味のなくならないスルメ中のスルメ作品 - WILD HALFの感想

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WILD HALF

4.504.50
画力
4.00
ストーリー
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キャラクター
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設定
5.00
演出
5.00
感想数
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味のなくならないスルメ中のスルメ作品

4.54.5
画力
4.0
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
設定
5.0
演出
5.0

目次

今は亡き愛犬の名前の由来

心のやさしい人間はいい匂いがする、ということを信じて匂いによって友達関係を築こうとした小学生の頃の自分を恥ずかしく思うとともに、漫画の世界にどっぷり浸かる純粋さを持っていたなあと懐かしく思います。幼い頃、実家では少年ジャンプと少年マガジンは毎週欠かさず父が買ってくるという習慣があり、兄が読んでいる姿を見て自然と私も読むようになったのがきっかけでした。少年ジャンプと少年マガジン両方開いていたはずですが、記憶に残っている作品はジャンプのものばかりで、しかも私が興味を惹かれるものも限定されるため、次第にワイルドハーフのみ楽しみに待つようになりました。なぜだか動物好きに育った私は、犬が人と同じ言葉を話し、人型に変身まで出来るなんて夢のようだと毎週自分勝手な想像を膨らませていました。この作品をきっかけに犬を飼いたいという思いも育ち、そして愛犬を家族として引き取ってきた日の夜、名前決めの儀式のためにくじにあるキャラクターの名前を書いて箱に入れました。今でも覚えています。兄2人はマロンとポチ。私は漢字を調べながら「銀星」と書きました。見事にそのくじを引き当て、名前が決定したのですが、呼びにくい、また女の子ということもあり「ギン」という名前に落ち着いたのですが、そう、登場人物である「銀星」のように賢く落ち着いていて毛並みがキラキラと光る美しい犬になってほしいという願いが当時の私の中にはありました。もう十数年と時間が経っていますが、今でも思い出せます。それほどこの作品は私にとって強く影響を与え、思い出深い作品として記憶に残っています。


打ち切り

コミックスでサルサがブチ切れていました。どういうことだ!と。私がジャンプで読み始めた頃は中盤あたりで、母にねだって一巻から集め始めました。ジャンプで先に内容は知っているのですが、コミックスを集め始めると全て揃えたい欲求が強まり、途中からは自分のお小遣いで最後まで集めました。そしてコミックスで打ち切り、という小話が書き下ろされていました。最初どういう意味かわからなかったのですが、兄に聞くと「面白くないから途中で終わる」ということを知り、多少なりともショックを覚えました。この作品を面白いと思う人が少ないんだ、というショックです。実際、少年ジャンプというよりかはバトルシーンを除けば花とゆめのような作品なので、終わってしまうのは悲しくてもなんとなく納得はしたのを覚えています。少年には物足りない作品だなあと今にして思えば理解できるのですが、しかし、実際に時を経て読み返してみても夢中になってしまう作品なので、きっと私との相性がすこぶる良く、また登場人物も瞳を大きく描く絵のため、男の子受けよりも女の子ウケの作品なのだなあと納得しています。打ち切られるような作品では無いにしても、刺激の部分ではジャンプに連載という枠の中では大きく劣っている作品だと思いました。


必須アイテム、骨つき肉

この作品を読んで初めて骨つき肉という食べ物の存在を知りました。そして飼い犬にお肉を与えるということに衝撃を受けたのもはっきりと覚えています。ウルフののちの飼い主になる阿部祥平が健人の作った骨つき肉を手で払い、それを何もできずに見て見ぬ振りをするサルサ。そしてそのサルサに絶望するのではなく信じていると情を送る健人。このやりとりも鮮明に覚えています。正直私自身が悔しくてなりませんでした。どうして仲良しの二人に意地悪をするのか。純粋だった小学生時代の私は悲しくて悔しくてたまりませんでした。お重の箱に詰め込まれたたくさんの骨つき肉。実際に食卓に並ばない漫画の世界だけの食べ物に憧れを抱いていました。何かあれば骨つき肉をねだるサルサ。嬉しさのあまり急に人型になってしまうというエピソードもあり、この作品にはなくてはならないアイテムだなあと。

バトルシーンの必要性

話が続くものもありますが、基本のスタイルは一話完結型でとても入りやすい作品だと思います。ペットを飼っている人なら共感できることがたくさんあり、また登場人物の人間模様もさまざまで心をきれいにしてくれるような癒される要素の濃い漫画だと思います。

のほほんとする話も織り交ぜながら、必ず闘いに巻き込まれるサルサと健人。バトルシーンは必要か?と何度も思いましたが、私自身バトルシーンの深刻さ具合がまたちょうど良く、そして悪役で登場するキャラクターが実は様々な事情を抱えて結果進む方向を誤ってしまったという、決して根っからのサイコパスのような人物が誰1人として存在しないということがポイントだと思います。完全体のワーウルフも運命に翻弄され、自分の望んだ結果ではない道を歩まされてしまった結果、サルサたちと衝突するんです。しかし、そう考えると、方向を間違えて自分で矯正のできない人たちがサルサたちと出会うことで逸れた道からまた歩む方向を変えることができている。ということは、バトルシーンは必ず必要で、傷ついても傷つけてもその結果が良い方向へ向かうこのワイルドハーフはやはり闘う必要のあるジャンプ連載漫画なんだなと思いました。

サルサも健人も必ず人の助けになっています。ジャンプでは少し甘ちゃんのような存在ではありますが、私は今でも大好きです。

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