日本の歴史を詰め込んだ作品 - コイ☆セントの感想

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コイ☆セント

4.454.45
映像
4.25
ストーリー
4.00
キャラクター
4.25
声優
4.50
音楽
4.75
感想数
2
観た人
2

日本の歴史を詰め込んだ作品

4.44.4
映像
4.0
ストーリー
4.0
キャラクター
4.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

制作された背景

当作品は、平城遷都1300年記念を祝うものとして制作された背景があります。

しかし、アニメ自体のクオリティーは雑であるように感じられるのです。

ただ、よく観察してみると、一般的なアニメ作品と、手間がかけられている箇所が違うことに気付くことができます。まずは、登場人物はCGアニメーションで描かれ、比較的に、手間をかけられていないと考えられるのです。映像の中で動きがあり、目立つのは、やはり登場人物の存在なのです。そのことから、アニメ作品のクオリティーとしては雑であること感じさせるのです。

しかし、一般的なアニメ作品と違うところに注力されていることに気付くことができました。それは、場面の背景となっている建物や景色です。前述しているように、平城遷都1300年記念として制作されているので、平城京があった奈良という場所を強調したかったのだと考えられます。制作された背景や意図を、制作スタッフの作品自体の作り込み方から感じ取れるポイントだといえます。

作品タイトルの考察

作品タイトル「コイ☆セント」は、制作スタッフによって、当作品のタイトル命名の為に作られた造語だと考えられます。

全体の言葉の響きから、電源供給するための電源コード、または、その差込口を指す「コンセント」を題材にして作られたものなのではないでしょうか。また、「☆」で区切られていることにも意図があり、「コンセント」の「ン」を「イ」に置き換え、「コイ」で区切っていることで「恋」を表現したものだといえるでしょう。

物語の内容を考えても、主人公のコウイチが、トトに恋するところから物語が始まっており、物語の内容を示唆したものと思われます。また、トトに恋した主人公コウイチが、電源コードを差し込むコンセントにように結ばれ、恋が実るまでのプロセスを描いた内容であることを表しているのではないでしょうか。

しかし、「コンセント」を捩った意味はそれだけではないとも考えられます。

ヒロインのトトは、本編の時間軸による現代の科学技術で、遥か昔の時代から甦った存在です。ヒロインのトトは、現代と歴史をつなぐコードのような存在であり、「コンセント」のような存在を言い換えることができるのです。

そういった意味では、作品タイトルは、ヒロインのトトを指したものと考えることもできます。

ヒロインにおける考察

本編ではトトと呼称されているヒロインですが、正式名称は「倭迹迹日百襲媛命(やまと とと ひももそひめの みこと)」であることが本人の口から語られています。

正直なところ、一般的には、聞き慣れない歴史の人物なのではないでしょうか。

調べてみると平安時代あたりの人物らしいですが、正確なところは明らかになっていません。ただ、作品が制作された背景を考えると、題材にした人物は適切だったと考えられるのです。ヒロインであるトトは、作品の企画当初の内容から、キャラクターデザインされている登場人物であることが伺えるのです。「Wikipedia」の記載事項によると、皇女という立場であり、巫女的な女性でもあったそうです。

現代と歴史を紐付ける人物として、適した人物に焦点が当てられたのだと考えられるのです。

現代と未来のコイ☆セント

現代と歴史を紐付ける要素として、成り立っているのが恋愛要素です。

主人公コウイチの恋心から始まっている物語ですが、短くても同じ時間を過ごすことで、トトもコウイチの気持ちに応えようとしています。物語の進展や展開は、シャチョウから、トトやコウイチが逃げる冒険活劇のような要素で成り立っています。しかし、その背景にあるコウイチの抱く感情は、間違いなく恋愛感情なのです。

恋愛感情というのは、危険な状況にさらされる緊張感によって増幅される傾向にあるようです。

一般論として、危険な状況におけるドキドキ感が、恋愛感情におけるドキドキ感に掏り変わってしまうと言われています。冒険活劇という要素が、恋愛感情を強調するものとして強調されているのです。

冒険活劇というドキドキ感が無ければ、トトがコウイチの気持ちに応えることがなかったと考えられるのです。

主人公における考察

恋愛要素だけで成り立っているのではないのが、本作品の特徴です。

着目するべき点として、他に挙げられるのはコウイチが九州から修学旅行にやってきたという設定なのではないでしょうか。実は、この設定だけ、ポツリと浮いているように感じられないでしょうか。主人公のコウイチは九州から来た設定ではなくても、物語は成り立ってしまうのです。もし、設定だけが当てはめられていたとしても、九州訛りを話すコウイチは、九州という土地を、意図的に強調していると考えられるのです。

明らかに、奈良ではない、九州という土地が強調されていると考えて良いのではないでしょうか。

おそらくですが、日本における初期王朝の邪馬台国を示唆したものだったのだと考えられます。

ただ、邪馬台国にも諸説あり、近畿地方にあった説と九州地方にあった説があります。ただ、制作スタッフは、邪馬台国は九州地方にあったのだと仮定して、主人公に九州地方の訛りを重ねたのではないでしょうか。

また、近畿地方より九州地方の方が、言葉の訛りが特徴的ということもあったのかもしれません。

ただ、結果的に、本編の中でコウイチの九州訛りの話し方が目立ったのは間違いないです。

そして、当作品は平城遷都1300年記念だけではなく、さらに、古い歴史までをも題材として、日本の王朝の始まりから現代に至るまでのラインを描きたかったのだと考えられるのです。

制作スタッフにおかれては、奈良という土地や平城京という時代をモチーフにしながら、日本の歴史の始まりから現代に至るまでのコイ☆セントを描きたかったのではないでしょうか。

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「コイ☆セント」恋せんとって事で。ダブルミーニングじゃなくてチリプルミーニングなタイトルのオリジナルアニメーション映画です。遷都された未来の奈良のストーリーだったんで正直想像していた学園いちゃいちゃラボコメディーと全く違っていい意味で期待を見事に裏切られてしまいました。しかもスタジオジブリに負けず劣らずな映像クオリティと作画ばりで、ただたった30分しかないんですよ。それなのにまるで映画一本分くらいのボリュームというか展開が繰り広げられて、ドラマ、コメディー、アクション、バトルも入っていて驚かされました。街おこし的な意味を持ったアニメ作品だったんでしょうかねえ。でもそういうことを考えなくても十二分に面白かったです。ここまでのクオリティでやってくれるのならですね。音楽もジャパニーズテイストがふんだんに盛り込まれていて高級感がありました遷都2000年祭実行委員会という時代に特化した企画だったよう...この感想を読む

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