エルヴィスが作品に必要だったか - グレイスランドの感想

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エルヴィスが作品に必要だったか

3.03.0
映像
3.0
脚本
3.5
キャスト
3.0
音楽
3.5
演出
3.0

目次

エルヴィスを名乗る男はいったいなんなのか?

妻を事故でなくしたジョナサンとエルヴィスと自分を名乗るハーヴェイが路上で出会う。このエルヴィスと名乗る男はいったい何なのか。こいつも妻と子供失っているという記事を見つけたが・・・・・・。二人の出会いを通して、ジョナサンの傷が癒されていくというストーリーですが。。

基本的に、このエルヴィスと名乗る男はいったい何なのか、がわからないまま終わります。

もっと展開は幅広くできたはず

作中で、彼が警察官の少年時代を当てたり(魔法をかけているようでもある)、エルヴィスのことは何でも知っていたりという展開があるのですが、どうせ、そんな挿話を入れるなら、彼が誰にでも同化できる男という特技(術)があって、今はエルヴィスだが、やろうと思えばジョン・レノンにもなれる、などの展開をすればよかったのではないかと思わず考えてしまう。あるいは、エルヴィスの真の生まれ変わりの男というテーマにするなども考えられたはず。それを作者はどっちつかずというか、何にも焦点が定まらずにストーリーが進んで行く。

とにかく心底エルヴィスになりきっていれば、本当にエルヴィスになれるのだ、ということなのだろうか?と思いを巡らせてみましたが、それでもやはりものたりません。男優ハーヴェイの力量というかキャラクターのせいかもしれませんが。

そしてこの男と出会うことがなぜ、ジョナサンにとっての救いとなるのかにも明確な答えが見出せません。ジョナサンにとって足りなかったこと、必要だったことを、この中年おやじのエルヴィスが満たしてくれたでしょうか?正直、このエルヴィスには全く魅力を感じなかったです。

エルヴィスを出してきた理由に乏しい

というのもパフォーマンスが少ないし、まあ、お世辞にも似ているとも、うまいとも思えない。せめてもっともっと若さ溢れるとか、エネルギッシュとか、突っぱってるとか、太ったエルヴィスの頃の傲慢チキとか、そういう強烈な個性を表出することが必要だったのではないでしょうか。ハーヴェウィはただ、メソメソ、いじいじ、背を丸めて歩く、未来のない、哀れな中年おやじというだけの存在。

わざわざ、エルヴィスをこの作品の道具として持ち出す意味がどうしても理解できなかったです。

疑問符がいろいろつく(そのおかげでリーダビリティーがあるといえばあるのです)が、総合的には悪い映画ではないです。抒情的だが、テーマがわかるようでわからない、わからないようでわかるといった感じです。

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