個性的な天才が謎を解く - 虚像の道化師の感想

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虚像の道化師

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個性的な天才が謎を解く

4.54.5
文章力
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ストーリー
4.5
キャラクター
5.0
設定
4.5
演出
4.5

目次

個性的な職業のキャラが謎を解いていく面白さ

推理小説には、警察や探偵など様々な職種の人が推理しますが、物理学者が探偵役の小説は初めて読みました。
トリックが、物理学者じゃないと分からないことであったり、特殊な器械を使うものなど、特殊な職業ではあるけれど物理学者が探偵役というのが納得して読めます。
でも、この本の「演技る」はトリックが、窓ガラスに反射しているだけで、携帯のトリックなどは通常の探偵推理小説にも使われたりすることもあり、このガリレオの要素が少し少なく感じ、残念なところでした。

人物像は、物理学者という個性的な職業のキャラで、淡々と語る口調にも嫌みがないカッコいい人物です。
テレビドラマ化のイメージでカッコ良いとのイメージが定着してしまいましたが、合っていると思います。
湯川の性格も、確信が持てるまでは周囲には詳しく語らない寡黙な設定など、トリックの断片を少しずつ明かすような、もったいつける説明をしないところがこのシリーズはスッキリしていて良いと思います。

不思議現象の正体が分かって納得

このシリーズのトリックは高度な技術や特殊な装置などを使うのが多いが、摩訶不思議現象を科学の力で説明してくれるので、謎が解けてスッキリするとことが良いです。
「幻惑す」では、宗教団体について描かれていて、「で不思議な現象を起こし身体が温かくなる」という宗教団体によくある、いかにも怪しくてイカサマだろうという設定の中、この不思議現象をマイクロ波という技術を使えば再現できると謎を解明している。
不思議なこと、だけで解明できないようなことを、現実に再現できる方法としてトリックに使い、納得できる説明で解説してありスッキリする。
トリックだけでなく、殺人の動機なども現実的な「金儲け」などしっかりしているので、普通にサスペンスとしても楽しく読めます。

警察官じゃないからこそ

「偽装う」では、事件解決役が警察官じゃないから出来る、結末になったと思う。
どんな事情であっても、事件を解決するのが警察の人間ならば逮捕しなくてはならないが、物理学者という部外者の人間だから逮捕しないという解決方法が選べたと思います。
「傘のお礼の提案だ」と、アウディの女性を救う方法を提案したガリレオ湯川は、普段は少し冷徹なイメージもあるところなのに、優しさに溢れていて素敵です。
ガリレオ湯川の最後のセリフ「傘のお礼です」は、1人の女性を救うことが出来てホントに胸が熱くなった感動の一言です。
私もハンカチを出して、涙を拭きたくなりました。

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