き方とは、当時は出家することしかなかったのだろうが、浮舟が恋愛という煩悩を捨てた後の方がしっかりと自我が芽生えたようになる点はすがすがしい。読者の中にはチャラチャラした匂宮より薫を選んでおけば話が済んだようにも思えるが、浮舟が堅実な男と恋愛のスリルを楽しめる男を選びきれなかったのだから、二兎を追う者は一兎をも得ずと言ったところだろう。源氏は何兎追ったかわからないが、結局は自分の煩悩のために女性たちを苦しめてしまった。一番幸せになったのが最初から最後まで無欲を貫き通した明石の君だったことを考えても、煩悩に振り回されない生き方上手の人生を学べるバイブルと言える。

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歴史的大作の名作マンガ

あなどれないマンガの力高校のときによく回し読みで回ってきていたマンガは、時代がマンガ黄金期というのもあり名作ぞろいだったけれども、この作品もその例にもれず一気にその世界にとりこまれてしまう力があった。元々「源氏物語」というあまりにも文学史上名作中の名作をマンガ化するということに、作者大和和紀のその苦労が偲ばれる。当時は高校生。難しい原書など読めるはずもない。こういう名作をマンガ化してくれるということは単純にありがたかった。「あさきゆめみし」で出てくる言葉や人物、その人となりなどはテストにでることさえあった(もちろん「源氏物語」からの出題として)。マンガで読むと教科書では入ってこない知識さえもわかりやすく、脳内に取り込んでくれると気づいたのはこの作品からだったと思う。その力はただの娯楽ではなく、高校生の幼い知的好奇心さえも満足させてくれるものだった。ただ、この作者の絵はとてもきれいなのだ...この感想を読む

4.04.0
  • miyayokomiyayoko
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