セクシーアニメ未完の冒険譚
冒険譚の皮を被ったシスタープリンセスなのか
『クイーンズブレイド』は本当にネタを仕込むのが上手いなぁ、と思う。
今作のシギィや前作のメルファの使う“聖なるポーズ”や、ミリムの超振動戦装備もそうだが、ストーリーに違和感なくエロやネタキャラを仕込んでくる。触手だったりレズキャラだったりドMだったり、主にエロに関連した内容が多いのだが、『リベリオン』では更なる変化球を仕込んできた。
それはアンネロッテを中心とする妹たちのハーレム……いわばシスタープリンセス(ちなみに『シスタープリンセス』は主人公の妹12人を攻略するギャルゲーで、妹たちの主人公への呼び方がそれぞれ違う)だ。
本家『シスタープリンセス』と違うのは、ハーレムの中心人物にいるのが女性のアンネロッテだということ。つまり、ここにきて『クイーンズブレイド』は、“百合もの”としての強い側面も持ち始めたのである。
アンネロッテを慕う叛乱軍だけでなく、敵として登場したブランウェンまでアンネロッテを姉と呼びたがっている示唆が見られ、これはもう本格的にシスプリ路線としか考えられない。
前作のエリナも百合要素が強いキャラであったが、それ以外はメイドや人妻やBBA幼女や巫女など、男性向けの正統派のエロキャラが多かったように思う。
しかしここ『リベリオン』に至り、更に幅広いファン層を獲得しようとしているのか(?)百合への傾倒が見られる。
ただし、そこはゲームブックを原作とする『クイーンズブレイド』だけあって、各キャラクターの個性は“百合”という1ジャンルには依存しない。むしろ、『リベリオン』に至って『クイーンズブレイド』のキャラの魅力は更に増したように思う。
キャラクター刷新! 『リベリオン』のキャラの魅力
『クイーンズブレイド』シリーズはもともと、様々な有名デザイナーによってキャラクターデザインがなされているので、キャラデザに関してはそこらのアニメ・漫画が及ばない高い水準を誇っている、と筆者は思っている。
色使い、女性らしいしなやかさと戦士らしいの気品が混在した立ち姿、躍動感のある絵で、常に視聴者を魅了する。特にアニメーターのりんしん氏が手掛けるアニメの立ち絵(エンディングで観ることが出来る)の出来は素晴らしいの一言だ。
そして『リベリオン』に至り、キャラクターがほぼ刷新されることになった。知的&エルフキャラのユイット、触手&二重人格のルナルナ、ドジっ子&ぶっかけキャラのライラなどなど、またまた男性のツボを突く良いキャラばかりだ。
特に筆者は、主人公であるアンネロッテがアニメ史上でも五指に入るほど良いデザインのヒロインだと思っている。アンネロッテのデザインは、男性的な強さと女性的な美しさを併せ持つ存在というコンセプトのもと考案されたらしく、美しい薄紫色のロングヘア―と可愛らしさと凛とした強さが垣間見える美貌、更に優美さと残した鎧とのギャップが素晴らしく調和している。あれだけゴツイ鎧をまといながら、ミニスカートというのがまたいい。遠藤綾の声も実に合っていて、ハーレムアニメの主人公としても、また一人のヒロインとしても魅了を放っているのである。
美少女たちの織りなす叛乱の結末は
さて、ここまでは『リベリオン』の設定とキャラクターデザインについて取り上げたか、今度はストーリー部分についての考察を進めたいと思う。
『リベリオン』自体は、TVアニメ版前々作『流浪の戦士』とストーリーラインが似ている。一定の場所に留まらず、主人公であるアンネロッテが旅をしながら仲間を増やしていくという話という点では、『リベリオン』も『流浪の戦士』もさほど変わりない。
ただし、ただ各地を旅し、様々なキャラクターの自己紹介で終始した『流浪の戦士』とは違い、『リベリオン』には女王軍への叛乱という目的がある。そのため、『流浪の戦士』よりは目的意識が強く、最初から終わりまでどういったストーリーになるのか想像できる(話についていくことが出来る)半面、キャラクター個人の掘り下げが若干出来ていない印象を受けた。
これはストーリーが中途半端なまま二期の制作がされていないことに大きな原因があるのだが、1クールの構成として、主人公であるアンネロッテが何故女王に歯向かうのか、理由づけが甘いことにも要因がある。
原作では女王に父母を殺され、復讐のために叛乱軍を率いることになるアンネロッテだが、アニメ版ではそこが明らかにされておらず、「女王のやり方が気に入らないから歯向かう」という単なるお人よしに成り下がっている。また、原作では沼地の魔女に増幅の呪いをかけられ圧政を敷いていたという女王クローデッドが、実は魔女の呪いから解けていたというのにも頭をひねってしまう。
二期があることを示唆して終わったのにも関わらず、全ての伏線が回収されず、主人公や敵役の理由づけも半端では、ただ単発のアニメとして中途半端な評価をなされてしまうだろう。
『クイーンズブレイド』は魅力的なコンテンツなので、製作者は匙を投げずに二期を作っていただきたい。
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