余韻を引く作品
構成・作画ともに好印象
画力に関しては前作の「エウレカセブン」からさらに上がっていて、バトルシーンもごちゃごちゃすることなくとても読みやすかった。作中の女の子たちも、色気担当やロリキャラもよく描き分けていたと思う。キャラの一人ひとりも無駄がなくて読みやすかった。話の筋もきれいに伏線が回収されていて、最初から最後まで一貫して作品の中に引き込まれる要素が多かった。ただ、バトルシーンでのほかのキャラの技のひねりがもうちょっとあったらなぁとも思う。
基本的にグロい
ストーリーの序盤から最後まで基本的に戦闘シーンがグロい。特に最初のクラスメイトが理不尽に殺されるシーンで最初はただのグロ漫画かと思った。ほかの少年漫画のように炎や剣でスカッとやられるのではなく、そもそも血を使った戦いで、生首や血肉が飛んだりなど、グロシーンが多い。ただ、その生々しいグロシーンがむしろ牢獄という作品テーマや、人体実験といった作品の雰囲気にマッチしていて他のただグロだけのアニメと違ってストーリーに引き込まれる要因の一つになっているかもしれないとも感じた。
伏線回収・エンディングがとても良い
主人公・丸太の名前が最初は雑なネーミングかとも思ったが、終盤になって被検体(マルタ)が由来で鳥肌が立った。五十嵐空絵が母親として母性に目覚めるシーン、そこからシロが連れてこられるシーンなど、後々になって徐々にわかっていく構成は読んでいて飽きが来ない。最後の戦いでシロが何も知らないシロと「レチッド・エッグ」としてのシロ以外に第三の人格が目覚めたのは、べたではあるが印象深い。サブキャラにも一人ひとりに苦悩の過去があり、それぞれ暴かれていくのは面白かった。千地をはじめとして対戦相手が次々と仲間になっていくあたりは少年漫画らしい展開といえるが、水無月の過去や人間性がただただ残忍でなんだかすっきりしないところは気になった。
シロの目覚めのシーン、不要だけど安心する
最後にシロが目覚めるシーンは個人的には不要だとも思うが、それではあまりに救いのない話になってしまうので少し安心する。これからシロと丸太が普通の人間として恋をして成長していく姿を想像させられる。個人的には、あそこでシロが目覚めず、デッドマンワンダーランドが復活する予兆なんかがあっても読み終えた後に創造を掻き立てられて面白いんじゃないかとも思う。少年漫画ではあるがあまりにもすっきりと終わりすぎではないだろうか。
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