スイーツ食べたくなります - 西洋骨董洋菓子店の感想

張り巡らされた伏線とギャグを求めて繰り返し読みたくなります。

主要キャラは４人の男たち…

それぞれが決して軽くない過去を抱えていて、どこかにこんな人たちがいるのでは…と考えさせられます。

何気ない一言一言も、何気ない表情の一つ一つも、繰り返し読んだときに「あっ！」と気づく伏線だったり…

一度だけでなく、繰り返し読みするのがおすすめです。

過去にドラマ化しましたが、その際には１クールに収まるよう、いろいろと改善されてしまいました。
（例えば魔性のゲイではなくなっていたり…）

もちろんドラマはドラマで、おもしろかったのですが、やっぱり私は原作派です。

男性にも読みやすい絵柄。

この作品は、ＢＬジャンルに属されていますが、特に性的な描写は無いです。

あっても、男性同士のキス程度…

過去にドラマ化されましたが、ドラマ版を知っていても、もちろん知らなくても読める作品です。

イラストもコテコテしておらず、男女ともに読みやすい絵柄だと思いますので、おすすめです。

魔性のゲイと振り回される男たち…

スイーツ店のオーナーだけど、スイーツ嫌いの辛党、橘。

天才パティシエ、魔性のゲイ、小野。

元プロボクサーでスイーツ好き男子、エイジ。

頼りないボディーガート、千景…

この４人の絶妙なバランスで成り立っている、ケーキショップ「アンティーク」…

よしながふみさんの漫画はいつも、ちりばめられたギャグと伏線に驚かされます。

コミック中のほんの一コマにも、リアルな表情があります。

それよりなにより、読んだ後はスイーツが食べたくなります！

ダイエット中にはおすすめしません！

また、ラストは賛否両論ですが、私は基本的に作者さんが書いたものがベストだと思っていますので、賛成派です。

それぞれが、超えなくてはならない過去やトラウマを抱えて生きており、あるきっかけを機に超えていく…

そんなストーリーだと思いました。

橘の過去は超えられたか…と言われたら否かもしれませんが、過去を受け入れることはできたのでは…と思います。

それこそ失った記憶を取り戻し、犯人が逮捕されていたら大団円でしょうが、そうでないのがよしながふみさんの作品のいいところ…

まさにご都合主義ではなく、本当にリアルな感じがしました。

以前からよしながふみさんの作品は読んでいましたが、この作品で一気に知名度が上昇した、ある意味の代表作だと思います。

全４巻のはずなのに、主要４キャラがそれぞれいい意味で濃くて、満足度の高い作品です。