音楽映画の金字塔
ザ・バンドの最高のパフォーマンス
この映画はこれまで作られてきた音楽ドキュメンタリーの中では最高の映画だと断言できます。まず、素晴らしさの一つは、ザ・バンドの演奏がほんとうにオリジナルアルバムとかをはるかに超えて、素晴らしいことです。どちらかと言えば通好みがする彼らの音楽。よく言えばブルージーでカントリーで、ゆったりおちついたテンポに確かなテクニック、そして見事なボーカルワークといったところですが、悪く言えば、芋っぽいし、派手さがないし、エンタメ系じゃない。しかし、この映画では、彼らの音楽が見事にエンタメしています。格好いいし、やる気があり、迫力に満ちています。彼らの解散コンサートですから、至極当たり前かもしれません、全力を振り絞ったところがよく出ています。
なかでもロビー・ロバートソンのギターバッキングは最高です。常にバッキングという意識で歌をサポートします。ザ・バンドのほとんどの曲を作っているので、そういう意識は当たり前といえば当たり前かもしれません。そして、レヴォン・ヘルムのボーカルも大好きです。これはすごい。カントリーおっちゃんな感じのシャープでかつ野太いボーカルです。
ヴァン・モリソンのパフォーマンスがすごい
それとザ・バンドのために集まった出演者がすごいのです。なかでも最高なのはヴァン・モリソンです。彼もザ・バンドについて言える良さ、悪さが同じく共存している歌手で、ザ・バンドにとても合います。しかしながら、ライブではなかなか本領が発揮できないという欠点があったようですが、この時のパフォーマンスはすごい。特にキャラバンは、この一曲だけでこの映画を観る価値があります。何度もなんどもこのシーンを見たくなります。ファンになります。まさに魂のヴォーカルを聴かせます。
ドクター・ジョンやニール・ダイヤモンドも出色
その他、みんな一通り素晴らしいパフォーマンスをみせるなかで、ドクター・ジョンとニール・ダイヤモンドが出色の出来栄えです。二人とも、ザ・バンドの雰囲気をガラッと、そして生き生きとさせる役割を担っている気がします。マディ・ウォーターズもよかった。クラプトンやボブ・ディランは想定の範囲内で、まあ、よくどの集合コンサートでも見られる範囲内ですが、ファンにとってはたまらないでしょうじぇ。まあ、誰のバックをやってもザ・バンドはザ・バンドだなと思い知らされもします。よいバンドですね。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)