頼りない医者が、これほどまでに面白いなんて! - 病院へ行こうの感想

理解が深まる映画レビューサイト

映画レビュー数 5,784件

病院へ行こう

4.804.80
映像
4.50
脚本
5.00
キャスト
4.80
音楽
4.50
演出
5.00
感想数
1
観た人
1

頼りない医者が、これほどまでに面白いなんて!

4.84.8
映像
4.5
脚本
5.0
キャスト
4.8
音楽
4.5
演出
5.0

目次

最高に面白い病院コメディ

病院を舞台とする映画は、深刻な作品が多く、命や死を扱うテーマになりがちなのですが、「病院へ行こう」は、センスの良いコメディ作品として描かれています。特に、シュチエーションに優れている作品。浮気現場に遭遇したり、入院したベッドのお隣さんは間男だったり、車イスで病院を抜け出したりと、様々な凝った場面を、作り上げています。だらだらと、流れで作る映画ではなく、必ず一つのシーンには、一つ以上の笑う場面や面白い台詞を入れており、よく練られている作品だと思います。そして、コメディの元となる笑いの部分が、わざとらしくないのも「病院へ行こう」の特徴。私は、これ見よがしに笑わせようとするコメディは嫌いなので、この映画にはどっぷりとはまり、笑わせてもらいました。

 

薬師丸ひろ子の手術場面で爆笑

私が思う「病院へ行こう」の一番面白いとおもうシーンは、真田広之が手術を受けるシーン。今までに、これ以上の面白いシーンは見たことないような気がします。薬師丸ひろ子が、新米の医師の役柄なのですが、薬師丸ひろ子のおっとりとした、スローなイメージにピッタリマッチしています。この映画を通じて、薬師丸ひろ子の新しい魅力が開花したと言える映画に仕上がっていますね。

その手術の場面ですが、手術を受ける真田広之が、手術の苦しみから逃れるために、サザエさんの歌を歌います。感心したのは、どうして、こうも面白いシーンを思いついたのかという事です。しかも、苦しみから逃れるために、歌を歌うっていうのは、ありえる心理である事から、リアル感が増しています。。合いの手を入れる、薬師丸ひろ子にも絶妙、何度見ても笑えるシーンに間違いありません。

 

真田広之の演技がわざとらしい

「病院へ行こう」の登場人物は、薬師丸ひろ子を始めとして、真田広之や大地康雄、斎藤景子など、1990年代を代表する俳優さんや女優さん達です。大地康雄さんなどは、カッコ良さはありませんが、演技派の役者さんです。薬師丸ひろ子は、演技の足りない部分があるのですが、役所とマッチしています。しかし、唯一、真田広之の演技に少しわざとらしさを感じました。上っ面の演技なので、もう少し深みのある演技だと良かったと思います。

 

無名だった頃の豊川悦司が出演

意外と知られていないかも知れませんが、「病院へ行こう」には、まだ有名になる前の豊川悦司が出演しているので、確認すると新たな発見ができます。薬師丸ひろ子は、新米の医師なので、注射が打つのがうまくありません。その練習相手として、誘うのが豊川悦司さんです。本当に、一瞬で一言の台詞ではありませんので、見逃さないようにして下さい。この当時の豊川悦司さんは、とりわけカッコ良くもなく普通の感じです。どちらかというと、オタクっぽい雰囲気です。

 

ストーリーがしっかりしている

コメディというと、笑わせる事に集中してストーリーがおろそかになりがちですが、「病院へ行こう」は、ストーリーもしっかりと構築してあり、真田広之のストーリー、大地康雄のストーリー、薬師丸ひろ子のストーリーと、11人のお話がしっかりと書きあげてあります。それぞれが抱えている悩みや心配、夢などを絡めながら、お話が進んでいきます。ですから、見ていてもそれぞれの気持ちに共感でき、登場人物の思っている感情に触れられます。感動する事もできるコメディとなっています。

 

薬師丸ひろ子が医師として成長

コメディと見ただけでも、とても面白い映画となっていますが、薬師丸ひろ子の医師としての成長していく様子も描いています。看護婦にバカにされ、患者には不安がられる新人の医師だったのが、様々な経験をしていく事で、一人前の医師への成長を感じることで、駄目でも、できなくても、頑張って続けていくことで、道は開けて行くんだなと思いました。コメディとしてだけではなく、人それぞれが、映画の時間の中でどのように変化するのも、見所の一つです。ラストシーンでは、真田広之の妻が、退院する日にこっそりと現れ、しかも、真田に会う前に口紅をつけるシーンは、それだけで彼女の気持ちを大いに表しています。気持ちは、台詞となって伝わるだけではなく、行動の方がより一層その人の気持ちを伝えます。

 

バブル時代を垣間みる

「病院へ行こう」は、1990年代に作られた映画。ですから、バブル時代の雰囲気を感じられます。真田広之は、そんなバブル時代を生き抜く男性。あの頃の男性は、仕事にも野心があり、女性的にも積極的な男性だったことが伺えます。しかし、怪我をした事から、あっという間に仕事から外され、妻からは見放されてしまう。そう考えると、仕事に一生懸命頑張ったとしても、会社にとっては、一つのコマにしか過ぎないのだなと思いました。現代の若者は、仕事よりも家庭を大事にしたいという人が多いといいます。彼らは、この世代の子供たちである事から、親のそういう面を見て、自分達は家庭を大事にしていきたいと思ったのかも知れません。

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

関連するタグ

病院へ行こうが好きな人におすすめの映画

ページの先頭へ