打ち切りになってしまったOVA作品 - トワイライトQの感想

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トワイライトQ

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映像
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ストーリー
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キャラクター
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声優
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音楽
3.00
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打ち切りになってしまったOVA作品

3.43.4
映像
4.0
ストーリー
3.0
キャラクター
3.0
声優
4.0
音楽
3.0

目次

第2話で制作が打ち切り

非常に大胆でユニークな企画だったのではないでしょうか。

まず、全6巻でリリースされる予定だったようです。しかし、結果的には3巻以降が制作されることがありませんでした。ただ、1巻と2巻を比べれば分かることですが、1巻と2巻の画のタッチ、作風も異なる作品なのです。不思議に思って調べてみたら、1巻と2巻では制作されているアニメーション会社も違えば、制作に関わっているキャストやスタッフも違うのです。1巻と2巻は、完全に別作品と捉えた方が自然といえます。

すなわち、「トワイライトQ」は、いくつものアニメ制作会社が共同で取り組んだ企画だったと考えることができます。そして、それぞれのサブタイトルが、短編アニメのメインタイトルのような位置付けであり、「トワイライトQ」は企画名だったのだと考えられるのです。

どのような経緯で打ち切りになってしまったのか、そこまでは調べてみても、回答らしきものに辿り着くことができませんでした。

第一話の考察

前述のように、サブタイトルとして「時の結び目 REFLECTION」と名付けられていますが、これをメインタイトルとして捉えるべきでしょう。

本編にあった家電や家具を観ると、旧作アニメであることが伺えます。特に、本編で描かれていたブラウン管テレビやカメラの存在は、時代背景を伺うに充分なものなのではないでしょうか。思っていたより、あまりに古いもので驚かされるのです。第一話は、映像がとても綺麗な作品という印象が強いです。そのことから、比較的、新しいアニメ作品であるような先入観を持たされるのです。しかし、描かれている家具などは古いもので、そのギャップに驚かされると考えられるのです。

逆説的に考えれば、当時の制作された時代の中で、驚くほど丁寧に作画をされたアニメ作品であることの表れだと考えられるのです。

内容としては、主人公が、未来や過去を行き来するタイムスリップを題材にして扱ったものです。

自分自身の墓を目の当たりにしたり、年老いた未来の旦那と会話をしています。また、未来像を映した写真の存在や、自身の墓の苗字から、旦那の姿を少しずつ明らかにしています。

物語にメッセージ性は薄く、自分の墓を眺めるという不思議な映像や、226事件における真相を描きたかったのではないでしょうか。特に、226事件があった場面においては、物語の展開における必然性に乏しいです。省かれていても、何ら問題のない場面だったと考えられます。

そのことから、物語の必然性やメッセージ性という意図ではなく、不思議な映像や世界感を描きたかったのだと考えられます。

第二話の考察

前述のように、サブタイトルとして「迷宮物件 FILE538」と名付けられていますが、これをメインタイトルとして捉えるべきでしょう。

第一話と比較しても、作画のクオリティーは格段に下がった印象を持ちます。しかし、不思議な世界観を描いている部分は、第一話から踏襲されており、不気味さを強調した本編作りがされています。暗くて不気味さを強調する場面において、作画のクオリティーの高さは、重要度が低いのだと考えられます。

そして、行方不明になる航空機と、存在しないはずのボロアパートで暮らす父娘に焦点が当てられた内容になっていました。母親は描かれることはなく、亡くなってしまったのか、離婚して出ていったのか明かされませんでした。そして、本編途中から劇中劇の形式がとられ、小説家が書いた空想世界に置き換えられているのです。

むしろ、劇中劇ではなく、そのまま、不思議な世界観で締め括った方が面白かったのではないでしょうか。航空機を鯉に変えてしまう娘は、神さまであり、そのまま、父親役を探偵に引き継いだ方が、不気味さは強調されたのだと考えてしまいます。

小説家である父親が、編集部の担当と電話している時点で、劇中劇だったことが明かされます。

そして、父親が鯉をさばくことで、飛んでいる航空機の底が割れていき、乗客が落ちてくる不思議な映像で物語が締め括られています。空想世界から現実社会に引き戻したと思わせての、フェイントで本編が締め括られているのです。

物語性において、皮肉やメッセージ性はなく、ただ不思議な世界観と映像を描いているのだと考えられます。

第一話と第二話の類似点

両話に共通していえることは、物語や描写における皮肉やメッセージ性がなく、不思議な世界観と映像作りに特化している点です。

また、登場人物や世界観が共通しているようでもありません。明らかに第一話と第二話では、異なるアニメ作品だと考えることができます。ただ、作品の方向性においては、不思議な世界観と映像作りに特化している点では、類似していると捉えることができます。また、両話において、「この先からは引き返すことができません」と警告文が出されていることも類似しており、同じ描写がされていることが伺えます。

30分という時間枠で制作された短編アニメで、アニメ版「世にも奇妙な物語」と考えることができるのではないでしょうか。

ただし、「トワイライトQ」という作品タイトルが良くなかったのかもしれません。

トワイライトを直訳すると、「たそがれ」です。日の出前や日没後の太陽の光量が弱くなっている場面を指す言葉です。間違いなく、前向きな言葉ではなく、良い意味の言葉ではありません。そして、第一話や第二話の本編内容と関係性のある言葉でもないのです。

作品タイトル「トワイライトQ」に、どんな意味が込められていたのか、考えてみても、答えらしきものを探り当てることができません。

しかし、第6話まで制作される予定だった本作品が、第2話で打ち切られている理由に「トワイライト」という言葉のもつ「たそがれ」、その後向きの意味が影響したようにも考えられるのです。

皆さんは、作品タイトルの意味をどのように解釈されますか?

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